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京都府京田辺市の取り組み
先進事例2023.10.19
公立体育館における空調整備

体育館に導入した空調の新技術が、全国の自治体の間で「注目の的」に

[提供] 株式会社ユカリラ
体育館に導入した空調の新技術が、全国の自治体の間で「注目の的」に
この記事の配信元
株式会社ユカリラ
株式会社ユカリラ

※下記は自治体通信 Vol.53(2023年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

危険なほどの猛暑に見舞われる近年の夏。住民の安全対策の観点からも、公共施設における空調整備は、いまや自治体にとって喫緊の課題である。特に体育館は災害時の避難所として運用されるケースも多く、その優先度は高い。そうしたなか、京田辺市(京都府)では、新しい技術を採用した空調設備を京田辺市田辺中央体育館に導入したという。技術選定の経緯と導入後の効果について、同市市民部文化・スポーツ振興課の島田氏に聞いた。

[京田辺市] ■人口:7万1,757人(令和5年9月1日現在) ■世帯数:3万1,555世帯(令和5年9月1日現在) ■予算規模:505億8,350万円(令和5年度当初) ■面積:42.92km² ■概要:東に木津川、西に生駒山系に連なる甘南備山が控える豊かな自然に囲まれている。古くから交通の要衝として栄え、南山城地方の行政・経済・文化の中心地として発展してきた。昭和40年代から大規模な宅地開発や交通網の整備、学研都市の建設などにともない人口が増加。全国的に少子高齢化が進展する中、現在も人口増加が続いている。
インタビュー
島田 千春
京田辺市
市民部 文化・スポーツ振興課 スポーツ振興係長
島田 千春しまだ ちはる

念願の体育館空調整備に際し、「床面ふく射方式」を選定

―田辺中央体育館に空調設備を導入した経緯を教えてください。

 昭和62年竣工の田辺中央体育館はこの間、随時修繕を進めてきましたが、床面や床下の基礎の不具合から、大規模改修を必要とする時期に来ていました。その際、以前から求められてきた空調についても同時に整備することにしました。当市では、毎年8月に同体育館で全国小学生ハンドボール大会を開催していることもあり、猛暑の中での競技を心配する声はこれまでもあったのです。そこで当市では、施設に適した空調設備について検討を進めました。

―詳しく教えてください。

 まずは、体育館空調の方式について調査を重ね、4つの案に絞りました。具体的には、「壁面ふく射方式」「床面ふく射方式」「天吊り・床置き方式」「強風スポットクーラー方式」です。このうち、「壁面ふく射」と「天吊り・床置き」は、設置機器の出っ張りなどでアリーナの形状が変わり、利用面積も狭まることがネックになりました。また、アリーナ壁面に機器を設置すると、ボールが当たるなどで破損する恐れもあります。一方、「強風スポットクーラー」は暖房として利用できないという難点がありました。そこで、それらの条件に合致する「床面ふく射方式」を選定しました。

―そもそも「床面ふく射方式」とは、どのような仕組みですか。

 離れたものに熱を伝える「ふく射」の原理を用いた床冷暖房システムで、床下に冷温風を流入させ、空気熱を使ったふく射により室内温度を制御します。人から床、壁、天井へ熱が移動することで温冷感を感じる仕組みであるため、気流を起こさずに心地よい空間を生み出します。また、換気の影響も少ないので感染症対策上も有効で、快適性と安全性の両面に優れているとされています。床冷暖房のため、広い空間全体を冷やしたり、暖めたりしなくても効率よく効果を実感できるうえ、ふく射熱は体感温度に直接作用することから、設定温度を抑制し、ランニングコストを下げられるのも特徴です。これらの特徴を評価し、当市ではプロポーザルにおいてユカリラ社の「全空気式床ふく射冷暖房システム」を選定し、令和2年度事業として整備を進めました。

新技術を採用した体育館が、誇るべき市の「顔」に

―導入後の効果はいかがですか。

 夏に体育館を訪れる際には、ジャケットを羽織るくらい冷房の効果を体感できます。同じ体育館でも位置や利用者数の違いによって効果が異なるといったこともありません。また、気流が発生しないため、バドミントンや卓球といった風の影響を嫌う競技も快適な環境で実施できるようになりました。床面ふく射という技術は、体育館など大型施設での導入実績がまだ少ない新しい技術ということで、リニューアル以降、全国の自治体から視察や問い合わせを数多く受けています。市民からも大変好評で、いまや田辺中央体育館は誇るべき市の「顔」として、シティプロモーションの一翼を担ってくれています。

支援企業の視点
効率が落ちる大規模施設の空調には「ふく射×床冷暖房」が効果的
インタビュー
入來院 昌彦
株式会社ユカリラ
代表取締役
入來院 昌彦いりきいん まさひこ
昭和43年、鹿児島県生まれ。早稲田大学を卒業後、株式会社九州日栄に入社。その後、代表取締役に就任。平成23年より『ユカリラ』の開発に着手。令和2年に株式会社ユカリラを設立し、開発体制のさらなる充実を図る。

―体育館での空調整備を進める自治体は増えていますか。

 とても増えています。当社の調べでは、全国の体育館の約9割が災害時に避難所として使用されていることもあり、国も事業費への補助率を上げて空調整備の動きを後押ししています。一方で、従来の対流方式の空調設備は、体育館のような広く天井が高い空間ではエネルギー効率が悪いうえ、昨今は感染症対策上、換気が頻繁に行われる環境ではさらに効率が下がり、ウイルスの拡散にもつながり、運営上の大きな課題となっています。そこでいま注目されているのが、当社が大規模施設用に開発し、熱源機メーカーの三菱重工冷熱、床材メーカーの大建工業とともに提案している新たな空調技術「全空気式床ふく射冷暖房システム」の『ユカリラ』です。

―特徴を教えてください。

 内部に流した冷温風により床材自体を冷やしたり暖めたりして、その床材からのふく射熱により温調を行うシステムです。換気をしてもふく射のエネルギーはその場に残るため、床から数mのみを温調の対象とすれば高いエネルギー効率で快適空間を実現できるのが特徴です。また、気流が発生しないので、ホコリがたたず、ウイルスの拡散にもつながりません。省エネ性能と安全性に優れたシステムといえます。床冷暖房とはいえ、床の表面温度は、高温でも27℃程度ですので、冬場でも低温火傷の心配がなく、昨今は幼稚園や保育園、高齢者施設などでの関心も高まっています。全国主要都市にショールームを用意していますので、ぜひ性能を体感してみてください。

株式会社ユカリラ
株式会社ユカリラ
設立

令和2年6月

資本金

2,000万円

売上高

1億1,000万円(令和5年5月期)

従業員数

8人

事業内容

空調システム設計、開発

URL

https://yukarela.net/

お問い合わせ先
092-753-6090(9:00~18:00)

■三菱重工冷熱株式会社 空調事業本部
 03-6891-4468
■大建工業株式会社 快適空間部
 03-6271-7782

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