【詐欺対策・無料版アプリ】被害の「入口」となるスマホへの対策で、巧妙化する特殊詐欺から住民を守る
(トレンドマイクロ 詐欺バスター / トレンドマイクロ)


※下記は自治体通信 Vol.72(2026年2月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
全国で特殊詐欺の巧妙化が進むなか、被害を未然に防ぐため、自治体は住民に対して具体的な防衛策を促すことがますます重要となっている。こうしたなか、岐阜県警察と岐阜市では、民間企業と連携しながら防犯アプリを住民に推奨する取り組みを進めている。取り組みの詳細や、期待する成果などについて、双方の担当者に聞いた。



オレオレ詐欺の被害者が、若年層にも急速に拡大
―これまで、どういった特殊詐欺対策に取り組んできましたか。
渡邊 岐阜市では長年、イベントでの啓発を通じた注意喚起を行ってきました。被害の入口となりやすい固定電話への対策にも注力し、令和5年度から防犯機能付電話機等の購入補助事業を行っています。これまでに累計1,000台以上の補助を実施して市民の防犯意識を高めると同時に、詐欺被害の水際対策に取り組んできました。
髙木 警察でも、注意喚起といった住民向けの活動のほか、コンビニエンスストアと連携した電子マネー詐欺の水際阻止、金融機関への全件通報依頼など関係機関との密な情報共有を図り、対策に注力してきました。しかし、それでも県内の被害情勢は極めて危機的です。令和7年は10月末時点で被害件数は前年同期比40件多い361件、被害額は約5億2,561万円も多い約12億9,363万円にのぼりました。いずれも、当県警の統計史上、過去最多となる被害です。
―被害が増え続けている要因をどう分析していますか。
髙木 特殊詐欺被害の全件数の約4割、被害金額の約8割を占める「オレオレ詐欺」の手口が巧妙化していることです。かつては子や孫を騙る手口が主流でしたが、令和7年からは警察官を騙りSNSのビデオ通話で偽の警察手帳や逮捕状を見せて信じ込ませる手口が急増しました。これにより、前年には約8割を65歳以上の高齢者が占めていた被害者は若年層への拡大が進み、令和7年は10月末時点で20~50代が半数以上を占めました。同様に、かつては固定電話が主流だった金銭の要求方法も令和7年3月を境に、携帯電話が固定電話の割合を上回るようになりました。スマホならではの巧妙な手口に対し、従来の注意喚起だけでは限界があることは明白でした。そこで、物理的に犯行を遮断するスマホ向けの対策が不可欠だと考えていたなか、かねてから広報活動などで連携していたトレンドマイクロから、『トレンドマイクロ 詐欺バスター(以下、詐欺バスター)』というスマホアプリの提案を受け、関心を持ちました。

民間のアプリの推奨は、公平性の担保でハードルに
―具体的に、どのようなアプリなのですか。
髙木 スマホにインストールするだけで、不審な電話やメッセージ、危険なWebサイトをAIが自動検知し、ブロックや警告を行うものです。関心を持った点は、詐欺電話がかかってきた場合、単なる警告の表示にとどまらず、着信そのものを遮断できる点にあります。これまでの啓発活動に欠けていた具体的な「防衛手段」として、非常に実効性が高いと注目しました。
古田 岐阜市でも独自に複数の対策アプリを調査していましたが、セキュリティ専門企業としての実績と、AIによる検知精度の高さから、『詐欺バスター』の有用性に高く期待していました。このアプリは、公益財団法人全国防犯協会連合会から「優良防犯電話推奨品」として推奨されている点も信頼できると期待しました。しかし、このアプリを行政として市民に推奨するには、解決すべき2つの大きなハードルがありました。
―どのようなハードルでしょう。
古田 1つは「公平性」です。たとえ防犯目的であっても、行政の立場から一民間企業の製品を特定して推奨することは、営利活動の支援と捉えられかねず、非常に高い心理的な障壁となっていました。また、アプリは固定電話機のような買い切り型とは異なり、月額制のサービスであるため、補助金を出すにしても「本当に対象の市民が使い続けているか」を継続的に確認する事務労力やコストが膨大になり、現実的ではないという側面もありました。
官民131団体が連携し、アプリ活用を呼びかけ
―それらのハードルをどのように乗り越えたのですか。
渡邊 庁内での議論が大きく前進したのは、トレンドマイクロから『詐欺バスター』の「詐欺電話対策機能」を無料で提供できるようになったと提案を受けたときです。無料であれば、特定の企業の利益に寄与するという懸念に加え、補助金事業とする際の懸念も解消されるので、行政としても一気に市民へ勧めやすくなります。
ただし、市単独の取り組みでは効果が限定されてしまいます。そこで私たちは「これまでもあらゆる場面で連携してきた県警察と共同で取り組むことがもっとも効果的ではないか」とトレンドマイクロに提案し、そこから岐阜県警察も交えた協議をスタートしました。
髙木 県警としても、特定の団体や企業だけの取り組みにとどめるのではなく、社会全体の問題としてこの課題を捉え直すべきだと考えていました。自治体、地域企業、金融機関などが「詐欺被害をなくしたい」というひとつの思いで団結し、社会全体で防犯意識を高めていく枠組みが不可欠だったのです。そこから我々は岐阜市をはじめとした県内自治体、金融機関など131団体とともに令和7年11月27日、官民連携で特殊詐欺の撲滅を目指す共同宣言を発出しました。この宣言は、特殊詐欺被害防止のための情報共有や連携の強化を確認するものですが、その具体的な取り組みの柱のひとつとして、『詐欺バスター』活用の住民への呼びかけを位置づけました。
―アプリの推奨には、どのような効果を期待していますか。
古田 特殊詐欺対策を住民に浸透させるまでの圧倒的なスピード感です。固定電話の対策機は住民にとって、機器の設置や設定、補助金の申請に手間と時間がかかりますが、無料のアプリならばイベント会場で二次元コードを読み取るだけで、その場で対策が完了します。この手軽さは、スマホを常用する世代や日々の生活に忙しい現役世代に普及させるうえで大きな魅力です。また、国際電話・詐欺電話を自動でブロックする「詐欺電話対策機能」が無料であるほか、「詐欺SMSの自動振り分け」や「危険なサイトのブロック」といったすべての機能も30日間の体験期間内であれば無料で利用できる点も重要です。まずは実際に使ってもらうことで、「不審な電話が鳴らなくなった」「危険なメールが振り分けられた」といった効果を肌で感じてもらえます。この実感こそが、住民の防犯意識を継続させるカギになると確信しています。
髙木 共同宣言による連携体制が整ったことで、対面での啓発活動が大きく進化することに期待しています。これまでは「気をつけてください」と呼びかけることしかできませんでしたが、いまではイベントブースなどで住民と対面した際、「その場でアプリを入れて対策を完了させる」という具体的かつ実効性のあるアクションを促せるようになりました。この変化の意義は非常に大きいですね。

手口が変化し続けるなか、今後の機能向上にも期待
―特殊詐欺対策をめぐる今後の方針を聞かせてください。
髙木 警察と行政、民間企業が一体となったこの「岐阜モデル」の防犯施策を、あらゆる世代に浸透させていくことが重要だと考えています。特殊詐欺の手口は今後も絶え間なく変化し続け、デジタル技術の悪用も加速していくでしょう。そうしたなかでも、トレンドマイクロにはITセキュリティの専門家として、最新の犯罪トレンドに合わせた機能向上や、迅速なアップデートを継続してもらうことを強く期待しています。
渡邊 これからの防犯は、物理的なブロックや警告表示を行う「技術」の力と、私たち行政・警察による「注意喚起」の力を高次元で融合させることが不可欠です。住民一人ひとりが「自分を守る」という高い防衛意識を持ち、それを支える技術が身近にある環境を整えていく。今回の共同宣言を起点として、官民が真に団結し、特殊詐欺を寄せつけない安全な地域社会を築きあげていきたいと考えています。

ここまでは、スマホアプリの推奨を通じ、特殊詐欺対策の強化を進める岐阜県警察と岐阜市の取り組みを紹介した。ここでは、その取り組みを支援したトレンドマイクロの担当者に取材。特殊詐欺対策に取り組むにあたってのポイントについて詳しく聞いた。

AIなど先端技術の活用で、人が見抜きにくい詐欺が増加
―特殊詐欺対策をめぐる自治体の動きをどのように見ていますか。
多くの自治体や各警察本部が、従来の対策だけでは住民を守りきれないという強い危機感を抱いています。背景には、「偽警察詐欺」「投資詐欺」「ロマンス詐欺」といった犯行手口の多様化に加え、デジタル技術の悪用があります。特にディープフェイクは、生成AIを使用して作成された映像や音声ですが、詐欺を目的に悪用されることがあり、人間の目や耳だけで詐欺を見抜くのが困難なケースが増えてきました。新たな手口が生まれ被害が拡大するスピードは速いため、個人の意識に頼る啓発活動だけでは対策の効果に限界が生じているのが現状です。
―どのような対策を取ればよいのでしょう。
被害の入口が固定電話からスマホへシフトしているいま、スマホへの直接的な対策が不可欠です。最近の詐欺は電話だけでなく、マッチングアプリやSNS上の偽広告、勝手に追加されるLINEグループなど、多様なルートから住民に接触してきます。そこで当社では、その有効な対策ツールとして、スマホ向けの防犯アプリ『詐欺バスター』を提案しています。
―特徴を教えてください。
電話やSMS、Webサイトなどに対する多層的な対策を自動で打てる点です。これらは当社が35年以上にわたるサイバーセキュリティ事業で培ってきた高度な検知技術に基づいています。たとえば、最新機能である「詐欺レーダー」は、AIがユーザーの電話やメッセージの履歴を分析し、詐欺の手口に似たパターンを検知した際、アラートを通知できます。また、特殊詐欺の疑いのある電話番号リストについては、警察などの公的機関との連携や、セキュリティソフト『ウイルスバスター』での知見を活かして自社で収集した情報を基に、日々最新版に更新を行っています。こうした特殊詐欺対策としての専門性の高いツールであることで、多くの公的機関から信頼を得ることができています。

全防連や警察の推奨により、住民へ勧めやすいツールに
―詳しく聞かせてください。
『詐欺バスター』は、公益財団法人全国防犯協会連合会(以下、全防連)から詐欺電話への防犯対策として推奨を受けています。また、当社はすでに全国47都道府県の警察本部と特殊詐欺やサイバー犯罪対策での連携実績があり、岐阜県警察との共同宣言はその好例と言えます。全防連や警察による推奨という確かな裏付けがあれば、自治体が特定の民間製品を住民に推奨する際の「公平性」というハードルも低くなります。さらに、詐欺電話対策などの一部機能の無料提供を始めたことで、行政はより住民に勧めやすくなっています。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
当社は自治体とともに地域の安全を守るパートナーでありたいと考えています。セキュリティ専門家としての技術力を提供することはもちろん、警察や地域企業を巻き込んだ防犯ネットワークの構築など、自治体が直面する課題を共有し、実効性のある解決策を追求していきます。また、目まぐるしく変化する詐欺の手口に対し、最新の犯罪トレンドやユーザーからのフィードバックを反映した機能アップデートも継続します。ぜひお気軽にお問い合わせください。


| 設立 | 平成元年10月 |
|---|---|
| 資本金 | 199億2,600万円 |
| 売上高 | 2,726億3,800万円(令和6年12月期) |
| 従業員数 | 6,869人(令和6年12月31日現在) |
| 事業内容 | コンピュータおよびインターネット用セキュリティ関連製品・サービスの開発・販売 |
| URL |





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