自治体通信ONLINE
  1. HOME
  2. 先進事例
  3. デジタルの活用で協働の輪を広げ、SDGsに資する活動を生み出す
先進事例2022.07.12
住民を巻き込んだSDGsの推進

デジタルの活用で協働の輪を広げ、SDGsに資する活動を生み出す

[提供] バイザー株式会社
デジタルの活用で協働の輪を広げ、SDGsに資する活動を生み出す
この記事の配信元
バイザー株式会社
バイザー株式会社

神奈川県松田町の取り組み

住民を巻き込んだSDGsの推進

デジタルの活用で協働の輪を広げ、SDGsに資する活動を生み出す

松田町 町長 本山 博幸
[提供] バイザー株式会社

※下記は自治体通信 Vol.40(2022年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

人口減少や少子高齢化に対峙しながら持続的な発展を目指す自治体にとって、SDGsは欠かすことのできない共通の概念となっている。SDGsの推進を住民や企業に促す自治体も増えているが、一方で地域課題の解決や地方創生に資する具体的な活動がなかなか生まれないと感じているケースも少なくない。そうしたなか、松田町(神奈川県)では、SDGsの理念のもとに住民の協働を促す仕組みづくりが進んでいる。取り組みの詳細を、町長の本山氏に聞いた。

[松田町] ■人口:1万541人(令和4年6月1日現在) ■世帯数:4,560世帯(令和4年6月1日現在) ■予算規模:86億9,356万円(令和4年度当初) ■面積:37.75km2 ■概要:神奈川県の西部、足柄平野の中心部に位置する。明治42年度に町制が施行され、現在の町域は松田惣領、松田庶子、神山、寄の4地区からなる。総面積の94%が山間部に囲まれ、自然があふれる町でありながら、東名高速道路の大井松田ICや小田急電鉄、JR東海御殿場線の駅などがあり、都心や国道、県道からのアクセスにも優れる。
松田町
町長
本山 博幸 もとやま ひろゆき

持続可能なまちづくりに向け、「松田町版SDGs」を推進

―松田町は国から「SDGs未来都市」に選定されています。SDGsの実現へ向けて積極的に取り組んでいる背景を教えてください。

 総面積の約8割を森林が占めている当町は、自然との共生がかねてからのテーマです。そのため当町は長年、誰もが安全・安心な暮らしを続けられる町政を行ってきました。ところが私が町長に就任した直後の平成26年には、当町にとってさらに大きな課題が突きつけられました。日本創成会議から「消滅可能性都市」の指定を受けたのです。それ以来、SDGsがその名に包含する「持続可能」という言葉は、まさに当町のまちづくりの理念と一致するものとなったのです。国連でSDGsが採択されてからは、当町も「松田町版SDGs」を掲げ、さまざまな施策を推進してきました。

―具体的に、どのような施策に取り組んでいるのでしょう。

 たとえば、温浴施設で使う化石燃料を、森林の間伐材からつくった木質バイオマス燃料に置き換える事業を行っています。これは、二酸化炭素の排出量削減や域内産業の活性化にもつながるものです。このほか、「プラごみゼロ宣言」や、自治会と連携した河川の美化活動などを通じ、住民の環境意識の醸成も図っています。

 実際、こうした取り組みのなかには昔から長年行ってきたものもありますが、我々はそれらをSDGsという共通言語のもとで整理し、見直しました。令和元年度には、SDGsの理念を盛り込んだ総合計画を策定。令和3年度には、国から「経済と社会、環境の3側面で新たな価値を生み出す地域」として評価され、「SDGs未来都市」に選ばれることとなりました。しかし私は、行政主導によるSDGs推進だけでは十分ではないと考えています。

地域課題の解決には、住民の協力が欠かせない

―それはなぜですか。

 松田町をより安全・安心で暮らしやすい町にし、永続的に発展させていくには、住民との協働関係をより一層深め、SDGsの推進をさらに多方面に広げる必要があるからです。我々が理想とするのは、SDGsの理念のもとに住民が協力し、地域課題を解決していく町です。地域には、「子どもや高齢者の見守りができない」「農業の担い手がいない」といったさまざまな課題が存在します。そうした課題を解決するために、志ある住民が有機的につながる基盤があれば、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念に近づけると私は考えていたのです。そうしたなかで当町は、バイザー社からSDGsに関する、ある提案を受けました。

―どのような提案ですか。

 デジタルを活用しながら、SDGsの理念のもとで「協働のまちづくり」を推進する仕組みです。それはまさに我々がSDGsの達成に向けて理想とする考えと一致するものでした。そこで当町は令和4年3月、バイザーと包括連携協定を締結。提案を具現化する作業として、協働のまちづくりを行う基盤の構築を進めています。

SDGsを「共通言語」に、住民同士のマッチングを図る

―その取り組みについて、具体的に聞かせてください。

 バイザーが開発したSDGs推進ソリューション『グッドシティ』上で、地域活動を担っている住民同士のマッチングを図り、協働のまちづくりの基盤へと発展させていく取り組みです。具体的には、利用者は専用のWebサイト上で「SDGs宣言」を行うと、各々が現在行っている地域活動をブログ形式で発信できるようになります。その情報発信を起点に、利用者同士がつながり、特定の活動に対してサポートを表明したり、ダイレクトメッセージを送りあったりすることで、マッチングが図られる仕組みです。

―どのような成果を期待していますか。

 まず、「SDGs」という幅広いくくりで情報を発信できるため、それまであまり知られていなかった個別の活動が、「地域の役に立ちたい」と考えている多くの人々に伝わり、具体的な行動を促すきっかけになることが期待できます。また、マッチング機能によって、活動の主催者が協力者を増やしたり、従来異なる分野で活動を行ってきた人たちに新たな協力関係が生まれたりして、活動の規模やその効果が広がっていくことも期待しています。これまで、リアルの生活上でむすびつかなかった人々が、SDGsを「共通言語」としてつながるこの機能は、デジタルツールならではの画期的な仕組みだと評価しています。

 現在は、サイトの公開を前に自治会などがその活用方法を検討しているところです。

地域活動をデジタルでむすび、協働のまちづくりへつなげる

―どういった活用が見込まれそうでしょうか。

 具体的な活用方法はまだ決まっていませんが、たとえば、自治会であれば現状、加入世帯の減少や活動の担い手不足といった課題を抱えています。そこへ、『グッドシティ』で活動への参加者を募ることで、自治会運営の持続可能性を高めることにつなげられそうです。また、学校教育においても、子どもたちのSDGsに対する理解や関心を深めるツールとして活用できると期待しています。

 従来からある地域活動やコミュニティがデジタルの力でより多くの人々とつながっていくことで、そこから協働のまちづくりの基盤が発展していくと信じています。

―松田町としての今後の活用方針を聞かせてください。

 誰もが簡単にアクセスできるデジタルの利点を活かし、当町の住民はもちろん、ゆくゆくは町外にも利用者を増やしていきたいと考えています。『グッドシティ』を通じたマッチングが関係人口の創出につながれば、地域課題の解決や地方創生に参加してくれる人の数は、さらに増えていくでしょう。SDGsの理念のもとに協働の輪を広げ、当町が掲げる「誰一人取り残さない!笑顔あふれる幸せのまち」を実現させていきたいです。


支援企業の視点

デジタルがつくる多様な仕組みで、SDGsの推進基盤を充実させよ

バイザー株式会社 代表取締役社長 井上 正巳
[提供] バイザー株式会社
バイザー株式会社
代表取締役社長
井上 正巳 いのうえ まさみ

―SDGsの達成に向けて、自治体はどういった取り組みを進めていますか。

 個々の行政施策とSDGsを関連づけ、地域が直面する課題をまず可視化するといった取り組みが多くの自治体で行われています。また、SDGsへの貢献を宣言した企業に認定を与えるなど、官民連携でSDGs推進を図る取り組みもみられます。しかし、「自治体や企業がSDGsに資する活動を一方向的に紹介するだけでは、住民レベルにまで活動の輪が広がらない」と感じている自治体も少なくありません。

―どうすればよいのでしょう。

 「SDGsに関心はあるが、自分になにができるかわからない」という住民たちが既存の活動に参加したり、活動の主催者と接点をもったりしやすい仕組みをつくれば良いのです。SDGsという共通の理念のもとに人と人が出会えば、そこから新たな発想や行動が生まれる可能性が高まるからです。そこで当社は、SDGs推進を支援するパッケージシステム『グッドシティ』を提供し、自治体における「協働のまちづくり」をお手伝いしています。

―特徴を教えてください。

 利用者による「SDGs宣言」を起点に、情報発信やマッチングなど、「協働のまちづくり」のサイクルを回すさまざまな機能を搭載している点です。利用者はアカウントの開設時に、SDGsの目標を17項目から任意で選んでSDGs宣言を行います。そうすると、たとえば「フードロス削減に取り組むスーパーマーケット」と「子ども食堂を開く団体」のように、本来異なる活動を行っている人々が、共通するSDGsの目標でつながり、新たな活動が生まれるといった効果が考えられます。自治体は、サイトの利用状況をもとにSDGsの推進度合いを「ローカル指標」として可視化できるため、それを将来のまちづくりのビジョン策定に活かすこともできます。

―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。

 今後も『グッドシティ』の機能や仕様を磨き込み、自治体と住民による協働のまちづくりを支援していきます。具体的には、クラウドファンディングや企業版ふるさと納税など、地域活動の運営を支援できる機能の追加を検討しています。ほかにも、居住地以外の自治体が運用する『グッドシティ』を利用して、地域を越えた交流を行えるようにするなど、仕様面も改善していきます。関心のある自治体のみなさんはぜひ、ご連絡ください。

井上 正巳 (いのうえ まさみ) プロフィール
令和元年、バイザー株式会社に入社。令和2年より現職。

バイザー株式会社
設立 平成19年1月
資本金 7,500万円
事業内容 『すぐーる』『すぐメールPlus+』など各種情報配信サービスや地方創生SDGsソリューション『グッドシティ』の開発・提供
URL https://www.visor.co.jp/
お問い合わせ電話番号 0120-211-533 (平日 9:00〜18:00)
『グッドシティ』の詳細はこちら https://www.visor.co.jp/goodcity/
松田町が運営する『グッドシティ』のページ https://www.goodcity.jp/town.matsuda.kanagawa
この記事で支援企業が提供している
ソリューションの資料をダウンロードする
\ たった1分で完了! /
 資料ダウンロードフォーム
バイザー株式会社
バイザー株式会社
電子印鑑ならGMOサイン 導入自治体数No.1 電子契約で自治体DXを支援します
自治体通信 事例ライブラリー