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【事例付き】地方自治体で電子契約の導入が進む理由は?法改正などの背景をわかりやすく解説

[提供] 東日本電信電話株式会社
    【事例付き】地方自治体で電子契約の導入が進む理由は?法改正などの背景をわかりやすく解説
    この記事の配信元
    東日本電信電話株式会社
    東日本電信電話株式会社

    電子契約は、従来行っていた紙の契約書ではなくデジタル上で契約を締結できる仕組みです。
    民間企業での導入はもちろん広まってますが、実は地方自治体でも、法改正をきっかけに電子契約の導入が進んできています。

    今回は、自治体で電子契約が進んでいる理由や導入する際に注意するポイントなどを、事例も交えて解説していきます。


    この記事を書いた人

    北森 雅雄 (きたもり まさお) プロフィール
    昭和62年、東京都生まれ。平成23年に東日本電信電話株式会社(NTT東日本)に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングを担当。平成28年から現職にて、AI関連のサービス開発・マーケティングを担当。

    目次

    (1)電子契約とは
     電子契約の基本
     電子契約と書面契約の違い
     電子契約のメリット
      ①業務効率化
      ②コスト削減
      ③契約手続きの可視化
      ④コンプライアンスの強化
     自治体における電子契約

    (2)法改正で地方自治体の電子契約が変わるポイント
     自治体で電子契約が進まなかった理由
     電子契約の署名方式
      当事者型署名
      事業者(立会人)型署名
      「事業者(立会人)型署名」が自治体でも利用可能に
     地方自治法改正で変わった電子契約の扱い

    (3)電子契約を導入する時の注意点
     ①業務フローの変更が必要なこと
     ②電子契約については取引先の合意が必要
     ③電子契約に対応していない契約もある
     ④地域企業への説明会・問い合わせ対応

    (4)自治体での導入事例
     ①茨城県笠間市
     ②岐阜県の18自治体
     ③長野県中野市

    (5)まとめ

    (1)電子契約とは

    テレワークや働き方改革が注目され、普及が拡大してきたのが電子契約です。
    電子契約がどのようなものなのかを、概要や導入のメリットについて紹介します。

    電子契約の基本

    電子契約は、「従来、書面にて押印・製本していた契約を、電子データによって契約書を作成し、締結することです。書面契約と異なり、印刷や押印が不要です。また、保管もクラウド上でおこなうことが一般的です。

    電子契約は一定の要件を満たせば効力を持つ契約として認められます。契約時は「電子署名」をすることで本人による契約を担保し、有効化する仕組みになっています。

    日本では最近浸透してきた電子契約ですが、世界でもすでに導入が進んでいる状態です。

    電子契約と書面契約の違い

    電子契約と書面での契約は、多く違う点があります。下記の表で、まずは比較します。

     
    電子契約
    書面契約
    形式 PDF等の電子データ
    契約書の作成方法 作成した契約書データを電子契約システムにアップロードする 作成した契約書を紙に印刷して綴じる
    署名方法 電子署名 本人の署名または押印
    証拠能力の担保 電子証明書・タイムスタンプ 割印・印鑑証明書
    契約締結方法 インターネット 携行・郵送
    必要コスト 電子契約システムの利用料 印紙代、郵送料、製本テープ代、封筒代等

    書面契約では、契約書を紙書類をもとに双方でやりとりします。
    印刷や割印などの作業が必要で、印紙代をはじめとした費用もかかります。

    また、契約締結までに通常、複雑な業務フローをこなす必要があり、時間と手間がかかります。

    一方の電子契約は、インターネットを介して契約する方法です。電子証明書やタイムスタンプが必要になるので、電子契約システムを利用することになります。
    対応が迅速にできますが、利用には電子契約システムの利用が必要なので、あらかじめ契約する両者で電子契約を利用することを認識を合意する必要があります。

    電子契約のメリット

    導入で得られるメリットを4つに絞って解説します。

    ①業務効率化

    契約書を書面で取り交わすためには、以下のフローが送付側の作業で必要になります。

    ・作成した書類を印刷
    ・製本して押印
    ・契約書を郵送

    さらに、契約相手には以下の作業が発生します。

    ・契約書を受け取り
    ・内容確認
    ・押印
    ・契約書の返送

    このような作業は、多くの手間と時間を要します。
    また、紙で作成された契約書には、保管場所やファイリングも必要です。

    電子契約は、システム上で手続きを完結でき、書面での契約締結に必要な手間やコストはかかりませんし、電子データは、保管や管理も簡単です。

    また、インターネットがあれば、どこでも契約書を作成・送信できます。
    リモートワークでも安心して契約締結でき、働き方を変えてくれます。

    ②コスト削減

    電子契約では、紙の契約と比較し、以下のコスト等を削減できます。

    ・印刷にかかる費用
    ・契約書類を郵送する代金
    ・印紙代
    ・契約書を保管するためファイルやキャビネットの費用
    ・保管のためのスペース

    一方、電子契約システムは利用料がかかります。

    具体的な料金はサービスによって異なりますが、多くの場合、年間利用料と、契約締結ごとの料金が発生します。
    契約処理が大量にある自治体では、利用料以上のコスト削減が見込めるでしょう。

    ③契約手続きの可視化

    契約手続きが今どの段階にあるのか可視化されるのも魅力の1つです。

    書面の契約書は、以下のようなプロセスを把握できず、不安になることもあるかと思います。

    ・郵送状況
    ・契約先が契約内容を確認しているか
    ・契約先が契約書を返送したかどうか

    返送に時間がかかっていたとしても、頻繁な催促はしづらいでしょう。

    電子契約は、現在どの段階なのかがひと目でわかります。
    手続きが進んでいない場合はフォローもでき、契約する双方が円滑にコミュニケーションをとることが可能です。

    ④コンプライアンスの強化

    電子契約システムは、IPアドレスでのアクセス制限や、承認権限の設定も可能です。
    保管も、システム側で適切なバックアップが行われますので、コンプライアンスの強化にもつながるでしょう。

    自治体における電子契約

    自治体では地方自治法により、電子契約締結にあたって電子証明書を併せて送信する必要がありました。
    後述で解説しますが、この電子証明書が自治体における電子契約の導入のネックとなっていました。

    しかし、2021年に行われた法改正では、主に自治体における電子契約サービスの利用に関する規制が緩和され、自治体での電子契約の導入するハードルが下がりました。
    次の章で、法改正のポイントを解説します。

    (2)法改正で地方自治体の電子契約が変わるポイント

    地方自治法施行規則が改正により、条文上に記載されていた「電子証明書を併せて送信すること」が不要となりました。
    このことが地方自治体での「電子契約」にどのような影響を与えるのか、今までの電子契約が進まなかった理由も含め解説します。

    自治体で電子契約が進まなかった理由

    2021年以前は地方自治法で、民間企業と自治体が電子契約を結ぶ際の条件が主に2つありました。

    ・改ざん検知機能・なりすまし防止機能が備わっている電子契約サービスを利用すること
    ・総務省令で定める電子証明書を取得すること

    この条件は、自治体だけでなく取引先の民間企業にも適用され、地域の民間企業での実態や対応コストを鑑みて導入に踏み切れない状態が続いていました。

    電子契約の署名方式

    電子契約の署名方式は以下の二種類があります。

    ・「当事者型署名」
    ・「事業者(立会人)型署名」

    各々解説していきます。

    当事者型署名

    指定認証局と呼ばれる第三者から電子証明書を取得したうえで、契約の当事者(自治体および取引先の事業者)がそれぞれ署名を行う署名方式です。

    電子証明書は従来の書面契約における印鑑証明書に相当するもので、本人性を証明する証拠として高い能力を持つ他、なりすましのリスクを防止できるというメリットがあります。

    しかし、当事者型署名は相手方にも電子証明書の取得や電子契約サービス導入の負担をかけるといったデメリットもあることから、自治体ではあまり普及しませんでした。

    事業者(立会人)型署名

    は、電子契約サービスの事業者が立会人となることで、当事者による電子証明書の取得を必要としない署名方式を言います。

    相手方の電子契約サービス導入も必須でないため、導入のしやすさから多くの企業が事業者(立会人)型署名を選択しています。

    「事業者(立会人)型署名」が自治体でも利用可能に

    地方自治法施行規則の改正によって自治体でもこちらの事業者(立会人)型署名を利用できることになり、少しずつ導入に向けた動きが進み始めました。

    地方自治法改正で変わった電子契約の扱い

    地方自治法施行規則改正によって電子証明書を要求する第2項が削除されたことから、民間企業には地方自治体との間で「当事者署名型」の電子契約のみならず、「事業者署名型」の電子契約を締結する道も開かれたことになります。

    改正前は本人性の確度・非改変性が高いとされる一定のレベルの電子証明書が求められていたことから、改正後はJ-LISや認定認証事業者、登記官でなくとも、一定の事業者が電子証明書を付して「当事者署名型」の電子契約を締結することも認められる可能性があります。

    ただし、「電子署名」としての適格(本人性の確度・非改変性)を満たすものであるかどうか(電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律施行規則2条、電子署名及び認証業務に関する法律2条1項)は、事業者が提供するサービスごとに問題になり得ます。

    (3)電子契約を導入する時の注意点

    電子契約を導入する場合は、どの電子契約サービスを採用するかを検討することになります。一般的には電子契約導入の担当者を決めたり、検討チームを編成したりしてベンダーを選定します。その上でリスクの洗い出しや、導入スケジュールの検討などがなされます。

    電子契約を導入するにあたって特に注意すべき点は、以下の3つです。

    1. 業務フローの変更が必要なこと
    2. 電子契約については取引先の合意が必要
    3. 電子契約に対応していない契約もある
    4. 地域企業への説明会・問い合わせ対応

    それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

    ①業務フローの変更が必要なこと

    紙での契約を電子契約に切り換える場合、業務フローが変わるケースがほとんどです。紙の契約書の場合は、営業部門が作成した契約書を法務部などがチェックして、契約の重要度に応じて異なる決裁プロセスを経て承認されるのが一般的です。

    電子契約にするとデジタルデータとして管理されるようになるため、同時並行的な処理が可能になりますが、業務フローをそれに適した内容に変更する必要があるでしょう。決裁規程などがある場合は、それも改定しなければなりません。

    電子契約が導入されると現場の職員が戸惑うケースも多いので、事前に研修を行うなどしてスムーズに導入できるよう準備しておきましょう。併せてマニュアルやQ&Aなども作成しておくことをおすすめします。

    ②電子契約については取引先の合意が必要

    BtoBの取引においては取引先と契約を締結することになりますが、電子契約を導入する場合は相手方の合意を得る必要があります。中小零細企業の中には未だパソコンを使っていないところもあるため、すべての取引先と電子契約ができるわけではありません。

    検討段階で取引先に電子契約について説明し、対応の可否を確認する必要があります。対応できる取引先にはマニュアルを配付するなど、電子契約をスムーズに行えるよう準備しておきましょう。対応できない取引先については、これまでどおり紙での契約も可能であることを伝えた上で、電子契約の導入に向けた支援ができないか検討することも重要です。

    ③電子契約に対応していない契約もある

    ほとんどの契約は電子契約で対応できますが、一部の契約は対応していません。現状、以下のような書面は、紙で作成しなければなりません。ただし、法改正によってここに上がっているなかでも多くの書類が電子化できるようになるでしょう(2022年5月宅建業法、2022年6月特商法など)。

    1. 定期借地契約書
    2. 定期借家契約書
    3. 宅建業者の媒介契約書
    4. 不動産売買における重要事項証明書
    5. 任意後見契約書
    6. 訪問販売等で交付する書面

    1〜4までの書面は高額な不動産の取引で用いられるもので、権利関係をはっきりさせておく必要性が高いことから、書面の作成・交付が義務付けられています。5の任意後見契約書については公正証書の作成が義務付けられており、公証人の面前で署名する必要があります。6の訪問販売においても、消費者を保護するために書面の交付が義務付けられています。書面に書くべき内容は法律で規定されており、虚偽の記載をした場合は罰則が科せられます。

    ④地域企業への説明会・問い合わせ対応

    電子契約を導入する際は、公共的な立場である自治体としては単純にホームページで周知するだけでない場合が一般的です。
    本格導入にあたっては、以下のような準備・体制を整える必要があります。

    ●地域企業への説明会の開催
    ●電子契約に関する対応の問い合わせ窓口の設置・マニュアルの配布

    これらは内製で実施される自治体さまもおりますが、外部の実績のある企業と協力体制をつくっておくと、効率的に導入を進めることができます。

    (4)自治体での導入事例

    ①茨城県笠間市

    笠間市では、全体で年間数千件の契約があり、それらを全て電子契約にうつして、稼働効率化やコスト削減を図ろうとしています。

    導入にあたっては、地域の民間企業に使ってもらえるかの理解を深めるために、実証実験を行ったようです。

    地域の民間企業からは、「毎回市役所に来る手間が省けるのですごく良い」「市が前向きに推進してくれているのが良い」という声があがり、地域の業務効率化の推進にも効果がありそうです。

    出典:形式的な押印を廃止、行政から民間企業への普及を目指す

    ②岐阜県の18自治体

    こちらは、まだ本格導入前ですが、岐阜県内の18の自治体で一斉に実証実験を開始した事例です。

    自治体と電子契約を行う地域の民間企業は、複数の自治体と契約することがあるので、このように近隣自治体が足並みを揃えて地域の理解を得る活動は、自治体・民間企業の双方とって効率的に導入を進められます。

    出典:岐阜県内の18自治体がWeb完結型電子契約「クラウドサイン」の実証実験を開始

    ③長野県中野市

    法改正によって民間事業者様との契約において電子署名の規制緩和により、導入に踏み切った事例です。
    長野県下では、初めての導入であったことも特徴的です。

    中野市では、電子契約サービス導入について事業者様の反応を知りたいと思い、建設業協会や商工会議所の方を対象に勉強会を開いたようです。 説明会をいきなり開催するのではなく、地域の理解を深めるために勉強会を行うのも効果的な手法ですね。

    出典:長野県で電子契約を先行導入する中野市。事業者メリットを優先したその背景にあるものとは

    (5)まとめ

    今回は、電子契約が自治体で進む理由について解説しました。

    新型コロナが流行し、非対面での対応が主流になっているなか、電子契約は地域に対してのDXの効果的なやり方だと思います。

    NTT東日本では、LGWAN-ASP電子契約サービスに加え、導入にあたるサポートも対応可能な「おまかせ はたラクサポート」を提供しています。
    今回解説した内容を含め、電子契約を検討する上での機能・サポートを詳しく解説していますので、ぜひご興味ある方はダウンロードしてみてください。

     

    会社概要
    社名 東日本電信電話株式会社
    所在地 〒163-8019 東京都新宿区西新宿3-19-2
    設立 1999年7月1日
    事業内容 東日本地域※1における地域電気通信業務※2及びこれに附帯する業務、目的達成業務、活用業務
    ※1北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県及び長野県
    ※2県内通話に係る電話、専用、総合デジタル通信などの電気通信サービス
    URL https://www.ntt-east.co.jp/
    東日本電信電話株式会社
    東日本電信電話株式会社

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