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相模原市長インタビュー(後編)~SDGsの輪を広げる相模原戦略

【自治体通信Online 寄稿記事】再定義論「シビックプライド」⑦(関東学院大学法学部准教授/社会情報大学院大学特任教授・牧瀬 稔)

相模原市長インタビュー(後編)~SDGsの輪を広げる相模原戦略

相模原市 本村賢太郎 市長へのインタビュー後編はSDGs政策について。同市は「SDGs先進度調査」において全国総合第6位(首都圏では第1位)となっているほか、2020年度からは「SDGs推進室」を創設。SDGsを強力に推進しています。本連載を執筆している関東学院大学 牧瀬稔 准教授のゼミ生がインタビューを実施し、牧瀬准教授が監修しました。

【目次】
■ 市民への周知が課題
■ 何気ない日常とSDGsを結び付けていく

市民への周知が課題

―相模原市のSDGsの取り組みにおける課題を教えてください。

ひとつ上げるとすれば、市民への周知が足りないと思っています。2019年1月にSDGsに関して相模原市は、全国第6位という指標がでました。それ自体はうれしく、誇れるものでしたが、当時私は市職員含め市民のほとんどが意識していなかったのかなという印象でした

たとえば、私が2019年4月に市長になった時に、SDGsの缶バッチ作成の発案があり、SDGsと相模原市のマスコットのさがみんがコラボした缶バッチを作りました。そのバッチを付けていると市民の皆さんから「かわいいですね」と好評でしたが、一方で「それは何ですか?」という声も多く聞かれました。

それで、SDGsの取り組みを積極的に推進するため、市職員に対してSDGsのワークショップの実施したほか、市民を対象にシンポジウムやフォーラムを開催しました。また、神奈川県のが主導した「SDGs日本モデル宣言」に賛同しするとともに、県と共同でイベントを開催し、や相模原青年会議所と一緒にイベントを実施してきました。

他にもさまざまなイベント等を通してSDGsの周知を進めてきました。その成果もあって、少しずつですが市民に浸透してきたように思います。

相模原市の本村賢太郎市長。「SDGsの一層の周知と浸透が課題」(本村市長)
相模原市の本村賢太郎市長。「SDGsの一層の周知と浸透が課題」(本村市長)

何気ない日常とSDGsを結び付けていく

―SDGsの取り組みで意識していることを教えてください。

少しずつ浸透してきたとは言え、まだSDGsを知らない方もいます。ですから、今後も市としてよりSDGsを推進していくとともに、SDGsの取り組みを市民にわかりやすく伝えていきたいと考えています。

市民の皆さんから「SDGsって何をするの?」と聞かれることがあるのですが、「SDGsという言葉は知っているけど、具体的に何をやればいいのかわからない」と感じている方は多いと思います。

実際には(個人ができるSDGsの取り組みは)非常に簡単なことでしてもありまして例えば「プラスチックを使わない」とか「マイボトルを使う」、あるいは「ごみを減らしてリデュース、リユースをやる」などが挙げられますです。こうしたことを日々の生活のなかで行っている方は多いでしょう。

このように、何気なく実施している活動や行動が、実はSDGsであるということが多々あります。そこで、そうした活動などをより意識していただくことがSDGsにつながっていくということを理解してもらい、その取り組みの輪を広げていくため、SDGsの意味や取り組みを市民の皆さんに周知をしていくことに一生懸命取り組んでいるところです。

SDGsは世界共通言語になってきています。SDGsの「誰ひとり取り残さない」という理念を実践する意味でも、相模原市に住む外国の方をはじめとした多様な市民の方たちに幅広く発信していきたいと思っています。

~相模原原市のSDGs~
これまでの積極的な普及啓発活動や、都市と自然の調和や共生社会を推進する本市の持続可能な開発を実現する高いポテンシャルが評価され相模原市は政府が推進している「SDGs未来都市」(2020年度)に選定された(画像上参照)。
2020年3月にはSDGsの普及啓もうを図る相模原市民向けサイト「SDGs one by one」をオープン。画像下は同サイトのトップページ(URLはhttps://sdgs.city.sagamihara.kanagawa.jp/)。2020年8月からはSDGsに積極的に取り組んでいる企業や団体などを登録する「さがみはらSDGsパートナー制度」を開始している。

子育て支援や貧困対策、環境行政など市の取り組みは全部SDGsにつながるものだと考えています。そのため、市の政策をSDGsの観点から整理し、相模原市総合計画において「それぞれ「がSDGSの何番目のゴールにあたるのか」を位置づけました。

市の事業を進めていくにあたっては、SDGsを達成するためにも、経済・社会・環境の三側面のバランスをはかることが重要です。企業の皆さんにも、そうした取り組みをより積極的にしていただければと思います。

本村市長を囲む牧瀬ゼミの学生など(左から、牧瀬ゼミ生の①柴田亜実さん、②齋藤ななみさん、③岩井柾樹さん、④鶴見洸太さん、⑤益田寿真さん、本村市長、⑥田所憲二さん、⑦峰尾涼さん、牧瀬准教授)
本村市長を囲む牧瀬ゼミの学生など(左から、牧瀬ゼミ生の①柴田亜実さん、②齋藤ななみさん、③岩井柾樹さん、④鶴見洸太さん、⑤益田寿真さん、本村市長、⑥田所憲二さん、⑦峰尾涼さん、牧瀬准教授)

~学生の視点~

①柴田亜実 さん
シビックプライドやSDGsを通して、これからの相模原市の在り方を相模原市長から直接聞くことができた貴重な機会でした。私生活でも自分の住んでいる地域に目を向け、誇れるところを探すことを心がけていきたいです。

②齋藤ななみ さん
相模原市長のお話を直接聞くという貴重な経験を今後の自分の活動の強みにして行きたい。SDGsやシビックプライドに対して相模原市としてどのような思いを持って取り組んでいるのかがわかりました。SDGsやシビックプライドに対して自分なりの考えを持っていきたいと思いました。

③岩井柾樹 さん
市長がわかりやすく説明してくれました。市の職員の方たちにもお話をうかがうことができ、意識は市長と同じように高く、市民のために働いているという意識のもと職務に邁進されている姿が参考になりました。

④鶴見洸太 さん
SDGSやシビックプライドについて改めて知ることができました。授業では知ることのできない当事者の方々からお話を聞くことで、どのような気持ちをもって仕事を行っているのかなども知ることができ、今回得た学びを今後の学校生活や将来に生かしていこうと思いました。

⑤益田寿真 さん
政令市の首長に学生がお会いできる機会はとても貴重で、お会いする前まではとても緊張していました。ですが、実際にお会いしてみると我々学生に対してもわけ隔てなく接してくださり、丁寧に答えてくださいました。

⑥田所憲二 さん
今回、相模原市長と担当課の方々にインタビューをさせていただき、市民として相模原市に住んでいてよかったと感じました。相模原市の現状と今後の取り組みを私たち学生にも身近な話題でわかりやすく話してくださり、勉強になりました。

⑦峰尾涼 さん
今回のヒアリングを通して、主に相模原市がシビックプライドやSDGsに対してどのような取り組みを行っているかをよく知ることができました。また、シビックプライドという言葉や意味については、市民への認知度が少しずつ増加していることがわかりました。

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本連載「再定義論『シビックプライド』」のバックナンバー
第1回:定住人口増等に不可欠な「地域戦略」の新しい基軸に
第2回:シビックプライドが創る「活動人口」という“新しい未来”
第3回:急速に盛り上がる「SDGs」その課題と展望
第4回:自治体はSDGsそのもの(前編)~既存事業にこそ「大きな価値」
第5回:自治体はSDGsそのもの(後編)~SDGsは地方自治体に光を当てる
第6回:相模原市長インタビュー(前編)~自治体発信力が「シビックプライド醸成」の鍵

牧瀬 稔(まきせ みのる)さんのプロフィール

法政大学大学院人間社会研究科博士課程修了。民間シンクタンク、横須賀市都市政策研究所(横須賀市役所)、公益財団法人 日本都市センター研究室(総務省外郭団体)、一般財団法人 地域開発研究所(国土交通省外郭団体)を経て、2017年4月より関東学院大学法学部地域創生学科准教授。現在、社会情報大学院大学特任教授、東京大学高齢社会研究機構客員研究員、沖縄大学地域研究所特別研究員等を兼ねる。
北上市、中野市、日光市、戸田市、春日部市、東大和市、新宿区、東大阪市、西条市などの政策アドバイザー、厚木市自治基本条例推進委員会委員(会長)、相模原市緑区区民会議委員(会長)、厚生労働省「地域包括マッチング事業」委員会委員、スポーツ庁参事官付技術審査委員会技術審査専門員などを歴任。
「シティプロモーションとシビックプライド事業の実践」(東京法令出版)「共感される政策をデザインする」(同)「地域創生を成功させた20の方法」(秀和システム)「持続可能な地域創生 SDGsを実現するまちづくり」(プログレス)など、自治体関連の著書多数。
<連絡先>
牧瀬稔研究室  https://makise.biz/

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