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藤沢市議会の「投票率向上」に向けての取り組み~後編

    【自治体通信Online 寄稿連載】基礎自治体のための議会改革の地図⑤(関東学院大学法学部准教授/社会情報大学院大学特任教授・牧瀬 稔)

    前回 に引き続き、藤沢市(神奈川)の投票率向上の取り組みについて、同市議会および議会事務局、選挙管理委員会に取材した牧瀬ゼミ生によるレポート記事の後編。同市議会の「カフェトーク」の取り組みや牧瀬ゼミ生の視点などについて、本連載の執筆者である関東学院大学法学部 准教授の牧瀬 稔さんが監修しました(学年は2019年のものです)。
    【目次】
    ■ “カフェトーク”
    ■ 牧瀬ゼミ生の知見
    ■ それぞれの学生の視点

    “カフェトーク”

    藤沢市議会では、平成25年に施行された「藤沢市議会基本条例」の理念である「開かれた議会」「市民に親しまれる身近な議会」に基づいて実施してきた議会報告会・意見交換会(下の条例参照)をさらに発展させた「カフェトークふじさわ」を開催しており、他議会から注目を集めています。

    (広報広聴機能の充実)
    第9条 議会は,市民に対し議会活動に関する情報を積極的に公表し,議会に対する市民の意思の把握及び意見を交換する場として議会報告会等を開催するものとする。
    2 議会は,広報広聴機能の充実を図るため,議員で構成する広報広聴委員会を設置する。

    2019年11月に行われた「第5回カフェトークふじさわ」ではのテーマは「ふじさわのマニフェストをつくろう!」。若い世代の方々も含めて、藤沢市に期待することは何かを提案してもらうため、今回から、対象を高校生以上から中学生以上に拡大し、より若い世代の方が参加してきました。私たち牧瀬ゼミの学生もお手伝いさせていただきました。

    当日は、テーブルを囲んだカフェスタイルの和やかな雰囲気の中で、参加者と市議会議員のみなさんと一緒に自由に話し合いを行いました。

    「カフェトークふじさわ」のポスター(左写真)と開催当日の様子(右写真)
    「カフェトークふじさわ」のポスター(左写真)と開催当日の様子(右写真)

    牧瀬ゼミ生の知見

    今回の藤沢市議会へのインタビューで、私たちが考えた知見は以下です。

    ①何が何でも投票率の向上を絶対にしなければいけない訳ではない(行きたくない人を無理やり行かせることはない)。

    ②藤沢市の投票率が低いのは、移住者が多いことが考えられる。移住者に対しても、積極的な市の情報提供が求められる。

    ③多くの市民に関係する案件(市町村合併や増税など)がないと、政治は市民に他人事として認識されやすいため投票率の低下につながる。

    ④一概に「選挙」といっても、国政選挙と地方選挙では、周知の方法や知名度などさまざまな違いがあるため、同じ対策が効果的とは限らない。

    ⑤幸福度=投票率の方程式があるかもしれない。市民の幸福度が上がることで、投票率も向上する。

    ⑥若者により政治参加してもらうために、18歳以下をどのように巻き込んで取り組みをしていくかが重要である。

    それぞれの学生の視点

    北島 奈々香(法学部法学科2年)
    若い世代が選挙に参加しないと若い世代向けの政策が反映されなくなると思います。私も日頃から政治に関心をもっていきたいと思います。

    旭 流星(法学部法学科2年)
    投票率が低い現状を変えていくには、教育の段階から若者をいかにして選挙、政治に興味を持ってもらうことができるかが重要だと思いました。

    山岸 龍平(法学部地域創生学科2年)
    多くの自治体が頭を悩ませているであろう投票率という課題において、藤沢市議会議員や職員の方から生の声を聞くことができ、大変貴重な機会に感銘を受けました。

    山内 晏奈(法学部地域創生学科2年)
    若い世代の選挙への関心が低いことは、これからの未来を担う私たちにとってとても重要な問題だと思います。私ももっと関心を持とうと思いました。

    草彅 未丸(法学部地域創生学科2年)
    私は今回、ヒアリングと執筆の両方に携わりました。藤沢市議会の投票率についての考え方やとらえ方を学び、驚く部分も多くありました。知見を広めるいい機会になりました。

    金子 未智恵(法学部地域創生学科2年)
    投票に対しての若者の意識の低さについて印象に残りました。問題点の改善に向けて取り組みが印象に残りました。

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    本連載「基礎自治体のための議会改革の地図」のバックナンバー
    第1回:「削減ありき」でヨコ並び“地方議会改革”の歴史
    第2回:透明化 疑問符 対立~1990年代から2010年代の地方議会改革ヒストリア
    第3回:地方議会基本条例のトレンドと“改革本気度”
    第4回:藤沢市議会の「投票率向上」に向けての取り組み~前編

    牧瀬 稔(まきせ みのる)さんのプロフィール

    法政大学大学院人間社会研究科博士課程修了。民間シンクタンク、横須賀市都市政策研究所(横須賀市役所)、公益財団法人 日本都市センター研究室(総務省外郭団体)、一般財団法人 地域開発研究所(国土交通省外郭団体)を経て、2017年4月より関東学院大学法学部地域創生学科准教授。現在、社会情報大学院大学特任教授、東京大学高齢社会研究機構客員研究員、沖縄大学地域研究所特別研究員等を兼ねる。
    北上市、中野市、日光市、戸田市、春日部市、東大和市、新宿区、東大阪市、西条市などの政策アドバイザー、厚木市自治基本条例推進委員会委員(会長)、相模原市緑区区民会議委員(会長)、厚生労働省「地域包括マッチング事業」委員会委員、スポーツ庁参事官付技術審査委員会技術審査専門員などを歴任。
    「シティプロモーションとシビックプライド事業の実践」(東京法令出版)、「共感される政策をデザインする」(同)、「地域創生を成功させた20の方法」(秀和システム)など、自治体関連の著書多数。
    <連絡先>
    牧瀬稔研究室  https://makise.biz/

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