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自治体のチャットボット導入事例10選!活用法や用途を紹介【自治体事例の教科書】


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チャットボットは、チャットをするロボットで、自動返信を行うプログラムという意味です。メッセージアプリでやりとりをするように問い合わせをすることで、自動で返答が得られるサービスを活用した経験がある人も多いでしょう。現在、自治体でのチャットボットの活用が進んでいます。

自治体におけるチャットボットの用途

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チャットボットには、以下のような機能があります。

  1. 問い合わせ対応
  2. 広報活動
  3. 内部の実務サポート

上記のような用途に対応するため、自治体でチャットボットを使う事例が導入・活用されています。

個別の問い合わせ対応には、従来では電話やメール、Webで対応することが多くありましたが、チャットボットを使うことで業務効率化を図る自治体が増えています。
また、広報活動はAIを利用することで、身近な存在に感じやすくなるメリットもあります。

さらに、自治体職員の業務にもチャットボットを導入することで、内部でのやりとりをサポートする動きもあります。

それぞれの機能におけるメリットを、以下で具体的に見ていきましょう。

1.問い合わせ対応

チャットボットで問い合わせ対応を行うメリットには以下のようなものがあります。

  • 24時間365日自動で対応
  • 豊富な情報から目的の情報へアクセスがしやすい
  • 自動翻訳で外国人の対応も可能

チャットボットを活用した問い合わせ対応のメリットや特徴には、まず24時間365日の対応が自動で行えることが挙げられるでしょう。

通常、自治体であれば営業時間は限られており、受付はしてもらえても、対応は営業時間内のみとなることがほとんどです。また、詳細がわかる職員がいない場合には、待たされることもあります。しかし、チャットボットであれば「今知りたい」と思って問い合わせされたことに、すぐに対応することができます。自治体の利用用途で多いものが、問い合わせ対応であることから、これは大きなメリットと言えるでしょう。

また、あらかじめ問い合わせされる内容を準備しておき、多くの情報に応えられるようにしておくことで、目的の情報へのアクセスの導線も作ることができ、利用者の利便性にもつながります。

自動翻訳を併用することで、外国人への対応も可能なこともメリットと言えるでしょう。

2.広報活動

チャットボットで広報活動を行うことには以下のようなメリットがあります。

  • 住民の自治体への理解が自然と深まる
  • 容易にアンケートを行える
  • AIに愛着がわき、身近に感じられる

自治体の広報活動用チャットボットで代表的なものは「渋谷みらい」です。AIは、「渋谷みらい」という子供のキャラクターです。このAIとLINEで会話を行いながら、区の基本構想などを住民に周知しています。さらに、おしゃべり機能も搭載されており、これには、住民と他愛のない雑談も含まれます。

住民が今、どんなことを思っているか、これからどんな街になっていくといいと考えているのか、などのアンケート結果も、チャットボットの会話によって得ることができます。AIが身近な存在となっていけば、このようなアンケートも形式的なものではなく、本音を引き出せる効果も期待できるでしょう。

3.内部の実務サポート

チャットボットは内務の実務サポートにも利用することができます。メリットは以下のようなものがあります。

  • 自治体の職員の業務効率が上昇する
  • 人手不足をカバーできる

チャットボットが自治体に与える影響は、住民へのサービスだけではありません。内部の実務サポートを支え、職員の業務効率を上昇させています。自治体の業務の大きなウエイトを占める問い合わせ対応において、チャットボットを活用することで一次対応が可能となれば、人間でなければ対応できない細やかな部分への対応への時間を作ることもできます。手続きの簡略化だけでなく、迅速化にもつながります。

また、職員数が今後減っていく自治体もあることから、人手不足が叫ばれていますが、チャットボットを活用することで、質を低下させることなくサービスを継続していくことも可能となるでしょう。

自治体のチャットボット導入事例10選

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それでは、自治体でチャットボットを導入している事例をもとに、どのように対応し、業務効率化を行っているのか、用途別に紹介していきます。

  1. 【問い合わせ対応】福島県会津若松市 「LINE de ちゃチャット問い合わせサービス」
  2. 【問い合わせ対応】東京都港区 「多言語AIチャット」
  3. 【問い合わせ対応】京都府南山城村 「御用聞きAI」 
  4. 【問い合わせ対応】徳島県 「とくしま丸ごとAIコンシェルジュ」
  5. 【問い合わせ対応】長崎県宇都宮市 「教えてミリヤー」
  6. 【実務サポート】埼玉県 「COTOHA Chat & FAQ」
  7. 【実務サポート】長崎県大村市 「AIおむらちゃん」
  8. 【実務サポート】岡山県和気町  「わけまろくん」
  9. 【広報】福井県永平寺町 「小梅ちゃん」
  10. 【広報】東京都渋谷区 「渋谷みらい」

AIの問い合わせ対応に特化したものや、実務サポート、広報など特色のあるものばかりです。

1.【問い合わせ対応】福島県会津若松市 「LINE de ちゃチャット問い合わせサービス」

会津若松市では、LINEを利用したチャットボットが活用されています。ごみの出し方や、除雪車の走行状況など、生活の中での疑問点などを、LINEを活用して簡単に問い合わせることができます。

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引用:「LINE de ちゃチャット問い合わせサービス」がはじまりました! - 会津若松プラス

多くの人が利用しているLINEで、友だち登録をするだけですぐに使えることができるチャットボットで、暮らしの中での小さな疑問や相談を気軽に行えます。「他のアプリの使い方はよくわからない」という人でもLINEであれば使える人も多いでしょう。

休日や夜間などに、病院を探したい時にも24時間対応で、すぐに知りたい情報を得ることができます。また、相手がAIであることで、かしこまらずに気軽に質問することもできます。

さらには、自分が問い合わせる内容の担当の課がわからない、といった時にも、まずチャットボットに問い合わせることもできます。

参考:会津若松+(プラス)「LINE de ちゃチャット問い合わせサービス」がはじまっています

2.【問い合わせ対応】東京都港区 「多言語AIチャット」

東京都港区では、多言語によるAIチャットを活用し、外国人向けの情報発信を行っています。外国籍の方が多く居住している地域ならではのサービスと言えるでしょう。

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引用:港区  多言語AIチャットによる外国人向け情報発信を行っています!

英語とやさしい日本語で対応することで、防災や医療、税金などの手続きなどについて質問できるようになっています。さらに、外国籍の住民に向けて、日本ならではの生活習慣や、文化の違いなどについて紹介するミニ知識が実装されているのも、この地域ならでは、と言えるでしょう。

質問内容を分析することで、外国人がどのような情報を必要としているのか把握することができ、ニーズに沿った施策を展開しています。また、英語でも気軽に質問できるチャットボットの存在が、地域への愛着や、行政に対する興味を深めることにも一役買っていると言えるでしょう。さらに観光についても質問できるため、観光客のニーズにも対応しています。

参考:港区  多言語AIチャットによる外国人向け情報発信を行っています!
参考:公益財団法人東京市町村自治調査会 自治体におけるAI・RPAに関する取り組み状況

3.【問い合わせ対応】京都府南山城村 「御用聞きAI」

京都府唯一の村である南山城村では、問い合わせ対応や地域の情報提供のために「御用聞きAI」を提供しています。高齢者の多い地域であることを加味して、操作のしやすいユーザーインターフェースで、まるで対話をしているような感覚で使用できるアプリになっています。

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引用:PRTIMS  エルブズ、高齢者生活支援対話システム「御用聞きAI®」「エルブズ アップス」を順次リリース開始

高齢化社会になる中で、過疎化が進んでいる地域では買い物をする場所が限られ、自動車を持っていない、運転できないなどの「買い物難民」が増えてきます。チャットボットで買い物支援を行うためには、高齢者であっても簡単に利用できるシステムが必要となります。

今後、さらなるチャットボットの利用で、ノウハウを蓄積していくことが高齢化社会での自治体運営の鍵となるかもしれません。先行自治体として、この「御用聞き」の効果の立証が待たれるところです。

参考:PRTIMS  エルブズ、高齢者生活支援対話システム「御用聞きAI®」「エルブズ アップス」を順次リリース開始
参考:公益財団東京市町村自治調査会 自治体におけるAI・RPAに関する取り組み状況

4.【問い合わせ対応】徳島県「とくしま丸ごとAIコンシェルジュ」

徳島県が問い合わせ対応のために運用している「とくしま丸ごとAIコンシェルジュ」は、県政全般に対するさまざまな問い合わせに対応可能です。従来、県庁のコールセンターに問い合わせていた内容でも、24時間対応の「とくしま丸ごとAIコンシェルジュ」に気軽に問い合わせることで解決できることも多いでしょう。

徳島県でも、外国人からの問い合わせには言語の問題から、適切に回答することができていない、という問題を抱えていました。「とくしま丸ごとAIコンシェルジュ」では、英語はもちろん中国語、韓国語、ベトナム語の4か国語が対応となっています。専用のアプリは必要とせず、徳島県のホームぺージを開き、トップ画面に表示されるポップアップナビをクリックするだけで会話画面を開くことができます。

回答された内容についての満足度のデータ蓄積や、問い合わせ内容が多い分野を分析し、今後もFAQの充実などが図られていきます。

(例)参考:徳島県  「とくしま丸ごとAIコンシェルジュ」の運用開始について(説明)
(例)参考:公益財団東京市町村自治調査会 自治体におけるAI・RPAに関する取り組み状況

5.【問い合わせ対応】栃木県宇都宮市「教えてミヤリー」

栃木県宇都宮市では、LINEの友だち登録をすることで問い合わせが可能な「教えてミヤリー」を提供しています。

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引用:宇都宮市 LINEで24時間回答「教えてミヤリー」

子育てに関する問い合わせに特化しているサービスで、仕事をしていて市役所の営業時間内に問い合わせができないといった問題も、24時間対応で解決できます。

子育て世代の身近なSNSであるLINEサービスですから、気軽にどこからでも問い合わせをすることができるでしょう。多くの人から、さまざまな質問を受けることでAIが学習し、どんどん進化していきます。

(例)参考:宇都宮市 LINEで24時間回答「教えてミヤリー」

6.【実務サポート】埼玉県 「COTOHA Chat & FAQ」 

埼玉県のサービス「COTOHA Chat & FAQ」は、県庁内での実務サポートをしています。
埼玉県庁内の職員は約2万5千人。パソコンの操作方法や、業務系システムの利用方法などの疑問点や、不具合が生じた際の問い合わせなどを、これまで電話やメールなどで受け付けていました。昨今のデバイス数の増加もあり、問い合わせ件数が多く、業務効率化が望まれていました。

そこで、システムの操作方法など、自己解決を促進させるためにAIチャットボットが導入されたのです。なるべく正確な回答を得られればFAQの利便性が向上するため、単語の意味だけではなく、自然文の理解ができるチャットボットが導入されています。定例的な質問はFAQ内で解決することができれば、電話対応の稼働の大幅軽減が可能になるでしょう。

参考:NTTcommunications 埼玉県庁

7.【実務サポート】長崎県大村市 「AIおむらんちゃん」

長崎県大村市では、市のゆるキャラでもある「おむらんちゃん」が、職員の実務サポートをする「AIおむらんちゃん」として活躍しています。職員数の減少や制度の複雑化によって1人の職員にかかる業務の負担が増えていることから、職員同士の問い合わせに自動応答することで業務効率化を目指しました。

結果、他課からの問い合わせ対応時間の削減や、職員の知識をサポートすることなどの成果が得られ、全体の業務効率化がされました。このノウハウから、大村市では市民向けのAI自動応答サービスの導入も検討されています。

参考:大村市 おむらんちゃんの部屋
参考:チャットボットを活用した実施事例【自治体事例の教科書】 | 自治体通信Online

8.【実務サポート】岡山県和気町  「わけまろくん」

岡山県和気町の「わけまろくん」は、移住希望者からの問い合わせに自動で回答できるAIチャットボットです。定型的な問い合わせに自動で答えるサービスを導入することで、細やかな対応が必要となる具体的な業務に時間を有効利用することができるようになっています。

わけまろくんは、運用開始後1ヶ月でなんと約5,000件の問い合わせに正しく回答ができたと報告があり、職員の業務軽減に役立っています。

参考:Softbank 岡山県和気町 様 | IBM Watson導入事例

9.【広報】福井県永平寺町 「小梅ちゃん」

福井県永平寺町では、曹洞宗大本山永平寺の旧参道入り口に設けた観光案内所に、人工知能(AI)機能を使った「観光案内多言語AIコンシェルジュ」を導入しています。作務衣をまとったキャラクターである「小梅ちゃん」が観光客の質問に答えるシステムです。

永平寺は外国人観光客も多いことから、多言語による案内もしてくれます。
対応する人手不足を補い、外国人も安心して問い合わせをすることができるチャットボットの導入は、今後もさまざまな場所で増えていくでしょう。

参考:毎日新聞 「小梅ちゃん」がご案内 永平寺町で導入/福井

10.【広報】東京都渋谷区 「渋谷みらい」

東京都渋谷区 「渋谷みらい」は、区民への広報をはじめ、たくさんの区民の声を生かすためのチャットボットです。

子育てや教育をはじめ、福祉や防災、安全に関すること、さらに文化やエンターテインメント、スポーツに関わることまで、幅広い内容について会話を行いながら情報を得ることができるようになっています。地域に外国人も多く居住していることから、多言語対応もされています。

参考:YOU MAKE SHIBUYA 住民AI渋谷みらい

自治体でチャットボットの導入がおすすめな理由

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ご紹介してきたように、多くの自治体でチャットボットの導入がされています。その理由は以下のようなものです。

  • AIのなかでも導入しやすい
  • 職員の業務効率が上がる
  • 人件費が軽減できる
  • 利便性が増す

チャットボットは、AIのなかでも導入がしやすく、職員の業務効率を上げることができます。職員数の減少による人手不足を解消するツールとして見逃せないものでしょう。また、電話対応に多くの人員を必要としていた自治体であれば、人件費の軽減にもつながります。

加えて、気軽に問い合わせができる、24時間対応が可能、多言語対応など、使う側の利便性が増すことも大きなメリットと言えるでしょう。外国人が多く住んでいる、外国人観光客が多い名所があるなど、多言語化が必要な自治体にもチャットボットの導入はおすすめです。

まとめ

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AIというと難しいイメージがあり、チャットボットを業務に取り入れるのは躊躇してしまうかもしれません。しかし成功事例からわかるとおり、チャットボットは実際に利便性が増し、業務効率化を図ることができる便利なツールです。

今後、国際化がさらに進むと考えられていることを考えれば、早めに多言語対応にすることが求められるでしょう。自治体にとっても、外国人利用者にとっても安心して利用できるサービスを構築しておく必要があります。