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「儲けてもらう仕組み」をつくる

【自治体通信Online 寄稿連載】小さな自治体の大胆インバウンド戦略③(みなかみ町職員・阿部 真行)

「儲けてもらう仕組み」をつくる

「みなかみ町って、どこにあるんですか?」―。取り組み開始から5年で台湾インバウンドを10倍超に急拡大させることに成功したみなかみ町。しかし、このプロジェクトを担当した同町職員で、この連載の筆者である阿部さんが最初に突き当たったのは「知名度ゼロ」の壁でした。連載第3回は、そうしたピンチを乗り越えることができた理由です。
 
【目次】
■ 小さな会社と組んだ意外なメリット
■「ウィン・ウィン」がポイント
■ あらゆる自治体に「入り込む隙間」がある
■ 受け入れ体制も重要

小さな会社と組んだ意外なメリット

前回では、みなかみ町の台湾インバウンド促進のあらましをまとめました。そのなかで、「大手ではなく、小さくて、できれば景気の悪い現地の旅行会社への積極的な接触」という“逆転の発想”が原点にあったことをお伝えしました。
(連載第2回「『知名度ゼロ』だから新たな観光資源になる」参照)

好きこのんで小さく景気の悪い会社を選ぶ自治体はないかも知れません。ただ同じように小さなみなかみ町にとっては多くのメリットがあったと思っています。

まずは価格や行程について直接社長と「顔を見せながら」話ができるというメリットです。

大手会社がつくる有名観光地のツアーは相場が出来ている為に価格競争になりがちです。そうすると扱う量からして大手には太刀打ちできない。

価格競争に巻き込まれ、町職員としてもホテル・旅館の方に価格を下げて欲しいとお願いするのは嫌だったし、多くの施設が価格を下げたために質も下がるという悪循環に陥っているのを見ていました。

ところが「誰も知らないみなかみ町」のツアーは市場に相場が存在しないために、ある程度高めの料金設定が可能です。

この部分を各社長に説明して、少し高めのツアー料金を設定してもらうようにお願いしました。

「ウィン・ウィン」がポイント

結果として送客側(台湾の旅行会社)・受入側(みなかみ町のホテル・旅館など)双方の利益率が高くなる「ウィン・ウィン」の仕組みをつくれました。

もうひとつ、小さな会社と組んだメリットとして「成果が見えやすい」というものがあります。

利益率が高いみなかみ町ツアーを売ったおかげで儲かった某会社では、社長がジャガーを乗り回すようになってくれました(^^)。

その為、旅行会社業界で「何故あの会社が急に儲かっているんだ」と話題になり、みなかみ町を新たな素材として観光業界に対して売り込みやすい環境をつくれたのです。

また、今は他自治体も現地旅行会社と組むケースも増えつつありますが、私が台南に来た当時は稀少な例でした。さらに、台湾と中国の関係悪化で、それまで強かった中国線の営業不振により、台湾の旅行会社たちは新しいビジネスチャンスを探していたことも追い風になりました。

こうしたタイミングが重なり、本当に隙間をついてという感じですが、市場に入り込むことが出来ました。

あらゆる自治体に「入り込む隙間」がある

今後についてですが、もともと、なんども日本に観光に来る「日本リピーター」は台湾の人に多く、日本にも「台湾リピーター」が数多くいます。しかも、どちらのリピーターも増加傾向。

そんな状況ですから定番観光地以外の、それほど知られていない地域や自治体にとって“入り込む隙間”は、まだまだ残されていると強く感じています。

今年(2019年)8月1日からも中国政府により、台湾への個人旅行が禁止されました。「これは見方を変えると、観光分野における日本と台湾の相互交流を一層促進できるチャンスにできるかもしれない」―。そんな声が日本国内や台湾の旅行業界関係者から聞こえてきます。

受け入れ体制も重要

現在、みなかみ町職員として仕事をするかたわら、私は「日本の自治体と現地旅行社を直接つなぐ方式」を広めるためという名目で「台南市旅行商業同業公會」という台南市の旅行会社で組織する業界団体の顧問に任命され、みなかみ町を対象とした観光商品の販売勉強会の講師などもさせていただいています。

同業公會とみなかみ町観光協会との間では友好協定も締結され、台湾からのインバウンドだけではなく、フルーツ交流など、台南市とみなかみ町の交流関係は、より大きく広く、進展しています。

おかげで、みなかみ町は台南だけではなく、台北や台中、高雄など他地区の旅行会社ともネットワークが広がっています。

台南市旅行商業同業公會から顧問に任命された筆者(左)と同業公會の蘇榮尭理事長(右)
台南市旅行商業同業公會から顧問に任命された筆者(左)と同業公會の蘇榮尭理事長(右)



―― 今回と前回を通じて、知名度ゼロから台湾現地でみなかみ町ツアーを作れた経緯をお伝えしました。

ただ、ツアー催行には送客だけではなく「受け入れ体制」の協力も不可欠です。

この部分で苦労している自治体も多いと聞いております。次回はみなかみ町の受け入れ体制の取り組み例を紹介させていただきたいと思います。

(第4回「『愚直さ』と『ある仕掛け』で地域が一丸に」に続く)

本連載「小さな自治体の大胆インバウンド戦略」バックナンバー
第1回 たった5年で台湾インバウンドを10倍超に増やした “前例のない方法”
第2回 「知名度ゼロ」だから新たな観光資源になる

阿部 真行(あべ まさゆき)さんのプロフィール

大東文化大学外国語学部卒、高校講師などを経て、2005年からみなかみ町(群馬県)の職員に。2013年6月から台南市へ渡る。現地での役職は「みなかみ町台湾事務局長」。台南市政府の「台南市政府対日事務相談顧問」も務める。日台双方の国家資格などを取得し、インバウンドを主とした交流を推進中。現地大学でも講師を務める。著書に「台湾・台南そして安平!」(上毛新聞社)。

<連絡先>
電話: 0278-62-0401 (みなかみ町観光協会)

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