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スポーツ庁

日本の魅力を活かした「スポーツツーリズム」で自治体と連携

人々を惹きつける「スポーツのチカラ」を、地域活性化にもっと利用してほしい

スポーツ庁長官 鈴木 大地

※下記は自治体通信 Vol.25(2020年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


スポーツを通じて、国民が健康で文化的な生活を営める社会の実現を目指す―。こうした理念のもと、平成27年に設置されたスポーツ庁。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、社会の混乱が続くなかでも、スポーツを通じた「新しい日常」の定着に向けた発信を続けている。その先頭に立つのは、発足以来、初代長官を務めてきた鈴木大地氏。「いまこそ、スポーツのチカラが求められている」と語る同氏に、今後の行政ビジョンなどを聞いた。

「コロナショック」がくれた、スポーツへの重要な気づき

―新型コロナウイルス感染拡大の影響で、スポーツを取り巻く環境は大きく変わっています。

 甲子園や国民体育大会など各種大会の延期や中止といった前例のないことが起こっています。夏に予定されていた、今年最大のイベント、東京オリンピック・パラリンピック大会が1年延期になったことは、なによりも想定外でした。地元の日本選手の活躍は、オリンピック・パラリンピックの成功に欠かせないファクターであり、選手強化に努めてきたスポーツ庁としても、「1年延期」への対応に向け新たな方針を打ち出すべく、調整を進めているところです。すでに、アスリートたちは「強化のための時間が増えた」と前向きにとらえる向きが多く、切り替えの早さはさすがですね。

 こうしたなかで、われわれとしても、あらためて気づかされたことがあります。

地域資源×スポーツ。スポーツツーリズムを推進

―それはなんでしょう。

 スポーツがもつチカラの大きさです。自粛生活が続くこの間、「スポーツのない日常はいかに味気ないものか」ということに、多くの国民のみなさんがあらためて気づかれた。それは重要な「気づき」だったと思っています。

 この気づきには、ふたつの意味があります。ひとつは自粛生活が続くなかで、日常的に身体を動かすことの重要性に対する気づき。健康体を保ち、免疫機能を高めていくうえで、スポーツの重要性をあらためて考えたみなさんも多いのではないでしょうか。スポーツ庁では、スポーツを行うことが生活習慣の一部となるような社会を目指し、「Sport in Lifeプロジェクト」を推進し、多くの自治体の参画も得てきました。この取り組みは、スポーツ庁発足の理念にも重なるもの。東京オリンピック・パラリンピック大会のレガシーにできるよう、より一層力を入れていく考えです。

―もうひとつの「気づき」とはなんですか。

 地域の活性化や地方創生におよぼすスポーツのチカラの大きさです。この間、各種スポーツイベントの中止・延期を受けて、国内の交流人口や消費の低迷を招き、地域経済に大きな打撃を与えています。新型コロナウイルス感染症の完全な終息にはまだ時間を要するでしょうが、「アフターコロナ」の時代を見据えた地域活性化においては、地域の往来を活発にできるスポーツの役割は非常に大きいとあらためて感じています。

―それに対して、スポーツ庁ではどのような取り組みをしているのでしょう。

 平成28年から、関係省庁や関係団体などと連携し、「スポーツツーリズム」の推進に力を入れてきました。スポーツツーリズムとは、スポーツへの参加や観戦を目的として地域を訪れる、地域資源とスポーツを融合した観光を楽しむ新しいツーリズムのスタイルです。昨年のラグビーワールドカップの日本開催は、国中にムーブメントを巻き起こし、大きな経済効果をもたらしました。その一部は各開催地へも波及したことで、スポーツツーリズムの効果はすでに実証されていると言ってもいい。

 そこでスポーツ庁では、スポーツツーリズムを推進するうえで、特にふたつの重点テーマを掲げ、国内外からの交流人口の拡大に努めています。

宝は必ず眠っている。いかにコンテンツ設計するか

―重点テーマとはなんですか。

 ひとつは、「アウトドアスポーツツーリズム」です。日本の地域が世界に誇る自然資源を活用し、スノースポーツや登山、サイクリングを通じて来訪者を誘致する取り組みです。里山や雪質にみられる日本特有の自然環境は海外からも非常に高い関心が寄せられていますが、そうした環境の多くは地方にあり、誘客の有望な切り口になるはずです。

 もうひとつは、「武道ツーリズム」で、これも日本独自の文化資産を活用した取り組みと言えます。柔道や空手といった日本発祥の武道は、いまや海外にも愛好者が多いです。そうした人々にとって、発祥の地をめぐり、創始者の歴史に触れ、実際に武道を見学・体験するといった経験は、非常に魅力的なものでしょう。

―スポーツを活用すれば、地方には大きな魅力が発掘できると。

 そのとおりです。これまで、多くの自治体のみなさんとお話しするなかで、「うちの地域にはなにも資産がない」と言われる方がたまにいますが、そんなことはありません。宝は必ず眠っているはずです。かりに車も信号もない静かな地域であるならば、そこはマラソンや駅伝の選手にとっては最適な練習場になりえます。イタリアには、何の変哲もないダムの壁面にクライミングルートを設置しボルダリングの施設として売り出し、いまや「聖地」として世界中に知られるようになった例が実際にあります。いかにコンテンツを設計するかが重要なんですね。


自治体・スポーツ団体・企業、三位一体の連携を側面支援

―スポーツ庁では今後、どのように自治体と協働していきますか。

 スポーツツーリズムを推進するうえで重要となる自治体・スポーツ団体・関連企業の三位一体の連携体制構築を側面から支援していきます。自治体に対しては、地域での受け皿となる「地域スポーツコミッション」の設立や、団体・企業とのマッチング促進などで協働していければと考えています。

 往来が起これば、そこに消費が生まれ、仕事や雇用が生まれていく。ゆくゆくは、移住・定住にもつながる可能性がある。そのきっかけに、スポーツはなりえるはずです。自治体のみなさんには、それぞれの地域の魅力を引き出す地域活性化策を進めるなかで、スポーツのチカラをもっと利用していただきたいと思っています。


鈴木 大地 (すずき だいち) プロフィール
昭和42年、千葉県生まれ。昭和63年、ソウルオリンピック100m背泳ぎで金メダルを獲得。平成元年、順天堂大学体育学部卒業、平成5年、同大学大学院体育学研究科コーチ学専攻修了、博士(医学)取得。その後、順天堂大学スポーツ健康科学部准教授、教授を務める。平成23年6月からは、公益財団法人日本オリンピック委員会評議員、平成25年には同理事を歴任。また、公益財団法人日本水泳連盟においては平成23年3月に常任理事、平成25年には会長も務める。平成27年10月、スポーツ庁の発足に伴い、初代長官に就任する。
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