【生活用水・避難所整備】遅れていた「生活用水」問題の解決が、避難所生活改善を大きく前進させる
(生活用水浄化装置(ウォーターリリーフ) / I・T・O)


※下記は自治体通信 Vol.73(2026年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
令和8年中の「防災庁の設置」にみられるように、いま国や自治体では、災害対応の強化が重要な行政課題となっている。特に、過去の大規模災害で浮上した「避難所生活の環境改善」は喫緊の課題である。そこで現在、国主導で体育館空調の整備などが進むなか、LPガスを主軸としたライフライン防災に取り組んでいる、I・T・O代表の内海氏は、「多くの自治体で、『生活用水の確保』という肝心な対策が抜け落ちている」と指摘する。指摘の詳細とその解決策について、同氏に聞いた。

避難者が「もっとも不便」と答えた「生活用水」の不足
―現在、国は避難所の生活環境改善に力を入れていますね。
学校体育館における空調整備がその代表例だと思います。全国に約10万ヵ所といわれる避難所の3割にあたる学校体育館は、収容者数にして6割を占める主要な施設ですので、ここでの空調整備は大きな意味があります。一方で、過去の大規模災害を振り返ると、避難者が「もっとも不便を感じた」のは、じつはトイレや入浴、洗濯などに使う「生活用水」の不足であったという調査*¹はご存じでしょうか。同じ水でも、飲料水については、令和6年の能登半島地震でも避難所に大量のケースが積まれていたように、行政でも民間でも備蓄が進んでいます。しかし、生活用水については事情が異なります。
―詳しく教えてください。
一般的に、一人が使う1日あたりの生活用水は約200Lとされています。避難所でも一定の生活水準を確保しようとすれば、1日100Lは必要と考えられます。これに対して、内閣府の調査*²によると、トイレ対策ができている指定避難所は全体の71.7%とされますが、浄水装置などを用いて多量の水が使えるのは、わずか4.7%にすぎないのが現状です。入浴や洗濯が可能な生活用水の確保となれば、その比率はもっと少ない可能性が高いです。避難所生活が長期化すれば、生活用水の不足は深刻なストレスとなり、免疫力の低下や災害関連疾患の罹患につながりかねません。そこで当社では、簡単な操作・安価なランニングコストで多量の水を提供できる非常用生活用水浄化装置『ウォーターリリーフ』の活用を提案しています。
*¹調査 : 内閣府、平成28年度避難所における被災者支援に関する事例等報告書(平成29年4月)
*²内閣府の調査 : 内閣府、指定避難所における防災機能設備等の強化の推進について(通知)別紙 (令和5年7月)
トータルソリューションで、電気・ガス・水すべてをカバー
―どのような装置なのでしょう。
生活用水に特化した浄化装置で、プールや川、池、用水路、雨水タンクなどの水を浄水して、浴槽やプール並みの「肌に触れられる」水質の生活用水を生成します。処理水量は1時間あたり最大2,000Lで、蛇口にして4口への同時供給が可能です。仕組みは、バネ状の金属芯材の表面に珪藻土パウダーを付着させ、水圧をかけて芯材内部に原水を流し込む過程でパウダーが濁質をろ過するシンプルなものです。購入時の付属品のみで学校プール1杯分、最大30万Lの処理が可能であり、安価な処理費用も大きな特徴です。操作ボタンはスタート、ストップ、洗浄の3つのみで、誰にでも簡単に操作いただけます。学校体育館を利用した全国3万ヵ所の避難所の8割にはプールが併設されていますが、『ウォーターリリーフ』を使えば、この大量の水を簡単に生活用水に変えることができるのです。
―利用実績はありますか。
先の能登半島地震では、開発元であるクリタック社が実機を避難所の小学校に持ち込み、プールの水から生活用水を生成し、利用した避難者から大いに感謝されたことが報じられました(下部記事参照)。その際、現地ではガス給湯器と組み合わせて、温水シャワーとして活用した例もありました。当社では、災害に強いLPガスの特性を活かし、ガス発電機、ガス空調(GHP)などと組み合わせることで、電気、ガス、水のすべてをカバーする「ライフライン防災ソリューション」として提供していく考えです。国が推進する避難所の生活環境改善を生活用水の観点から支え、早期の復興に貢献できればうれしく思います。


能登半島で大地震が発生した翌日の令和6年1月2日に、『ウォーターリリーフ』を車に載せて被災地に入りました。装置は、七尾市と輪島市の避難所計4ヵ所に持ち込みました。七尾市の小丸山小学校では、NPO法人LPガス災害対応コンソーシアム、組立式シャワーメーカーと連携し、ろ過したプールの水を温水シャワーと洗濯用水、手洗い場の3つの用途に供給しました。約2ヵ月間で延べ3,800人に約10万Lを供給しましたが、プールの水は3分の1が消費されただけでした。一方、輪島市の阿岸公民館では、施設裏の沢からの水を処理し、1日平均1,240Lの生活用水をつくりました。約2ヵ月間、延べ約280人の避難者が洗濯に使用し、近隣住民の方々にも使ってもらいました。現地で水源の近場に電源が無い場合は、私が乗っていたハイブリッドカーのコンセントを使って装置を稼働させた場面もあり、機動性の高さも証明できました。

| 設立 | 昭和28年11月 |
|---|---|
| 資本金 | 9,000万円 |
| 売上高 | 173億円(令和7年10月期) |
| 従業員数 | 295人(令和7年10月20日現在) |
| 事業内容 | ガス減圧弁(調整器)、ガバナ、バルブ類、ガスおよび水等圧力調整弁、電磁弁製造販売、バルク貯槽輸入販売、防災・減災事業、工事エンジニアリング事業 |
| URL |



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