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先進事例に見る自治体テレワーク「成功のカギ」とは?

    先進事例に見る自治体テレワーク「成功のカギ」とは?

    【自治体通信Online レポート】
    自治体の“そこが知りたい!”#1~テレワークの進め方

    自治体トピックを読み切りレポートでお届けする新シリーズ「自治体の“そこが知りたい!”」。第1回は新型コロナウイルス感染症拡大の余波により官民で急速に進んだテレワークについて。自治体での“テレワーク解禁”は民間に比べて進んでいるとは言えないようです。普及のネックになっている要因を探りつつ、どうすればテレワークを自治体に定着させることができるのか、松本市(長野)の事例を紹介します。
    ※本レポートは2021年10月13日に行われたウェビナー「第3回 自治体通信塾」の内容をもとに作成しました。

    「守り」ではなく「攻め」

    「そもそもテレワークとは、現下の新型コロナウイルス感染症への対応策といった業務継続性の確保(BCP4)の観点から『職場と異なる場所で働く』という単に『場所』に着目した概念(リモートワーク)ではなく、『ICT を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方』」
    「テレワークは、急速な少子高齢化、それに伴う生産年齢人口の大幅な減少など、社会構造の大きな変化によって生じる日本の様々な社会課題の解決に寄与するものであるという認識が極めて重要」

    総務省「『ポストコロナ』時代におけるテレワークの在り方検討タスクフォース」は、2021年8月に公表した提言書で、テレワークという“新しい働き方”の本質的な意味をこう定義しています。

    新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけに急速に普及しはじめたテレワークですが、それは“3密”を避けるという「守り」ではなく、今後顕在化が避けられない社会構造の大きな変化に備えた「攻め」の働き方、というわけです。

    言い換えるとテレワークの導入が、さまざまな組織・業界の生き残りのカギを握っている、と言えそうです。

    そういう意味では、感染症拡大は社会全般で潜在的に高まっていたテレワーク・ニーズという「コップの中の水の表面張力」を壊し、一気に溢れ出させた最後の一滴、だったのかもしれません。

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    テレワークは“守り”ではなく社会構造の変化に対応する“攻め”

    市町村で普及が進まない理由

    しかし、民間に比べて自治体ではなかなか普及していないのが実態のようです。

    東京都が都内企業(従業員30人以上)を対象に2020年3月と同年4月に実施した「テレワーク『導入率』緊急調査結果」によれば、「テレワークを導入している」と回答した企業は3月時点では24%でしたが、4月時点では過半数の62.7%に急拡大しました。
    ※東京都「テレワーク『導入率』緊急調査結果」:https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/05/12/documents/10.pdf

    一方、総務省自治行政局が調査した「地方公共団体におけるテレワークの取組状況」によれば、都道府県や政令市では積極的に取り組みが推進されているものの、市町村では困難に直面しており、大きな差が生じています(下グラフ参照)。

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    地方公共団体におけるテレワーク導入状況

    なぜ、市町村ではテレワークの普及が進まないのでしょうか。

    前出の総務省自治行政局が調査した「地方公共団体におけるテレワークの取組状況」では、その理由について「窓口業務や相談業務などがテレワークになじまない」「情報セキュリティの確保に不安」「導入コストがかかる」といったことが挙げられています。どれも自治体特有の事情、と言えそうですね(下図参照)。

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    総務省「地方公共団体におけるテレワークの取組状況」より

    しかし、こうした「もっともな事情」に挑み、自治体がテレワーク導入を円滑に進めるモデルケースと言える成果を出したのが松本市(長野)です。同市ではどのような工夫を行ったのでしょうか。

    職員の満足度を上げるポイントは…

    2021年10月13日に行われたウェビナー「第3回 自治体通信塾」に登壇した松本市 総合戦略局の宮尾 穣・DX推進本部長は、テレワークを自治体に根付かせるポイントとして、
    ①完璧じゃなくてもいい(アジャイルでいこう)
    ②できることから始めてみる
    ③ハードルをあげない
    この3つを挙げ、まずは“スモールスタート”で開始し、職員にテレワークの働き方に慣れてもらったり、その良さを体験してもらうことが大切、と指摘しました。

    同市では正規職員2,000人を対象に交代でテレワークをしてもらう「テレワーク・デイズ」を2020年11月~2021年1月末にかけて実施。本格導入のための課題の洗い出しや環境整備を進めています。

    体験者へのアンケート調査によればテレワークについて「大変よかった」「よかった」という肯定的な回答は全体の96%にも上りました(下グラフ参照)。

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    関心高まる「防災DX」のあり方とは?

    このほか「自治体通信塾」で、松本市の宮尾DX推進本部長はガイドライン策定等のテレワーク導入を進めるうえでの基盤整備のポイント、在宅勤務と年次休暇を組み合せるといった運用の工夫などについて具体的に説明しました。

    松本市では「テレワーク・デイズ」を本年7月~9月にも実施したほか、11月~来年4月上旬にかけて実施中。本格導入に向けて着々と準備を進めています。

    次回の「第4回 自治体通信塾」(2021年12月24日、14:00~16:00)では「求められる防災DX~命を守る情報連携~」をテーマに、関心が高まっている防災DXのあり方について、静岡市 企画局の新庄 大輔・デジタル化推進課係長(総務省 地域情報化アドバイザー)が講演します(下画像参照)。
    ※「第4回 自治体通信塾」の詳細は下記URLから見ることができます。
    https://go.jt-tsushin.jp/l/794483/2021-10-13/4932n

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