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在宅医療の推進について【自治体事例の教科書】

在宅医療の推進について【自治体事例の教科書】

高齢化が進む日本では、今後ますます医療や介護の問題が増えていくと考えられています。これまでは病院や施設での看取りが多く行われてきましたが、今後は在宅での看取りを視野に入れる必要が出てきます。しかし、今後実現していくにしてもまだまだたくさんの問題を抱えている状況です。在宅医療・介護を推進していくためには、どのような策が必要になるのか解説します。

【目次】
■厚生労働省における在宅医療・介護の推進
■厚生労働省における在宅医療の中間見直しに向けた検討
■在宅医療を取り巻く現状
■在宅医療の最近の動向
■在宅医療の今後

厚生労働省における在宅医療・介護の推進

厚生労働省が掲げる在宅医療・介護の目的とは、住み慣れた地域で必要な医療・介護サービスを受けつつ安心して自分らしい生活を送るということです。しかし、その目的を実現するためにはたくさんの問題点があるといわれています。

日本は2025年には65歳以上の高齢者が3,657万人となり、2042年にはピークを迎えて3,878万人になるという予想がされています。世帯主が65歳以上の単独世帯や夫婦のみの世帯が増加していくとも考えられています。そのようななか、国民の約60%以上が自宅での療養を望んでいます。また、実際に介護の現場にいるケアマネジャーの50%近くが医師との連携が取りにくいと感じ、医療と介護の連携が十分ではありません。

現在、2025年のイメージを見据えつつ実現に向けた策が必要とされています。そのために求められることは、病院や施設、他の関係機関との役割分担と連携の強化です。また、それに加え地域の包括ケアシステムも重要となってきます。この問題は地域によっても進展状況に大きな差があるため、市町村や都道府県がその地域の特性に応じて作り上げていかなければなりません。

そこで、必要となるのが、在宅医療・介護を担う人材の育成、実施拠点の整備・連携推進、個別の疾患等に着目したサービスの充実・支援です。このような問題に取り組むにあたって、在宅医療・介護推進プロジェクトチームが設置されています。

厚生労働省における在宅医療の中間見直しに向けた検討

2025年に向けて在宅医療・介護を推進していく取り組みを行うにあたり、これまでは十分な在宅医療・介護を行うには、都道府県と市町村が連携・協議し、計画的に段階的な目標・サービス見込み量を設定することが重要とされてきました。しかし、事業が展開するにつれ効果が出ている部分とさらなる改善点が必要な部分とが浮き彫りになってきました。そこで、中間見直しを行うことで、今後さらなる効果を得られる取り組みがなされるようになりました。

在宅医療・介護の連携推進は、医政局施策の在宅医療連携拠点事業、在宅医療推進事業により一定の成果が得られたことを踏まえ、2014年介護保険法改正により制度化すること、さらに市区町村が主体となり、郡市区医師会等関係団体と連携しつつ取り組むことになりました。

そして、在宅医療・介護連携推進事業の8つの項目をすべての市区町村が2018年4月に実施、都道府県は市区町村の進捗状況を把握し支援、国は事業実施関連の資料や手引きや事例集の整備、セミナーの開催等を支援しつつ都道府県を通じて実施状況を把握するということが検討されました。さらには、これらを見える化(データ化)することで、よりスムーズに情報収集を行ない、情報共有に取り組むことも求められました。

在宅医療を取り巻く現状

現在、多くの高齢者が有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に住んでいます。しかし、現在取り組んでいる在宅医療推進の最終的な目標は、住み慣れた地域で自分らしい生活を最後まで続けることです。これを実現するためには、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制が整う必要があります。

現在の状況としては、退院の許可が出たとしても自宅療養できないと回答した入院患者は24%で、介護サービスや家族の協力を自宅療養の条件としてあげています。また、高齢者の多くが通院を必要としており、介護サービスの受給割合も高くなっています。介護度によっては、介助なしでは外出できないというケースも多く見られます。

このような理由から自分が介護を受けるとなると介護施設を希望する高齢者が多く、これまでは自宅等での死亡が減少し、医療機関における死亡が増加する傾向にありました。この病院での死亡率は非常に高く、世界的に見ても日本は突出しています。その一方で、最期は自宅で迎えたいと希望する高齢者の割合は最も多くなっています。そのため、在宅医療の体制をまず整える必要があるとされています。

在宅医療の最近の動向

現在、在宅医療を実際に受けている人の割合は決して高いものではありません。ですが、将来自宅で療養して必要になれば医療機関等を利用したいと回答した人の割合と合わせると、約60%以上の人が在宅医療を希望しています。在宅医療のニーズは高まっているのです。そのニーズを満たすため、在宅医療に関する医療計画の見直しが行われています。

ポイントは在宅医療に係る医療体制の充実・強化、在宅医療に係る圏域の設定について、疾病・事業ごとのPDCAサイクルの推進です。在宅での医療は、退院支援・日常の療養支援・急変時の対応・看取りのこの4つの体制がきちんと整っていて初めて成り立つものです。そのため、地域での包括ケアの実現を目指し、医療や住まいとの連携も視野に入れた介護保険事業が計画されています。

また、在宅医療・介護に関連した介護報酬の改定も行われています。さらには、在宅医療連携拠点事業も進められ、多職種連携の課題に対する解決策の抽出や在宅医療従事者への負担軽減の支援、効率的な医療提供のための多職種連携、在宅医療に関する地域住民への普及啓発、在宅医療に従事する人材の育成が進められています。この在宅医療連携拠点事業により、地域包括ケア体制の整備が進められています。

在宅医療の今後

在宅医療の体制は、退院支援、日常の療養支援、急変時の対応、看取りの4つがうまく連携することで成り立ちます。しかし、訪問診療を受ける患者数が大幅に増加していること、訪問診療を受ける患者の大半は75歳以上の高齢者ではあるものの小児や成人にも需要があり、その数も増加傾向にあり動向は変化しつつあります。

また、人工呼吸器や中心静脈栄養など特別な処置が必要な患者数は年々増加傾向にあり、医療保険、介護保険、訪問介護の利用者数は増えています。それに対して実際の退院支援、日常の療養支援、急変時の対応、看取りについての体制も増加の傾向にはありますが、看取りの医療機関数でいえば全体の5%程度にとどまっているのが現状ではあります。

国民の60%以上が自宅での最期を希望する一方で、その体制は十分に整っている状況に至っていないというのが現状です。退院許可が出た場合であっても、介護サービスや家族のサポートがあれば自宅療養は可能ですが、それがなければ自宅での療養はできないと回答した入院患者は24%にも及びます。

しかし、退院支援を行う病院や訪問介護事業所は年々増加していますので、今後体制が整っていくことは十分期待できるといえます。現状では最期を自宅で迎えたいと感じている人に対し、多くの人が病院での最期を迎えることが多く見られますが、将来的にはその希望が叶う体制が整うと考えられています。

〈参照元〉

厚生労働省_在宅医療・介護の推進について
(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/
zaitaku/dl/zaitakuiryou_all.pdf
)

厚生労働省_在宅医療の中間見直しに向けた検討について
(https://www.mhlw.go.jp/content/10802000/000545064.pdf)

厚生労働省_在宅医療(その1)
(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000155814.pdf)

厚生労働省_在宅医療の最近の動向
(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/dl/
h24_0711_01.pdf
)

厚生労働省_在宅医療の現状
(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000129546.pdf)

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