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風力発電事業について【自治体事例の教科書】

風力発電事業について【自治体事例の教科書】

再生可能エネルギーの1つとして注目されている風力発電。我が国における風力発電の現状や課題を紹介します。

【目次】
■風力発電の特徴と課題
■洋上風力発電の開発に向けて
■洋上風力発電整備の取り組み
■陸上風力発電の課題と取り組み

風力発電の特徴と課題

自然の風を動力源として電気エネルギーに変える再生可能エネルギーの1つである風力発電は、風があれば夜間も稼働でき、太陽光発電の弱点を補えます。日本では2000年以降導入件数が急速に増え、2016年度末で2,203基、累積設備容量は335.7万kWの発電量があります。

風力発電は、大規模発電ができれば発電コストは火力発電所並みに抑えることができ、ランニングコストが抑えられるのもメリットです。風力エネルギーは太陽光に比べて、ロスが少なく、変換効率が高いからです。

国内における風力発電の設備は、ほとんどが陸上風力です。そのため、設置できる適地は限定されてしまうのが、風力発電の導入促進を図るうえで課題となっています。

導入が進んでいるヨーロッパ諸国では洋上風力発電が普及しており、四方を海に囲まれた日本の環境を活かし、洋上風力の開発に向けて取り組みが必要だとされているものの、海域の占用に関するルールの問題や、漁業関係者や船舶運航事業者など海域を先行的に利用している事業者との利害調整が必要です。

洋上風力発電の開発に向けて

風力や太陽光は、いずれは枯渇する有限の化石燃料とは異なり、無限に利用できる有効な再生可能エネルギーです。世界的な課題である地球温暖化防止の観点からも、その重要性がかねてから指摘されていました。

そのため、周囲を海に囲まれた環境を活用した洋上風力発電に期待が集まりますが、前述した課題があります。

そこで、洋上風力発電の開発を後押しするため、2018年10月の臨時国会で「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(再エネ海域利用法)」が成立し、2019年4月から施行されました。

「再エネ海域利用法」では、国が海洋再エネ発電に関する基本方針を取り決めるとともに、海洋再エネ発電事業のための利用を促進する海域を指定したり、漁業者など先行利用者との調整の枠組みを設けたりし、海域の占用などにかかわる計画を認定できると定められました。この法律によって、事業者は最大で30年間にわたり、指定された海域を占用する権利が付与されます。利害関係者との調整の枠組みも明確になるため、安心して円滑な事業を行えるようになるのもメリットです。

洋上風力発電の占用公募制度も創設されました。公募にあたっては電力を供給する価格を重要なファクターとし、事業者間の競争を促すことで、開発コストの低下をはかり、今後の導入促進が進みやすいようにするという側面もあります。

洋上風力発電整備の取り組み

経済産業大臣と国土交通大臣によって促進地域に指定されるには、6つの指定基準をクリアしなければなりません。風の吹き方(風況)や水深などの自然的条件に加え、海域を往来する船舶への影響はないか、漁業への支障がないかを調査し、一定規模の発電量を見込むことができるかなどを踏まえて、総合的に判断されます。

⾵況・地質・船舶の航⾏や漁業者への影響については、政府が主導して必要な調査を実施しています。また、政府や地方自治体、船舶運航事業者や地域の漁業関係者など海域の先⾏利用者をメンバーに含めた協議会も開催され、お互いが納得のもとで、有効な再生可能エネルギーの増強ができるよう努めています。

陸上風力発電の課題と取り組み

一方、先に設置が進められてきた陸上風力発電においては、平成27年9月に大型台風の影響で、与那国風力発電所の風車のブレードが破損する事故が発生しました。

この事故を受け、経済産業省の新エネルギー発電設備事故対応・構造強度ワーキンググループでは、与那国風力発電所における事故を踏まえた発電用風力設備の工事計画審査の見直しを行い、新たに「陸上に設置される発電用風力設備の風車に係る工事計画審査」の基準を発表しました。

たとえば、暴風時に系統連係を喪失した場合であっても、運転制御を行って風荷重を軽減する風車を設置するにあたっては、最大風圧の算定にあたり、想定されるいかなる条件下でも確実に制御できることを示さなければなりません。

実環境における設計の確かさが検証されていない場合には、設計の確かさを検証するため、保安規程に設計条件を超過した場合には国に報告を行い、風車の保安停止を行わなくてはならないなど、条件付きでの風車の設置を認めるなど、安全運用の厳しい条件が設けられることになりました。

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