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観光×デジタルマーケティングについて・実施事例【自治体事例の教科書】

観光×デジタルマーケティングについて・実施事例【自治体事例の教科書】

スマートフォンやタブレット端末などの登場やIoTの台頭など、急速にデジタル化が進んでいる現代。観光市場でも人々のライフスタイルやニーズの変化にあわせ、電子デバイスやインターネットを活用したプロモーション、「デジタルマーケティング」が積極的に実施されています。この記事では、各自治体で行われているデジタルマーケティングを取り入れた事例を紹介します。

【目次】
■事例①プロモーション動画の制作・配信(静岡県島田市)
■テストマーケティングの流れ
■テストマーケティングの結果
■事例②松本市観光ビジョン(長野県松本市)
■「マーケティングと情報発信の強化」とは
■事例③デジタルマーケティングによる観光流動づくり(北海道)
■「デジタルマーケティングによる段階的な観光流動づくり」とは

 

事例①プロモーション動画の制作・配信(静岡県島田市)

静岡県島田市では、デジタルマーケティングの活用で事業効果の向上や業務改善につながる事業のピックアップを進めています。

それに先んじて実施されたのが、プロモーション動画の制作・配信によるテストマーケティングです。制作した動画をデジタル広告として配信することにより、広範なアピールを行い、認知度の向上や交流人口の拡大につなげることがその目的です。そのため、効果的かつ効率的に施策を展開していくため、視聴者から得られるデータの蓄積と分析を行います。

テストマーケティングの流れ

国内23都府県(関東地方、中部地方、近畿地方)、海外7ヵ国(台湾、韓国、シンガポール、タイ、インドネシア、イギリス、アメリカ)と対象にプロモーション動画「SHIMADA the city with the Oi River」をYouTube上で広告配信し、YouTubeからリンクする特設サイトに誘導。その傾向を分析することで、配信先の国・地域において島田市のどのコンテンツに興味が持たれているかを次の方法で「見える化」します。

・プロモーション動画の配信
配信国・地域に対して、デジタル広告配信によって広く動画を届けることで、認知の拡大を図り、動画視聴傾向を分析・検証。さらに、国別属性別に、親和性の高いコンテンツを可視化します。今後の施策に活かすため、視聴数や視聴者の属性データも分析・検証。継続的なフィードバックを行います。

・ランディングページ(Webページ)へ誘導
Webページへの誘導によって、認知させた潜在層へさらなる訴求を行い、来訪意欲の向上を促進。また、誘導された視聴者がどのコンテンツ画像を選択するかなど、閲覧状況などを検証。今後の施策をより効果的なものにしてきます。

テストマーケティングの結果

配信期間は令和元年8月28日8:30時点での集計結果はこのようになりました。

・視聴回数:913,142回
・評価(like):504件
・評価(dislike):52件
・コメント数:32件
・チャンネル登録数:399人

特設サイト内のコンテンツの各国・地域との親和性などを分析し、その結果を事業に取り入れていく予定です。

また今後は、動画第2弾の制作と本格的なプロモーションを計画。ふるさと寄附金に関しても、マーケティング的思考を導入し、ターゲットを絞ってのインターネット広告配信が実施されます。

事例②松本市観光ビジョン(長野県松本市)

長野県松本市では、平成18年に策定された「松本市観光戦略」を全面的に見直し、新たな指標となる「松本市観光ビジョン」を展開。旅行者の満足度アップに向けて観光の質の向上を目指す戦略を実行しています。

この観光ビジョンの基本柱は次の4つです。

1. 魅力の創出(観光資源のさらなる磨き上げ)
2. マーケティングと情報発信の強化
3. 安心して旅行を楽しめる環境づくり
4. おもてなしを磨く

次に、デジタルマーケティングに関わる「マーケティングと情報発信の強化」の取り組みを見ていきます。

「マーケティングと情報発信の強化」とは

市場動向を把握し、その分析・検証結果に基づいた効果的な施策の展開など「マーケティングの強化」を図るため、以下の取り組みが行われます。

・効果的な情報発信
訴求力の高い情報発信に取り組むため、より効果が期待できる媒体を選定。JNTOとの連携や市公式観光情報ポータルサイトのリニューアル、SNSなどの活用を行っていきます。

・デジタルメディアを中心としたマーケティング
Web、SNSなどのデジタルメディアを中心としたマーケティングを強化するため、旅の目的や形態、多種多様なニーズに応じた情報を幅広い消費者へ向けて提供していきます。

・戦略的プロモーションの展開
FIT(海外個人旅行)化が進み、多様化する旅の目的・形態に対応するため、メディアを招くなどして戦略的なプロモーションを展開します。

・国際的な動向を捉えた誘客活動
JNTOや関係都市との連携によって、国際的な動向を把握。誘客活動の展開に活かします。

・コンベンション誘致活動
学術、産業の集積、アフターコンベンションの充実などを活かし、国内外からのコンベンション誘致を積極的に行います。

この「松本市観光ビジョン」では、市民や観光事業者などが一体感を持って取り組むことが必要という考えのもと、観光に関わるさまざまな業種、人々との連携体制の構築を推進。消費者の声や市場動向などの情報共有、検証、恒常的な見直しを行いながら、観光の質の向上を目指して施策を展開しています。

事例③デジタルマーケティングによる観光流動づくり(北海道)

北海道では、世界の観光需要を道内全域へ送客する「マルチ・ツーリズムゲートウェイ」が提唱されています。

これは、道内7空港の一括民営化事業において公表された構想で、国際ゲートウェイ機能を各空港に分散・拡大。東アジアからの観光需要をメインターゲットに据え、段階的に周遊観光流動を生み出そうというものです。

その戦略的事業方針のひとつとして掲げられているのが「デジタルマーケティングによる段階的な観光流動づくり」です。

「デジタルマーケティングによる段階的な観光流動づくり」とは

北海道が施策する「デジタルマーケティングによる段階的な観光流動づくり」のポイントは、地域一体となったデジタルマーケティングの展開と「旅マエ」から「旅アト」まで一貫した利便性の向上です。

具体的には次のような取り組みを推進します。

・地域一体となったデジタルマーケティング展開
Web、アプリなどを通じて得たデータを分析し、旅行動態を把握。その分析結果をマーケティングに活かし、地域一体となった周遊ルートづくりと二次アクセスの拡充などにつなげます。道内全域の観光需要を喚起することもこの施策における目的のひとつです。

また、道内すべてのDMOを重要パートナーとした観光商品の充実化や、構成員などの国内外のリソース(商業施設、航空・鉄道、メディアなど)を通じたプロモーションの実施も考えられています。

・「旅マエ」から「旅アト」まで一貫した旅の利便性向上
オンラインと対面の2つの方法によるコンシェルジュサービスを提供することで、旅マエから旅アトまでを一貫してサポートします。

道内の7空港すべてで、従来の総合案内に加えて、観光コンシェルジュを設置。観光商品や交通手配を含むさまざまな旅行サポートを行います。

さらに、交通モード間の連携を促進することで、二次アクセスを改善し、利便性を向上させます。

これらのサービスの利用状況から得られるデータも、旅行動態を把握する材料として活用。集積されたデータを分析し、観光商品開発やターゲットのニーズにあわせたメディアプロモーション、情報発信などに反映していきます。

【参考文献】

静岡県島田市_デジタルマーケティングの実施について
(https://www.city.shimada.shizuoka.jp/fs/1/9/1/4/1/6/_/2dezima.pdf)

国土交通省_北海道内7空港の優先交渉権者による提案概要
(https://www.mlit.go.jp/common/001302561.pdf)

長野県松本市_松本観光ビジョン
(https://www.city.matsumoto.nagano.jp/miryoku/matsumoto_tourism/seisaku/
vision.files/kankouvision.pdf
)

 

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