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地域活性化総合特区におけるの取組事例【自治体事例の教科書】

2019/5/14

地域活性化総合特区におけるの取組事例【自治体事例の教科書】

特区制度を活用し、地方の創発により日本の問題を解決しようという取り組みがさまざまな自治体で行われています。地域活性化総合特区がそれで、特例や優遇措置を受けながら多様な先導的事業やユニークな取り組みが推進されています。“地域力”の底上げにつながる同特区制度の活用事例を通じて、地域活性の新しいあり方のポイントを探りました。
 
【目次】
■地域活性化総合特区とは
■事例①【レアメタル特区】秋田県
■事例②【農業と工業の同時活性】浜松市(静岡県)
■事例③【世界遺産の基盤整備】和歌山県
■事例④【身近なロボット】神奈川県

地域活性化総合特区とは

「地域活性化総合特区」(以下、地域活性化特区)とは、地域の包括的・戦略的なチャレンジを、規制や制度の特例を設けたり、特別な税制・財政・金融措置を実施するなど“オーダーメード”で国と地域の政策資源を集中して支援する2種類の総合特区のうちのひとつで、地域資源を最大限活用した地域活性化の取り組みによる地域力の向上を目指す総合特区のことです。

もうひとつの総合特区は「国際戦略総合特区」で、こちらは我が国の経済成長のエンジンとなる産業・機能の集積拠点を目指すもの。国際戦略総合特区で行われる事業イメージは、環境・次世代エネルギー、バイオ・ライフサイエンス、研究開発、国際物流、国際港湾など、グローバルかつ巨額の先行投資が必要とされる分野です。

一方の地域活性化特区での事業イメージは、防災・減災、観光・文化、教育・子育て、医療・介護・健康など、住民の暮らしに根差したもの。あらゆる角度からの特例的な規制緩和や措置などを通じ、少子高齢社会への対応やインバウンドの活性化などの地域課題を解消する事業や施策などを促進・支援することで、日本全土に共通する社会課題の解決策を探る取り組みだと言えます。

平成23年に特区指定が開始されて以来、平成30年度末までに全国41ヵ所の地域活性化特区が指定を受け、指定解除申請があった13ヵ所を除き、28ヵ所でチャレンジが続けられています。

次に、先導的な取り組みが行われている地域活性化特区の事例を紹介します。

事例①【レアメタル特区】秋田県

地下資源に乏しい“無資源国家”の日本を地方が解決するかもしれない!? こんな取り組みが行われているのが、秋田県の地域活性化特区「レアメタル等リサイクル資源特区」です。これは、廃棄された家電・スマホ・PC機器などから。これらの製品に大量に使われているレアメタルを抽出し、リサイクルしよう、という試みです。廃棄物の広域収集を可能とする特例措置等が設けられています。

鉱山関連基盤等を活用した金属リサイクル企業の集積推進、秋田大学・秋田県金属鉱業研修技術センター等による人材育成、使用済小型家電回収試験の実施などが実施されており、処理コストの低減やトレーサビリティの確保、レアメタル等資源の集約や供給基地の形成などを目指しています。5年後の経済効果は15億円と見積もられています。

事例②【農業と工業を同時活性】浜松市(静岡県)

どちらも日本にとって重要な産業である農業と工業の“共存共栄”を土地利用の側面から図る試みを行っているのが浜松市(静岡県)の地方活性化特区「未来創造『新・ものづくり特区』」です。

同特区の目標は3つあり、「市街化調整区域における農業と工業のバランスある土地利用の実現」「農地の集約と企業等の農業参入の促進」「既存産業の高度化と戦略的な企業誘致による新成長産業の集積」を目指しています。

そのため、不足する分譲用地の確保と沿岸部に立地する企業の移転先として内陸部の新東名高速道路スマートIC周辺に新たな工業団地として約47.6haを整備するといった基盤整備を行い、市街化調整区域内の既存の工場集積地や幹線道路周辺に工場立地誘導地区(重点エリア)を3ヵ所設定。企業立地を集約しつつ優良農地を保全する工夫を行っています。

また、耕作放棄地対策事業を活用して市内の耕作放棄地を調査し、再生・集約化・斡旋することで耕作面積の増加を促進。新規農業参入や規模拡大を希望する企業に対して個別相談のほか、加工品の開発・販売など6次産業化の取り組みを支援し、農業活性化も促進しています。

これらの取り組みを通じて、企業の農業参入が促進されたほか、200ha以上の耕作放棄地が再生されるなどの成果が出ています。

事例③【世界遺産の基盤整備】和歌山県

インバウンドの“キラーコンテンツ”でもある世界遺産を観光資源として基盤整備するとともに、文化財として適切に保全しようという試みを実施しているのが、和歌山県の地域活性化特区「和歌山県『高野・熊野』文化・地域振興総合特区」です。

同特区に認められた特例措置である「地域限定特例通訳案内士等育成事業」として、和歌山県が行う地域活性化総合特別区域の特性に応じた通訳案内に関する研修を修了し、登録を受けた地域限定特例通訳案内士の育成し、、「高野・熊野特区通訳案内士」として登録しています。平成24年より育成事業を開始し、平成30年5月までに約180名が登録しました。

また、地域独自の税制・財政・金融上の支援措置として「和歌山県世界遺産緊急保全対策事業補助金」(平成30年度の予算額は1,200万円)を創設。登録資産、緩衝地帯及び周辺地域の文化財及び文化的景観の保全のために実施する事業に対し、補助を実施しています。

この補助事業により、登録資産に係る200万円未満の小規模修繕、参詣道の維持管理、災害等の緊急修繕を要する事業が円滑に推進され、古(いにしえ)の熊野古道の厳かな雰囲気や景観、参詣道として機能が保全されています。

事例④【身近なロボット】神奈川県

神奈川県は、近未来の新産業とされるロボットと共生する社会の実現を目指した地域活性特区「さがみロボット産業特区」を推進しています。

同特区では生活支援ロボットの実用化を推進しており、それにより地域の安全・安心を実現し、人生100歳時代を迎えた県民の「いのち」が輝かせることを目的としています。

具体的には、地域独自の取り組みである「重点プロジェクト」「公募型『ロボット実証実験支援事業』」「神奈川版オープンイノベーション」を通じて研究開発や実証実験等が促進されているほか、企業誘致施策である「セレクト神奈川100」の実施や県独自の規制緩和「県版特区」の推進により、実証環境の充実に向けた関連産業の集積が促進されています。

単に“ロボトをつくる”だけではなく、普及や啓発を促進ているにも、同特区の特徴。「ロボット体験施設」「ロボット体験キャラバン」「モニター制度」「導入支援補助金」など、利用者にロボットを身近に感じてもらうための多様な取り組みを実施しています。

徹底した「出口戦略」にこだわっており、実際の使用現場での利用者による実証、ニーズ志向の開発、低価格化などの普及促進が行われています。これまでにパワーアシストハンドや遠隔建機操縦ロボットなど、続々と商品化されており、平成30年5月までに同特区から18件の生活支援ロボットが誕生しました。

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<参照元>(最終閲覧日:2019年4月24日)
内閣府「政府における地域活性化施策について」「総合特区制度の概要」
秋田県ホームページ
浜松市ホームページ
和歌山県ホームページ
神奈川県ホームページ

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