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投票率向上における自治体の課題と取組【自治体事例の教科書】

2019/8/6

投票率向上における自治体の課題と取組【自治体事例の教科書】

社会問題となっている低い投票率を改善しようと、各地の自治体でさまざまな投票率アップの取り組みが行われています。独自の取り組みや知恵を凝らした事例などを通じて、投票率向上の施策のポイントを探りました。
 
【目次】
■投票率向上の取り組みの現状とは
■事例①【"ショッピングセンター"に共通投票所】平川市(青森県)
■事例②【脱“待ち”の投票所】福井市(福井県)
■事例③【子ども対象の投票キャンペーン】熊谷市(埼玉県)

投票率向上の取り組みの現状とは

総務省の発表によれば、2019年春の統一地方選挙の後半戦の平均投票率は、59市長選、283市議選、東京特別区の20区議選、66町村長選、282町村議選のすべてで過去最低を更新しました。

投票率アップのため、これまで投票締め切り時間の延長、期日前投票、選挙権年齢の引下げなどが実施されたほか、投票率が低い若年層へのアピールをねらい、人気アイドルを起用した啓発・呼びかけキャンペーンなども行われています。それでもなかなか投票率がアップしないことから、ネット投票の解禁や選挙に関する学校教育の充実といったアイデアも出ています。しかし、それらはいずれも時間がかかる取り組みだと言えます。

一方、有権者と直(じか)に接する各地の自治体では、投票率アップのための地道な取り組みや地域事情などに則したさまざまな工夫が行われています。次に、そうした事例を紹介します。

事例①【”ショッピングセンター”に共通投票所】平川市(青森県)

平川市(青森県)では、どの選挙区の有権者でも投票できる”共通投票所”を大手ショッピングセンター(以下、SC)に設置し、投票率アップにつなげています。

青森県選挙管理委員会事務局に大手SCグループが「各店舗を期日前投票所として貸し出すことに協力したい」との協力申し出があり、そのなかのひとつが平川市のSCだったことから共通投票所の取り組みが始まりました。

申し出があった翌年、平成28年の第24回参議院議員通常選挙で期日前投票所を初めてSCに増設し、平成28年4月の公選法改正を受け、共通投票所として引き続き設置することにしました。

設置場所は、SC店舗の1階催事スペースという利便性が高い場所。同市では通常、6名体制で投票所を運営していますが、名簿対照係および投票所入り口整理係を各1名増員した8名体制としました。選挙権年齢の引き下げに伴い、共通投票所の投票立会人に20代の若者を起用するといったキメ細かい対応も実施しました。

大きな課題となったのが”二重投票の防止対策”でした。全投票所で選挙人名簿をリアルタイムで情報共有する仕組みづくりが新たに必要となり、そのための手間やコストなどが懸念されました。

しかし。投票日前日まで期日前投票所として運営している同投票所の期日前投票システムを選挙当日も活用できることが確認でき、新たなシステム導入は必要ないことが判明。また、本庁の選挙人名簿サーバとの間のネットワークは専用回線ではなく、通信事業者が提供しているサービスでセキュリティが確保されたネットワーク回線で構築できることから、大きなコストをかけずに二重投票を防止できることがわかりました。

こうした取り組み等により、同市が初めてSC内に共通投票所を開設した平成28年の参議院選挙では、前回の平成25年の投票率と比較して、約10ポイント上回る約56%となり、目標としていた全国平均(54.7%)を超えることができました。さらに18歳の投票率は県内2番目、19歳に限っては県内で1番となりました。共通投票所は2019年春の統一地方選挙でも引き続き開設されています。

買い物ついでに投票できるという利便性のほか、従来の投票所のような堅苦しい雰囲気がなく、気軽に行ける点などが投票率アップの要因になったようです。

事例②【脱“待ち”の投票所】福井市(福井県)

福井市(福井県)では商業施設や大学に期日前投票所を設置し、若年層の投票率向上に成果を上げています。

平成27年に市内の人気商業施設3ヵ所に打診し、協力が得られたことから設置を決定。同年12月の福井市長選挙で初めて商業施設に期日前投票所を設置しました。その後、新たに商業施設2ヵ所から要望を受け、平成28年の参議院選挙では、合わせて5ヵ所の商業施設に期日前投票所を設置しました。

期日前投票所の設置場所は、商業施設からの提案を受け、
①人が集まりやすい場所か
②システムを使用するための電源があるか
③広さは十分か
④わかりやすい場所か
⑤駐車場から近いか
といった点を踏まえて決定しています。一部商業施設では、チラシへの掲載や館内放送での案内なども実施しています。

また、平成28年の参議院選挙からは福井大学、福井工業大学にも期日前投票所を設置しました。大学に設置した投票所については、学生が多く集まる午前10時から午後6時までを投票時間としました。「福井市明るい選挙推進協議会委員」を選挙コンシェルジュとして期日前投票所に配置し、投票に慣れていない学生の疑問に応えるというキメ細かい対応も実施しました。

これらの取り組みにより、平成28年の参議院選挙では前回の同選挙と比べて3.85 ポイント上昇の約53.18%、期日前投票者数は倍増に近い4万2,149人と約2万人増となりました。

従来のように“有権者の来場を待つ”投票所から、“有権者がいるところに出向く”投票所という発想の転換が投票率向上につながる考え方なのかもしれません。

事例③【子ども対象の投票キャンペーン】熊谷市(埼玉県)

熊谷市(埼玉県)では、小中学生が保護者と一緒に投票所に行くと景品が当たる「家族で投票所に行こう! キャンペーン」を実施しています。

この投票キャンペーンは、令和元年実施の参議院選挙、埼玉県知事選挙、埼玉県議会選挙、熊谷市議会選挙といった4選挙が対象で、事前に市のホームページからダウンロードできる応募チラシのファイルを印刷して名前などの必要事項を記入し、投票所に設置した応募箱に投函すれば、抽選で、こすると消える緑・赤・黄色の3本セットの蛍光ペンが当たるというもの。4選挙全体の応募から抽選を行うため、選挙に行けば行くほど当選確率が高くなるところがポイントです。

同キャペーンを告知している熊谷市のホームページでは、ヘッドギアを着用し、ラグビーボールを抱えた同市の“ゆるキャラ”ニャオざねが「多くの選挙で応募するほど、当たる確率が高くなるにゃ」と勇ましく(!?)呼びかけています。

このユニークな取り組みの狙いは、キャンペーン対象者の小中学生の保護者の投票率アップ。家族で選挙への意識を高めてもらうため企画されました。


<参照元>
総務省「目で見る投票率」「投票環境向上に向けた取組事例集」
平川市ホームページ
福井市ホームページ
熊谷市ホームページ    等

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