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定住・移住支援における自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

2019/6/17

定住・移住支援における自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

“新しいライフスタイル”のひとつとして地方への定住・移住を検討する都市住民が増えています。こうした社会の変化をとらえながら定住・移住を促進する施策や取り組みのあり方とは? 事例などを通じて、そのポイントを探りました。

【目次】
■定住・移住ニーズが高まっている背景とは
■事例①【“守り”と“攻め”】江津市(島根県)
■事例②【縁組協定】川場村(群馬県)×世田谷区(東京都)
■【交流事業】秩父市×さいたま市、横瀬市(いずれも埼玉県)

定住・移住ニーズが高まっている背景とは

近年、移住関係機関の相談者・利用者が急激に増加しており、平成29年の移住相談などの年間相談者は平成20年と比較して13倍に上りました。資料請求などを含んだ利用者は若年層が多く、平成29年は全体に占める20代~40代の利用者数が7割を超えました。

都市住民に対する調査からは、農山漁村への定住願望の高まりが伺えます。平成17年から同26年の間に、定住願望が「ある」と答えた割合は上昇している一方で、「ない」と答えた割合は低下しているためです。

こうした「田園回帰」の流れは一過性のブームではなさそうです。なぜなら、社会の成熟化などに伴い、働き方や生き方についての国民の価値観が多様化したほか、情報通信技術の普及・発達によりテレワークが可能になっているからです。

たとえば、ICTを活用して場所にとらわれず働く人、新たな発想で地域資源を活かして起業や継業をする人、農業を営みながら別の事業を手がける「半農半X(エックス)」で田園での生活や人生を謳歌する人など、実にさまざまなライフスタイルが生まれ、人生の選択肢が多様になりつつあります。

さらに、働き方改革などの動きに合わせ、二地域居住や複数の地域を往復して生活・就労する人も現れました。こうした居住ニーズの変化に対応するため、各省庁では「地域おこし協力隊」(総務省)、「子ども農山漁村プロジェクト」(総務省・農水省・文科省・環境省)など、定住・移住を促進する多様な支援や制度を用意しています。

その中でも地域おこし協力隊は年々制度の利用者が増加しており、任期終了後以降も約6割の人がその地域に定住し、起業や創業・就職や就農などをしています。直接的な定住・移住対策を用意するとともに、地域と都市住民の交流から開始して将来の定住・移住につなげるさまざまな試みも行われています。

一方、移住・定住促進において、次の2点の課題解消が重要だと言われています。

①コミュニティの再生
社会の変化に対応した新たな形の人同士のつながりやコミュニティ創造のあり方、コミュニティの維持形成が重要だと考えられます。

②内発的発展が支える地域づくり
地域の経済や社会的な活動の担い手となる人をどう増やしていくか、またこうした人々のコミュニティも活かした地方公共団体の役割、及び地域金融機関など地域の多様な主体との連携のあり方の検討も重要です。
 
次に、定住・移住促進で独自の工夫や取り組みなどを行っている自治体の施策や取り組み事例を紹介します。

事例①【“守り”と“攻め”】江津市(島根県)

江津市(島根県)は田舎暮らし志向の都市住民に対して、平成18年から空き家を活用したUターン促進を推進しており、さらにリーマンショック後からは働く場をつくり出せる人材を確保するための起業促進や起業人材誘致にも取り組んでいます。

そのひとつが江津駅前商店街の空き店舗を活用した起業促進。実際にそこで新しいビジネスが創出されるなど、中心市街地の活性化やキャリア教育の担い手確保などの効果が生まれています。

また、起業家コンソーシアムや中間支援機構「NPOてごねっと石見」といった創業や人材育成を支援する組織も誕生しました。“守り”と“攻め”で、定住・移住を促進する循環が生まれた事例だと言えるでしょう。

事例②【縁組協定】川場村(群馬県)×世田谷区(東京都)

世田谷区(東京都)と川場村(群馬県)は昭和56年に“縁組協定”を締結し、世田谷区の児童生徒などが川湯村で移動教室を行ったり、親子で世田谷区と河湯村の住民が交流できるプログラムを実施し、多世代を対象とした“ふるさとづくり”を推進しています。

川場村での移動教室には、世田谷区から毎年6,000人規模の児童が参加しています。累計では、昭和61年から平成28年度までに約17万人が参加しました。

区民と村民の交流拠点となる宿泊施設も整備され、利用者は平成28年度の時点で約6万5,000人に上りました。さらに両地域の住民の出会いの場として「道の駅川場田園プラザ」も設置しました。同プラザは交流拠点としての役割を果たすとともに、雇用の創出の場となり、農家の収入確保にも貢献しています。

事例③【交流事業】秩父市(埼玉県)×さいたま市(同)

秩父市(埼玉県)はさいたま市(同)の小学生を対象に、ノコギリを使って木を切る体験事業を実施しています。

両市では協働して秩父市の木材を使った玩具などをつくり、都市部に販売する試みも行っています。実際、東京の企業と取引するなど、都市部を対象とした市場創出で成果をおさめ、秩父市の森林・林業の活性化を促進してます。

また、交流事業により秩父市に興味をもつさたま市の市民が増えることで、秩父市への移住促進につながっています。

これとは別に、同じ埼玉県内の横瀬市では都市住民を対象に棚田を活用した農業体験学校を設立しました。その結果、耕作放棄地となっていた棚田のほとんどが復田しました。交流のなかから、移住先に横瀬市を検討する都市住民が増えることが期待されています。

<参照元>
国土交通省 「地方への移住・定住等の促進に向けた戦略的な支援や地域側コネクションハブの強化について」
内閣官房まち・ひと・しごと創生本部 「移住・定住施策の好事例集(第1弾)」平成29年12月
公益財団法人 東京市町村自治調査会 「3章 定住促進に関する全国的な現状と対策事例」   等

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