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多言語音声翻訳について・実施事例【自治体事例の教科書】

2020/06/02

多言語音声翻訳について・実施事例【自治体事例の教科書】

外国人住民の増加に伴い、各自治体の窓口業務において在日外国人とのコミュニケーションが求められる場面が多くなりました。今後も在留資格を持った様々な国籍の外国人の増加が見込まれており、言葉の壁を取り払いスムーズな行政サービスを提供するための多言語に対応した取り組みが必要とされています。その一環として注目を集めているのが「多言語音声翻訳」機能を持ったアプリなどのシステムの導入。端末に話しかけることで自動的に多言語に翻訳してくれるシステムです。こちらでは多言語音声翻訳に取り組んでいる自治体の事例をご紹介します。

【目次】
■神奈川県綾瀬市
■山梨県甲府市
■静岡県袋井市
■福岡県福岡市
■大阪府大阪市

神奈川県綾瀬市

外国籍比率が4.56%(総人口85,224人中外国籍人口3,890人)と県内3位になっている神奈川県綾瀬市(2019年7月時点)。従来の窓口業務では、月に1回専門通訳員の来る日に予約をして来庁してもらうなど時間と手間のかかる対応をしていました。2017年11月からNICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)の多言語音声翻訳アプリ「Voice Tra」と、同アプリを活用した凸版印刷による自治体向け音声翻訳システムの実証実験への協力を開始しました。

同システムは端末に話しかけるかテキストで入力すると、即座に任意の他言語に翻訳して音声出力するシステムです。綾瀬市では7台のタブレット端末を、外国人対応の多い12の部署(総合案内、市民課、子育て支援課、保険年金課、健康づくり推進課、課税課、収納課、福祉総務課、障がい福祉課、高齢介護課、教育指導課、学校教育課)で共用。窓口対応を行う職員を対象とした操作説明会を開催し、システムの概要や使い方のコツ(機械が翻訳しやすいようなわかりやすい日本語を使う等)の説明を行って実証実験を開始しました。

1年4カ月の実証利用の結果、外国人の急な来庁にも即時対応できる点や希少言語にもある程度対応できる点、定額制で通訳員などが媒介しないためランニングコストが安い点などが音声翻訳機の有効性として確認され、正式な実装へと移りました。現在は製品版アプリ「VoiceBiz」を活用しています。また小・中学校でも同アプリの実装が開始され、外国籍児童・生徒が増加した学校教育現場にも活用されています。

山梨県甲府市

中国や韓国、フィリピンをはじめ、ブラジルやインドなど様々な国籍の外国人が窓口に訪れる山梨県甲府市。2017年度には、1,873件もの外国人による相談事例がありました。そこで希少言語にもスムーズに対応できるよう、ICT(情報通信技術)を活用した市民サービスの一環として2017年5月からNICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)の多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra」の活用を開始。同年11月からは同システムを活用した凸版印刷の自治体向け音声翻訳システムの実証実験にも協力を始めました。

外国語を学ばなくても日本語で対応できる仕様により業務の効率化や住民へのサービスの向上につながるため、現在は製品版の「VoiceBiz」を導入。外国人対応の多い5つの部署(総合案内、市民課、健康増進課、子ども支援課、子ども保育課駅前窓口センター)で活用しています。

静岡県袋井市

静岡県袋井市には、人口の約5%を占める40カ国4,273人の外国人が在住しています(2018年11月時点)。在住外国人との円滑なコミュニケーションを実現し市民サービスを向上させるため、また地元開催におけるラグビーW杯2019のインバウンド対策を早急に行うために、2018年12月から2019年3月までNICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)の「自治体向け音声翻訳システムに関する研究開発の実証実験」に協力しました。

同研究で使用するアプリの対応言語は30言語。そのうち29言語が日本語からの翻訳が可能です。また自治体向けにカスタマイズされた対応言語として、日本語から英語、ベトナム語の3言語が挙げられます。

生活会話や旅行向けの対応言語については、音声入力には英語、中国語、韓国語、タイ語、フランス語、インドネシア語、スペイン語、ミャンマー語、ポルトガル語の9言語、音声出力には英語、中国語、韓国語、タイ語、インドネシア語、ミャンマー語、ポルトガル語の7言語が対応。テキスト翻訳には英語、中国語、韓国語、タイ語、フランス語、インドネシア語、ベトナム語、スペイン語、ミャンマー語、ポルトガル語の10言語が日本語変換に対応しています。

対象となる業務は市民課における戸籍住民票関連業務・国民健康保険関連業務です。実証実験の開始前に、アプリの操作と活用方法についての研修会を実施しました。はじめに代表研究者から多言語音声翻訳システムに関する研究概要やアプリの操作説明を受け、その後実際に外国籍の国際交流員の方を相手にアプリを使った対話形式の練習を行いました。実証実験中・実験後は、利用状況や改善点などのアンケートを行い、同システムを導入する効果について検討しました。

福岡県福岡市

130以上の国・地域出身の外国人約37,000人が在住している福岡県福岡市。「誰もが過ごしやすいまち“ユニバーサル都市・福岡”」を目指す取り組みのひとつとして、2019年に「AI多言語音声翻訳」の実証実験プロジェクトをスタートさせました。

福岡市ではAI(人口知能)やIoT(モノのインターネット)といった先端技術を活用して社会問題の解決・生活の質の向上を図る実証実験プロジェクトを全国から募集し、全面的にサポートする「福岡市実証実験フルサポート事業」を常時行っています。今回の「AI多言語音声翻訳システム」の実証実験プロジェクトは、各自治体の窓口業務においてAI多言語音声システムを活用することで外国人への各種案内や手続きの高品質化を図り、市民生活の質の向上につなげるためのプロジェクト。このプロジェクトを実施できる採択事業者を福岡市が募集し、実証実験を行います。

審査の結果、プロジェクトを採択したのは凸版印刷を含む4社です。2019年11月から各社がそれぞれ開発した音声翻訳システムの端末を、区役所など市内の各所に設置。窓口業務における多言語音声翻訳システムの導入について検討するために、実際に在留外国人に使ってもらい有効性や翻訳精度といった実用性を確認しています。

大阪府大阪市

大阪府大阪市は政令指定都市の中で外国人の人口・比率ともに最多。139の国・地域出身の外国人137,467人が居住し、全市民の約5.1%を占めています(2018年12月時点)。また2019年4月に施行された出入国管理法及び難民認定法の改定により、更なる在留資格を持った外国人の増加が見込まれています。そのため大阪市では、2019年7月より、公益財団法人大阪国際交流センター内のインフォメーションセンター「外国人のための相談窓口」の機能を強化しました。

その一環として導入されたのが自治体向けの多言語音声翻訳サービス「VoiceBiz」のアプリです。端末に音声もしくはテキストを入力すると、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、ロシア語、フランス語など30言語の中から選択した言語に自動的に翻訳し、音声やテキストとして出力します。自治体で使用する頻度の多い固有名詞や定型文にも対応しています。

大阪市の「外国人のための相談窓口」での対応内容は、「生活に係る情報提供および相談(市政に関する各種相談、在留手続、雇用、医療、福祉、出産、子育て、子どもの教育等)」。同アプリを活用して多言語コミュニケーションにおける課題を解決し、外国人の方々が安心して暮らせるように市をあげて取り組んでいます。

〈参照元〉

神奈川県綾瀬市_自治体窓口業務における多言語対応の現状と課題
(https://www.city.ayase.kanagawa.jp/ct/other000050200/jirei.pdf)

総務省_自治体窓口業務における多言語対応の現状と課題
(https://www.soumu.go.jp/main_content/000659766.pdf)

総務省_地方自治体の窓口等における多言語対応の取組事例
(https://www.soumu.go.jp/main_content/000612056.pdf)

静岡県袋井市_袋井市ホームページ
(https://www.city.fukuroi.shizuoka.jp/kurashi/soshiki/ict/01/1542884450921.html)

福岡県福岡市_福岡市実証実験フルサポート事『AI多言語音声翻訳システム』実証実験プロジェクト募集
(https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/70068/1/fullsupport_aihonyaku.pdf?20190930145814)

大阪府大阪市_大阪市ホームページ
(https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/keizaisenryaku/0000472929.html)

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