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自治体の障がい者雇用について【自治体事例の教科書】

2020/07/07

自治体の障がい者雇用について【自治体事例の教科書】

2018年8月28日に国の行政機関で障害者雇用の計上に誤りがあることが判明してから、厚生労働省は各府省の障害者雇用を再点検し、公務部門における障害者雇用に関する基本方針を作成しました。その後も障害者の法定雇用率を満たすための取り組みを継続しています。この基本方針と厚生労働省の雇用促進のための取り組み、内閣府の「公務部門における障害者雇用マニュアル」および、総務省の障害者雇用関連の情報提供などについて解説します。

【目次】
■厚生労働省_公務部門における障害者雇用に関する基本方針
■厚生労働省_障害者雇用の促進
■総務省_障害者雇用関係
■厚生労働省_障害者雇用対策
■内閣官房_公務部門における障害者雇用マニュアル

厚生労働省_公務部門における障害者雇用に関する基本方針

政府の多くの機関において障害者雇用の計上に誤りがあり、法定雇用率を達成していなかったことが明らかとなったことから、厚生労働省を中心とする「公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議」で2018年10月23日、「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」が示されました。

この基本方針では、「今般の事態の検証とチェック機能の強化」「法定雇用率の速やかな達成に向けた計画的な取組」「国・地方公共団体における障害者の活躍の場の拡大」「公務員の任用面での対応等」を挙げ、法定雇用率の達成はもちろん、障害者が意欲と能力を発揮し活躍できる場の拡大に取り組むとしています。

特に、「今般の事態の検証とチェック機能の強化」としては、厚生労働省が計上対象となる障害者の範囲と確認方法などについて明確な判断基準を改めて示し、研修や点検などの再発防止のための詳細な手引きを作成、各府省からチェックシートを毎年提出してもらうこととしています。地方公共団体に対しては厚生労働省と総務省から基本方針に沿って必要な措置をとるように要請するとしています。

その他、障害者雇用に関する理解を促進し採用計画を進捗させるために、ハローワークや障害者の就労を支援する関係機関などとの連携や相談窓口の充実を挙げています。さらに、障害者の職場実習の実施や非常勤職員として勤務した後、選考を経て常勤職員となることを可能とする枠組みを導入するなども挙げられています。

厚生労働省_障害者雇用の促進

厚生労働省は「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」を受けて2019年2月13日に「障害者雇用の促進について関連資料」を示しました。この資料では、国などの公的機関と民間企業それぞれの障害者雇用の促進について整理されています。

国などの公的機関については再点検結果3814.5人、地方公共団体では4667.5人の不足があったことを報告し、採用計画を明示しています。国などの障害者雇用の考え方や事務処理に関しての詳細な説明をしています。

全体を通して障害者の権利に関する条約から、差別の禁止や合理的配慮の提供義務がベースとした中で民間企業の障害者雇用の促進等について述べています。障害者を雇用する義務である「法定雇用率」が民間企業2.2%、国・地方自治体2.5%、都道府県等の教育委員会2.4%に定められていることを踏まえ、法定雇用率を満たしていない常用労働者100人以上の企業から納付金を徴収し、障害者を多く雇用している事業主に対して調整金等を支給する仕組みの説明をしています。

さらに、障がい者がよりスムーズに就労するために、ジョブコーチなど「障害者就業・生活支援センター」を中心とした関係機関が連携した就労支援のあり方を紹介し、精神障害者・発達障害者・難病患者障害者がより無理なく仕事に就けるように障害特性に応じた就労形態があることを紹介しています。

総務省_障害者雇用関係

2018年10月23日に示された基本方針以降に総務省のホームページに掲載されている文書では、11月13日の文書が最も早く出されたもので、都道府県や指定都市宛てに出した「地方公共団体における障害者雇用の促進等について」の事務連絡とともに「国の行政機関における障害者雇用に係る事案に関する検証委員会報告書」が添付されています。

この検証委員会報告書の中で、障碍者雇用への関心の低さや制度改正後の確認不足、計上方法の理解の欠如、杜撰な計上が政府の機関において障害者雇用の計上に誤りがあった原因としつつ、その根底には既存職員を障害者として選定し計上するなどという「障害者雇用促進法の理念に対する意識の低さ」があるとしています。

さらに、本来率先して障害者雇用に取り組むべき国の行政機関で、厚生労働省と各行政機関それぞれの問題を精査しなかったことから「大規模な不適切計上が長年にわたって継続した」とまとめています。

こうして国の行政機関の不適切計上を検証した上で、総務省は都道府県や指定都市、時には人事委員会事務局宛てに障害者雇用をより円滑に進めるための内閣官房の「公務部門における障害者雇用マニュアル」を提示し、厚生労働省をはじめとした関連する政府機関の事務連絡を次々に掲示しています。

事務連絡は、人事院規則に「障害者の雇用の促進等に関する法律」に添った条文を設け、出勤時間や休憩時間の柔軟な対応に行えるようにするものや、地方公共団体が職員採用を行う際に障害者も含めるように促す通知など多岐にわたります。

厚生労働省_障害者雇用対策

厚生労働省はホームページにおいて、「障害のあるなしに関わらず、誰もがその能力と適性に応じた雇用の場に就き、地域で自立した生活を送ることができるような社会の実現を目指し、障害のある人の雇用対策を総合的に推進しています。」との姿勢を示した上で、2018年12月25日から定期的に国の行政機関の障害者雇用関連の集計を掲載しています。

障害者雇用の計上誤りが発覚して以降、2018年10月23日~2019年12月31日までに国の行政機関に採用された障害者を対象としており、2020年2月21の集計では採用者数5,197.0人、離職者数431.5人であったことと、採用計画に対する進捗率116.9%であること、これにより全ての行政機関について法定雇用率を達成したことを報告しています。

それまでも掲載していた「障害者の雇用促進などの法律に基づく企業名公表」と同列に、国の行政機関の状況が掲載されていることで、官民あげて障害者雇用の促進に力を注ぐ形となりました。

さらに、厚生労働省のホームページには、障害者の就労を支援するための訪問型および在籍型の適応援助者養成研修やハローワークを通じた障害者の就労件数の動向なども掲載され、施策紹介欄には、施策の概要や対象別の文書も掲載されているため、必要な人が必要な障害者雇用に関する情報を得ることができる内容となっています。

内閣官房_公務部門における障害者雇用マニュアル

2019年3月に作成された「公務部門における障害者雇用マニュアル」は、「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」の理念のもと、職業を通じた社会参加としての障害者雇用を目指しています。

障害者の雇用促進・職業リハビリテーションを通じて、障害者の職業の安定を図ることを目的としている障害者雇用促進法では、国や地方公共団体を含む事業主に障害者の法定雇用率を定め、法定雇用率に相当する人数以上の障害のある人の雇用を義務付けているため、各府省の取り組みも求められるとしています。

このマニュアルでは身体障害・知的障害・精神障害・発達障害といった障害別にみた特徴と雇用上の配慮についても詳細に説明されています。

また、障害者雇用はステップに沿って着実に取り組むことが重要とし「理解促進」「計画の作成」「受入れ体制の整備」を経た上で採用活動をおこない、採用後も職場への「円滑な受入れと職場定着」が必要であり、同時並行で進めていくことが重要だとしています。

また、障害者雇用に関する専門アドバイザーによる助言や研修・実習受け入れについても説明し、障害者雇用のための職務環境の整備として、勤務時間・休暇制度やテレワークの活用・作業環境の整備の配慮が必要だとしています。

障害のある職員の募集・採用等においては、常勤職員のほかに非常勤職員・プレ雇用などがあるとし、非常勤職員として勤務した後、選考を経て常勤職員となることを可能とするステップアップの枠組みも示しています。さらに、ハローワークや障害者就労支援機関等の外部機関との連携も紹介しています。

〈参照元〉

厚生労働省_公務部門における障害者雇用に関する基本方針
(https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/000463559.pdf)

厚生労働省_障害者雇用の促進について関係資料
(https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/000478393.pdf)

厚生労働省_厚生労働省ホームページ
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/
index.html
)

総務省_総務省ホームページ
(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/koumuin_seido/
josei_hatarakikata_01.html
)

内閣官房_公務部門における障害者雇用マニュアル
(https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/shougaisha_manual_200327.pdf)

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