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自治体の戦略的広報の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

2019/6/12

自治体の戦略的広報の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

移住・定住・観光・企業誘致などを促進・活性化するシティプロモーションとして、自治体による「戦略的広報」の推進が求められるようになってきました。戦略的広報を推進する上で、どのような取り組みや施策を行えばよいのか? さまざまな工夫を行っている事例を通じて、そのポイントを探りました。

【目次】
■自治体に求められる戦略的広報とは
■事例①【“受け手”の立場で】武蔵村山市(東京都)
■事例②【民間人登用】茨城県
■事例③【マーケティング課】流山市(千葉県)

自治体に求められる戦略的広報とは

民間のマーケティング部門などでは、情報を伝達した効果として関係者の行動が促進されたり、考え方が変わったり、さらなる活動のきっかけとなるような情報伝達手法のことを“戦略的広報”と言います。

自治体における広報も、情報を得た関係者がどのようになってほしいのか、最終的な目的を明確にしながら戦略的広報を行う必要があると指摘されるようになってきました。そこで近年、自治体を経営するという視点から、地域外に向けた情報発信をはじめイメージアップや住民の満足度の向上のための情報を広めることが注目されています。

しかし、商業的な広報に見られるような大規模な広報活動は行政は不得意だとされています。決まっている予算、信頼性重視のデザインや広報伝達方法、従来の手法の踏襲など、さまざまな制約条件もあります。

そうしたなか、さまざまな工夫をすることでより効果的に広報を行う自治体が増えつつあります。次に、戦略的広報を実践している自治体事例を紹介します。

事例①【“受け手”の立場で】武蔵村山市(東京都)

武蔵村山市(東京都)は「みんなで広報」「伝わる広報」「届く広報」を戦略的広報として掲げています。

「みんなで広報」とは、広報も自治体の重要な役割だとの認識のもとで、全庁的に情報を広報することです。広報を行う分野とその主な目的、担当部署を示して全庁的な広報に取り組むと同時に、戦略的広報を統括する部署の機能強化も図りました。

「伝わる広報」は情報をわかりやすく発信すること。各種広報手段を生かし、正しく伝わる広報を実践し、正しく伝わることで受け手の理解や行動を促進することが目的です。正しく伝わる広報のため、表現のわかりやすさを心がけています。

「届く広報」とは。その情報を必要とする人が見つけやすい広報のことです。的確に届く広報を実践し、必要としている人が情報を見つけやすくするため、市民向け、市外向け等、 対象者の違いを意識し、読み手の目線に立った広報を展開しています。

こうした取り組みにより、同市では住民による市政情報入手方法は広報誌が83%と高くなっています。

事例②【民間人登用】茨城県

茨城県は平成27年に3年間の任期付き職員として広報監(次長級)を民間から登用し、県の動画サイト「いばキラTV」がYouTubeを活用した動画サイトとして、動画本数、再生回数、チャンネル登録者数で、全国47都道府県中ナンバー1になるなど、大きな成果を挙げました。

広報監に就任したのは、米半導体大手・インテル出身の取出新吾氏。インテル時代の平成25年度に「広報ICTディレクター」として県政に関わるようになり、平成27年度から広報監に就任しました。

取出氏は中継機能を重視していた動画サイト「いばキラTV」を徐々に動画中心のサイトに変更。IT知識を駆使して、どうすればサーチエンジンに上位表示されるかなど、情報発信のあり方を大きく見直しました。

在任中、取出氏は自治体職員の横の連携を広げる活動を展開したり、茨城県の知られざる魅力を発信するなど、従来の発想にとらわれないチャレンジを続けました。

事例③【マーケティング課】流山市(千葉県)

流山市(千葉県)は平成16年に自治体マーケティングの先駆けとなる日本初のマーケティング課を設置し、戦略的なシティプロモーションを推進しています。

かつて同市は、人口減少のほか、市財政の危機を招きかねない市域面積の約2割に及ぶ大規模区画整理事業の遅延という、ふたつの重い課題に直面していました。危機回避のためには大規模区画整理事業の早期完了と多くの住宅購入者の確保が必須になるという難しい状況でした。また、同市は住民税への依存割合が高いベッドタウン特有の歳入構造を持ち、少子高齢化で人口減少が続くと市民サービスの維持が困難になる可能性もあり、若い世代の人口増加も急がれていました。

そこで平成15年に同市の市長に初当選し、「市政は経営である」という信念をもつ井崎義治市長により、平成16年にマーケティング課が庁内に設置されました。同課ではSWOT分析を行って流山市の強みやポテンシャルを明確にし、そのうえで首都圏の住宅マーケットにおいて「都心から一番近い森のまち」というポジショニング・ステートメントを確立。目指すべき都市ブランドとしての一貫したイメージの方向性を打ち出しました。

その後、マーケティング課内にシティセールス室を設置し、平成23年に「第I期 シティセールスプラン」を策定。長寿社会を支える共働き子育て夫婦「DEWKS」 (30歳代~40歳代の共働き子育て世代のこと。Double employed with kidsの略)に訴求対象を絞ったマーケティング戦略を開始しました。

DEWKSへのメッセージは「母になるなら、流山市。」「父になるなら、流山市。」。このマーケティング戦略のもと、知名度とイメージ向上を主目的にテレビや各種メディアを積極的に活用したプロモーションを推進しました。

こうした一連の戦略的広報やさまざまな取り組みにより、流山市の人口は平成23年の約16万5,000人から平成30年には約18万6,000人と2万人以上増加。しかも、30~40歳代の人口ボリュームを最も多く増やすことに成功しました。4歳以下の子どもの数も増え、同市の合計特殊出生率は全国平均より高い、といった数々の成果をあげました。

現在、同市では「第II期 シティセールスプラン」を推進しており、「住み続ける価値の高いまち」として流山市ブランドの確立・強化を行っている最中です。

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