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滞在型観光における自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

2019/4/26

滞在型観光における自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

滞在型観光を活性化させるためにはどのような取り組みが必要なのでしょう? 成果を出している自治体の事例などから、そのポイントを探りました。
 
【目次】
■滞在型観光とは
■事例①【観光地域ブランド創出】京都府など
■事例②【持続的な取り組み】柏崎市高柳町(新潟県)
■事例③【滞在型観光で移住促進】五島市赤島町(長崎県)
■“体験”を伝えるインバウンドの観光客誘致
■巨大市場から訪日客を呼び込む

滞在型観光とは

滞在型観光とは、バスツアーなどで複数の観光目的地を駆け足で巡る周遊型観光とは異なり、1ヵ所あるいは一定の地域に宿泊し、体験型レジャーなどを楽しむ観光スタイルのことです。

滞在型観光を楽しむ観光客は、地域の文化に触れ、地域の住民と交流できる機会が豊富にあり、豊かで深い体験を味わうことが可能です。ですから、多くの場合は1回限りの周遊型観光とは異なり、そこが気に入れば、その地域のファンになる傾向があり、滞在型観光を促進することで、何度も訪問しれくれるリピーターの獲得、長期滞在による経済波及効果などが期待されます。

滞在型観光を活性化するポイントとして、観光庁の「滞在交流型観光に係る受入環境改善事業 報告書」は、①組織づくり、②ビジョンづくり、③観光資源を活用した商品開発及びターゲット設定、④プロモーション実施、⑤その結果の効果把握、⑥これらの活動をフィードバックしたうえでのさらなる観光振興推進―という6つのポイントを挙げています。

変化する観光客のニーズに対応し、魅力的な滞在型観光コンテンツの発掘や創出を組織的に行い、それぞれの打ち手についてPDCAをまわすことが必要、ということです。

次に、滞在型観光で成果を出した特徴のある事例を紹介します。

事例①【広域連携で観光地域ブランド創出】京都府など

京都府と京都府丹後半島地域の京丹後市、与謝野町、伊根町、宮津市の4市町では「丹後ブランドの確立による滞在交流型観光地域づくり事業」で連携し、観光入込客数(観光地点を訪れた観光入込客をカウントした値)が増加するなどの成果をあげています。

これは、豊富な農林水産資源や織物業・機械金属業等の伝統産業を生かした丹後ブランドを確立するとともに、これら観光資源を活用した体験プログラムの開発や交通ネットワークの整備等による滞在交流型観光地域を構築することにより、交流人口の拡大と観光産業の担い手となる外部人材の移住・定住を促進し、地域活力の向上を目指す事業です。

具体的には、京都府を中心に体験プログラムの発掘や旅行会社へのファムトリップ(観光地の誘致促進のため旅行事業者やブロガー、メディアなどに現地を視察してもらう下見招待旅行やモニターツアーのこと)、観光分野の専門学生等と連携した企画プランづくり、交通事業者との協働による周遊プランづくり、SNS発信などを行っているほか、新商品開発等による道の駅魅力増進事業(与謝野町)、わがまち歩きツアー(伊根町)、海を活用した天橋立周遊観光(宮津市)、移住総合支援(京丹後市)などを実施し、滞在型観光活性化や移住支援の積極化に取り組んでいます。

事業開始後、丹後半島地域の観光入込客数は平成26年度の539万人から平成30年度は660万人に増加したほか、観光客ひとり当たり消費額も倍近くまで増加するという成果をあげています。

事例②【持続的な取り組み】秋田県

柏崎市高柳町(新潟県)では町民有志が「農村滞在型交流観光構想(じょんのびの里づくり構想)」を策定し、都市農村交流という視点で新しい形態の観光産業創出に成功。人口の100倍を超える交流人口を生み出しました。

この構想に基づいてコア施設「じょんのび村」と自然体験施設「こども自然王国」のほかサテライト施設として農家民宿「かやぶきの宿」を整備し、都市農村交流に大きく寄与しています。

「じょんのび」とは新潟地方の方言で「のんびりくつろぐさま」を意味します。

同市高柳町における観光振興の取り組みは昭和60年頃にさかのぼります。当時、人口減少率が新潟県ワースト1に達し、地域存続の危機が表面化。そこで30歳代の若者が町おこしに立ちあがり、廃屋寸前の茅葺き屋根を町民有志で修復して交流拠点をオープンするとともに町の活性化を検討する「ふるさと開発協議会」を設置しました。

協議会の委員は、町民のほか、町外の専門家からなる助言者で構成し、ここで今日につながる同町のブランド「じょんのびの里づくり構想」が策定され、住民主体の議論の中で「『自然と人』『人と人』が結びつきをより深める」というコンセプトを明確化しました。

目をつけたのが参加型体験交流です。地元に伝わる古くからの民話をもとに地元若者が創作した祭り「狐の夜祭り」が生まれ、都市住民も参加できる仕組みづくり等により、この祭りは地域おこし活動の中核になりました。秋の収穫祭、雪祭りなど都市住民が参加できるイベントも展開しました。

こうした取り組みの結果、平成7年には年間観光入客数が20万人を突破。現在も年間12万人以上の観光客が同町を訪れています。

事例③【滞在型観光で移住促進】五島市赤島町(長崎県)

五島市赤島町(長崎県)の滞在型観光の取り組みは移住者増加につながっています。

同町出身者のUターン者が中心となり、来島者が長期滞在できる交流滞在施設「赤島の家」を寄付金で整備したことが、この取り組みの原点です。「赤島の家」は、宿泊者が自分で食事や宿泊の用意をし、夕食などの機会に島民や旅行者同士が交流する施設。都市では失われた「田舎暮らし」のよさを体験できる場となっています。

その体験や交流の様子がテレビやインターネットなどで情報発信されたことをきっかけに赤島に関心をもつ移住希望者が増え、平成27年時点で12名が移住しました。

赤島町では自治会が「赤島の家」の運営や集会所の管理などを行い、Uターン者が中心となって移住者の世話を行っています。市や自治会が補助を行い、移住者用の住宅も改修するなど、移住支援にも力を入れています。
 

滞在型観光についての関連記事

多くの自治体から注目される滞在型観光の施策について、先進的な自治体トップや担当職員、支援企業に取材した「自治体通信Online」掲載の事例記事を紹介します。是非、参考にしてください。

“体験”を伝えるインバウンドの観光客誘致

支援企業名:WAKUWAKU JAPAN株式会社
関連記事 :訪日のブルーオーシャン インドネシア市場を開拓すべき
URL  :https://www.jt-tsushin.jp/interview/jt13_wakuwakujapan/
記事内容
・体験を訴求した観光客誘致の課題とは
・その解決方法
・どのような取り組みか
・支援企業の視点

 

巨大市場から訪日客を呼び込む

支援企業名:株式会社オーエス
関連記事 :中国人が使い慣れたSNSの活用で巨大市場から訪日客を呼び込む
URL  :https://www.jt-tsushin.jp/interview/jt17_oscorporation/
記事内容
・インバウンドの観光促進施策の課題とは
・その解決方法
・どのような取り組みか
・支援企業の視点

 

<参照元>(最終閲覧日:2019年4月24日)
JTB総合研究所 「観光用語集」
国土交通省 「事業名:丹後ブランドの確立による滞在交流型観光地域づくり事業」
国土交通省国土政策局離島振興課 「滞在交流型観光を通じた離島創生プラン」平成29年4月26日    等

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