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スマートシティ官民連携プラットフォームについて・実施事例【自治体事例の教科書】

スマートシティ官民連携プラットフォームについて・実施事例【自治体事例の教科書】

スマートシティは先進的な技術を活用して都市や地域の課題を解決し、住民サービスやさまざまな機能を効率化・高度化する取り組みです。日本では特に高齢化や災害への対応が求められていて、その解決のために多くの自治体がスマートシティをまちづくりの基本コンセプトに据えています。ただ、スマートシティの推進は自治体の力だけで行うのは難しく、最新の技術や機器を有する研究機関や企業などの協力が欠かせません。このため、国はスマートシティ官民連携プラットフォームを設け、各自治体の取り組みの紹介や事業支援、マッチング支援などを行っています。国と各自治体の取り組みを紹介します。

【目次】
■スマートシティ官民連携プラットフォーム
■石川県加賀市
■静岡県藤枝市
■福井県美浜町
■千葉県柏市
■福島県会津若松市

スマートシティ官民連携プラットフォーム

スマートシティの取り組みを官民が連携して加速していこうと内閣府と総務省、経済産業省、国土交通省などが中心となって「スマートシティ官民連携プラットフォーム」を設立したのは、2019年10月。会員数は同年12月末現在で、地方自治体や企業、大学、研究機関など469団体にのぼります。実際にスマートシティ事業に取り組んでいるコンソーシアムや協議会も78団体参加しています。

プラットフォームでは、スマートシティ関連事業に取り組む自治体などに対して資金面のほか、ノウハウ面でも各府省が一体となって支援を行っています。また、共通する課題を抱える自治体などがいくつかあるときは、分科会を設けて課題解決に取り組みます。

また、自治体がコンソーシアムを組んで事業を行う場合は、必要な技術や経験をもった民間企業などとのマッチングも行うほか、コンソーシアムによるモデル事業などで実証を得られた技術が他の地域でも活用できるよう横展開を促すマッチングも手がけています。以下で地域の事例を紹介します。

石川県加賀市

石川県加賀市ではスマートシティ推進のため、2019年8月26日に「加賀市スマートシティ推進官民連携協議会」を設立しました。現在、コンサルタント会社の協力も得ながら「加賀スマートシティ構想」づくりに取り組んでいます。

2020年2月にまとまった骨子案では、交通対策としての「加賀MaaS」や健康医療対策としての「電子健康手帳」、観光対策の「ナイトタイムエコノミー」などの取り組みをあげ、課題解決に取り組んでいくとしました。

具体的な課題の選定にまでは至っていませんが、今後検討を進めてスマートシティ構想の公表や「加賀スマートシティ宣言」を行うことにしています。

静岡県藤枝市

静岡県藤枝市は、市内の企業や大学などでつくる「藤枝ICTコンソーシアム」とともにスマートシティ事業に取り組み、2019年には国土交通省の「スマートモデル事業」にも選定されました。コンソーシアムにはソフトバンクも参加し、同社は市とICT活用に向けた包括連携協定も結んでいます。

同市は課題として、南海トラフ地震などの自然災害対策や高齢化にともなう移動困難者の増加、若い世代の流出をあげていて、「コンパクト+ネットワーク」のまちづくりにICTやデータを活用するとしています。

現在は、携帯電話やシェアサイクル、オンデマンド交通のデータを特定箇所で収集することで人の流れを可視化し、観光や産業の活性化に活用する取り組みを進めています。また、この人の流れを解析したデータと道路の路面の画像データを組み合わせて道路補修の優先度を判断することで、事業の効率化も図っています。

福井県美浜町

福井県美浜町は、「道の駅」を核にした地域の拠点づくりを実現するため、2016年度から検討をすすめ、2018年3月に「美浜町地域づくり拠点化整備基本計画」を策定しました。その中で、JR美浜駅前地域を、地域住民が交流できる「スマートかつコンパクトなまちづくり拠点」として整備するとしました。

計画では、駅南西側の約1.2ヘクタールを予定地とし、屋内施設や公園、広場、ガソリンスタンド、駐車場などを整備します。屋内施設には農林水産物の直配所や商業施設、飲食施設を設け、地元住民や観光客らが集まる賑わいの場とし、イベント広場や公園などを子育て世代をはじめとする住民らの交流の拠点とします。また、施設内には情報コーナーを設け、住民や観光客向けに市内の施設の案内やJRの運行状況などの情報発信も行います。

災害時には、被災者支援の拠点となるよう防災機能も持たせ、防災備蓄倉庫や非常用電源施設、耐震貯水槽なども備えます。ガソリンスタンドも防災上の燃料備蓄を兼ねていて、災害時には被災者支援に利用できるよう町と事業者の間で協定を結びます。

千葉県柏市

千葉県柏市は三井不動産、柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)などと「柏の葉スマートシティコンソーシアム」をつくり、柏の葉エリアでモデル事業を展開しています。同事業は2019年に国土交通省のスマートモデル事業に選定されました。

柏の葉エリアは、つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅を中心とする半径2キロに広がる街で、東京大学柏キャンパスや千葉大学、国立がん研究センター東病院など研究拠点が点在しています。最近は東京大学のキャンパス内に国立研究開発法人産業技術総合研究所柏センターが設立されました。柏の葉スマートシティコンソーシアムでは、人・モノ・情報が集まる駅前エリアの特性を生かして、民間と行政が連携するデータプラットフォームの構築や、AIやIoTなどの技術を活用した地域課題の解決を目指しています。

具体的には、エリア内施設のエネルギー関連データを集約するデータプラットフォームを構築して電力の融通効率化を図るほか、自動運転によるシャトルバスの運行、医療機関での人の動きを解析することによる待ち時間の軽減、医療機関で蓄積したデータに基づく健康サービスといった事業に取り組んでいます。また、駅周辺にカメラやセンサーを設置し、人の流れや環境の変化の解析結果を開発計画や空間デザインに反映させる取り組みも行っています。

データプラットフォームでは、情報銀行などの仕組みを活用した分散型データベースを構築して、自治体が保有するオープンデータのプラットフォームと連携。民間と公共のデータを横断的に利活用することで新たなサービスを創出します。

福島県会津若松市

福島県会津若松市は、2013年2月に「スマートシティ会津若松」の推進を表明し、これまで関連する施策を進めてきました。同市はスマートシティについて、ICTや環境技術などを健康や福祉、教育、防災などの市民サービスのほか、エネルギー、交通、環境など住民の生活を取り巻くさまざまな分野に活用したまちづくりの取り組みだとしています。

スマートシティを推進するにあたっての会津若松市の強みは、市内に会津大学というICT専門大学があることで、大学と密接に連携しながらICTを使った実証実験や課題解決に向けた研究・検討ができます。市は会津大学のほか、地元企業やIT関連企業などと「会津地域スマートシティ推進協議会」をつくり、事業を推進しています。

これまでに、住民が自分の好みやライフスタイルに合わせて情報を受けられる地域情報ポータルサイト「会津若松+」や、公立学校や教育委員会の情報を保護者らがスマートフォンで受けられるアプリ「あいづっこ+」などを開発、市民に提供しています。また、ICT関連企業を市内に誘致するため、ICTオフィス「スマートシティAiCT」を開設。地上3階建てで、2020年1月現在、18社の企業が入居しています。

今後、市ではICTを使ったヘルスケア事業に取り組み、データに基づいた健康指導や健康診断受診率の向上を図り、病気予防による医療費の削減を図るほか、ICT活用による農業振興などの事業に取り組んでいきます。また、会津大学が先端ICTラボの整備を進めているのをはじめ、会津若松R&D拠点の整備が計画されていることから、今後もICT関連企業の誘致を進め、会津地域へのICT産業集積の実現を目指すとしています。

〈参照元〉

国土交通省_国土交通省ホームページ
(https://www.mlit.go.jp/scpf/projects/index.html)

石川県加賀市_加賀市ホームページ
(https://www.city.kaga.ishikawa.jp/seisaku/seisaku/smartcity_kanminrenkeikyougikai.html)

静岡県藤枝市_藤枝ICTコンソーシアム
(https://www.city.fujieda.shizuoka.jp/material/files/group/140/modelproject.pdf)

福井県美浜町_美浜町地域づくり拠点化整備基本計画
(http://www.town.mihama.fukui.jp/open_imgs/info/0000009589.pdf)

柏市_柏の葉スマートシティコンソーシアム
(http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/020100/p050718_d/fil/project.pdf)

福島県会津若松市_会津若松市ホームページ
(https://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2013101500018/)

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