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スマート農業について・実施事例【自治体事例の教科書】

2020/07/01

スマート農業について・実施事例【自治体事例の教科書】

農業分野では高齢化や後継者不足、過疎化による担い手不足や重労働が問題になっています。若手農業従事者においても少子化に伴う人材不足や、作業負担やコスト負担は課題です。こうした農業の現場にICTなどの最新技術を導入することで、人手不足の解消や作業負担の軽減や効率化、低コスト化を図ろうという取り組みがスタートしています。スマート農業の実施事例について、各地方自治体ではじまっている実施事例をご紹介します。

【目次】
■岐阜県の実施事例
■和歌山県の実施事例
■青森県弘前市の実施事例

岐阜県の実施事例

岐阜県では全国に先駆け「岐阜県スマート農業推進計画」を策定しました。生産性や収益性の高い産地づくりを目指して、岐阜県内での農業や畜産業のスマート農業を推進していく計画です。実際に岐阜県内で取り組まれている実施事例をご紹介します。

1例目は岐阜県岐阜市による稲作農家の事例で、作付け面積や作付け品目、生産コストの一元管理による高収益化を目指す取り組みです。クラウドシステム導入による、地図での作付け面積や各栽培品目の面積管理と、生産コスト情報の入力を通じたコスト把握を導入しました。

その結果、単収向上と作業時間の削減が実現できました。多数の圃場(ほじょう)の作付け状態や栽培面積を一元的に把握できるようになったことで、栽培計画の精緻化が図れたのがメリットです。生産に必要なコスト情報をその都度入力することで、栽培全体のコストも明確に把握できるようになりました。

2例目は岐阜県高山市の稲作農家における、ICT機器を活用した徹底した栽培・コスト管理の事例です。稲作業務管理ソフトを導入して栽培に関する情報を共有し、適正な時期に適正な作業の実施を目指す取り組みです。集積化した中山間地水田特有の小規模圃場に特化でき、GPSを用いた自動走行システムも開発中の除草ボードも導入しました。除草ボードの利用には水田水位の適切な管理が前提となることから、無電源かつ省力で行う水田水位管理システムも併せて導入しています。

導入の効果として、水管理にかかる人件費を約50%削減できました。また、「米・食味分析コンクール」での連続金賞受賞を獲得できるようになったのも、ICT機器の活用による成果として、導入メリットが得られています。

3例目は岐阜県海津市のトマト農家において、経験年数の短さをICTで補うことで収益向上を目指す事例です。ハウス内の温度や湿度、二酸化炭素、照度の測定を実施して、グラフ等で表示させることで、ハウス内環境状態および変化を視覚的に把握できるシステムを導入しました。また、上記のシステムや気象センサーからハウス内の環境を測定・収集して、データをもとにハウス内環境を制御するシステムも導入しています。

導入の効果として最適な栽培環境の維持と作業時間の削減に成功しました。トマト栽培ではベンチマークとすべき最適栽培環境指標がありますが、指標とハウス環境を合わせることが可能となったのです。導入前はハウス環境データと気象情報によるハウス環境制御を行うために、かなりの時間がかかっていたのですが、大幅な時間と労力の短縮につながりました。

4例目は岐阜県羽島市の畜産農家における、ICT機器を活用した牛群情報の一括管理の事例です。発情発見を目的に、牛の起立や横臥、歩行、反芻などの行動データを24時間収集できる機器を導入しました。混合飼料づくりのために、ICT-TMRミキサー・ICT計量ユニットも導入しています。混合飼料づくりのメニューと給餌頭数をインプットすると、原料投入の順番や量、撹拌時間を自動的に表示してくれます。

毎回の混合飼料づくりの内容はパソコンに接続することで、生産データとして蓄積することも可能です。さらに、歩数や行動量の計測を通じて起立性困難や病気、発情時期の予測を行えるシステムも導入することで、人間による見逃しを防止し、牛の死亡事故による損失防止を目指しました。導入に伴い、哺乳ロボット、餌寄せロボット、子牛監視カメラも購入し、設置の準備を進めています。

スマート農業導入の効果として、飼料コストの削減と死亡事故の減少につながりました。牛の日々の行動を時系列で確認でき、人工授精の記録を含めてクラウドにデータを保存できるため、スタッフどうしの情報共有がスムーズになりました。ICT-TMRミキサー・ICT計量ユニットのおかげで、乳質の均一化や飼料コストの削減も図られています。起立性困難や病気、発情時期の予測により、死亡事故等の損失防止にもつながっています。

和歌山県の実施事例

農業の労働力不足が深刻化する中、和歌山県では省力化や軽作業化を目的に、ICTやロボット等の革新的技術を取り入れたスマート農業の導入促進を目指し、農林水産省の「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」に採択されました。

2019年度から2年間にわたって、和歌山県の主力農産物であるウメ、カンキツの生産者の栽培圃場でスマート農機の実証実験を行い、機械化による一貫作業体系の確立を目指す取り組みです。実証実験に取り組む圃場の公開も行われ、地元の農業従事者がスマート農機の実演を実際に見たり、体験したりする機会も設けられています。

地元の農業従事者にも広くスマート農業を普及すべく、和歌山県では最先端の農業を知る機会として「わかやまスマート農業フェア」も開催しています。施設園芸用環境制御機器やドローンなどを活用した製品の紹介や展示をはじめ、専門家によるスマート農業の実践に関するセミナーも行われ、スマート農業について学ぶことができるフェアです。

農作業の省力化と収量や品質アップのための環境制御システムやクラウドサービスの紹介、ドローンを活用した新しい圃場管理方法や低コストで省力化を実現するクラウド連携型DIY環境制御システムなどのシステムが紹介されています。また、電動モーターで荷物の持ち上げや持ち下げ、中腰の姿勢保持、歩行の4つのアシストを実現するアシストスーツや、荷物の上げ下ろしの際に足や腰をサポートするバッテリー不要のアシストスーツに触れることも可能です。

青森県弘前市の実施事例

青森県弘前市のリンゴ農家ではクラウド型農業支援アプリを活用し、リンゴの生産管理に取り組んでいます。

この農家では、先代からの経営継承時に植栽されている品種や樹の場所など、経営主でないとわかりにくい情報が多く、作業員へのきめ細かな管理の指示が難しい現状に悩まされていました。そこで、品種の特定と労働生産性向上を目的に平成27年から、樹木1本1本の作業記録をデータ化するシステムを導入したのです。

ツリータグを通じて、品種と場所が誰でもすぐに把握できるようになり、作業時間や作業進捗を確認しやすくなりました。樹木への作業だけでなく、草刈などリンゴ園全体にする作業の詳細な管理にも応用が可能です。クラウドシステムとスマートフォンが連動できるため、各作業員は画面にタッチするだけで必要な情報を簡単に記録できます。

導入の結果、生産工程が可視化され、次の効果が出ています。摘果など栽培管理ごとの作業時間を把握できるようになり、作業のやり方を作業員の能力に応じた形に見直すことができました。また、労働生産性が低い葉摘み作業や選果作業はやめるなど、管理作業の見直しにもつながっています。

管理作業の進捗状況を把握できるので、効率的な指示を作業員に出せるようになり、労働生産性の向上につながりました。経営の内容を正確に把握できるようになったことで、これまで捨てていた摘果した果実をシードル等の加工品にして新たな収益源が生まれ、経営改善にもつながっています。

〈参照元〉

農林水産省_スマート農業の実現に向けた取組と今後の展開方向について
(https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/hukyu/h_event/attach/pdf/smaforum-28.pdf)

岐阜県_岐阜県ホームページ
(https://www.pref.gifu.lg.jp/event-calendar/c_11411/smart-keikaku.html)

岐阜県_岐阜県スマート農業推進計画
(https://www.pref.gifu.lg.jp/sangyo/nogyo/smartnogyo/11411/smart-keikaku.data/smart-keikaku.pdf)

和歌山県_和歌山県ホームページ_スマート農業技術の開発・実証プロジェクト
(https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070100/070109/gaiyou/011/gaiyou/011/
sumanou/sumanou.html
)

和歌山県_和歌山県ホームページ_わかやまスマート農業フェアの開催について
(https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070100/070109/smart/31kaisai.html)

農林水産省_クラウド型農業支援アプリを活用したリンゴの生産管理
(https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/jirei/PDF/2019jirei_body_Part69.pdf)

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