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スマート農業について【自治体事例の教科書】

2020/07/14

スマート農業について【自治体事例の教科書】

日本の農業は高齢化が進むとともに、人手不足も深刻化しています。日本の農業を支えていくうえではAIやIoTなどの先端技術を使った省力化や自動化を推進することで、業務負担の軽減や効率化をしていくことが求められます。どのような整備をしていくのか、農林水産省が中心となって取り組むスマート農業について見ていきましょう。

【目次】
■日本の農業における現状の課題
■農業競争力強化プログラムについて
■農林水産省が打ち出すスマート農業について

日本の農業における現状の課題

平成27年、日本の農業就業人口は約210万人で平均年齢は66.4歳、65歳以上が5割以上を占めるなど高齢化が進んでいます。農業離れにより、後継者がいない耕作放棄地も増えてきました。

後継者がいる農家や新たに参入した農家においては、労働力不足が深刻で、外国人の技能実習生などが頼みの綱となっている状況も少なくありません。時代が進んでも農業の分野では、人による手作業が求められるケースや、熟練者でないとできない作業も多いです。

トラクターなど機械の導入が進んでも、熟練の操作技術がなければ、スムーズには進みません。機械を使った収穫ができる農作物もある一方で、デリケートな野菜や果物は手作業での収穫が必要なケースが多いものです。

一方で、経営耕地面積の集積状況について見ると、5ha以上層の経営耕地の集積割合は20年間で34%から58%へ増加しており、1経営体当たりの平均経営耕地面積が拡大傾向にあります。労働者不足を機械で補いながらの作業が続いていますが、業務負担の増大を抑え、農業者の減少や1人あたりの作業面積の限界を打破することが課題となっています。

農業競争力強化プログラムについて

平成30年の第196回国会にて農林水産大臣が所信表明を行いました。農林水産業の生産性を飛躍的に高めるためにはAIやICT、ドローン等の先端技術の活用が有効であること、そのために中長期的視点で基礎的・先導的な技術開発に取り組み、現場への実装を強力に推進していくための環境を整備するというものです。そのために農業競争力強化プログラムに取り組みます。

農林漁業者をはじめ、企業や大学、研究機関がチームを組んで、現場への実装までを視野に入れてICTやロボット技術等を活用した現場実証型の技術開発の推進や新たな市場を開拓する新規作物などの研究開発を行うプログラムです。研究成果は農業者がスマホやタブレットで簡単に情報を入手できる形で公開することが予定されています。AI等の最新技術を活用して熟練農業者のノウハウの見える化を行い、農業未経験者が短期間でノウハウを身につけられるシステムを構築することも期待されています。

農林水産省が打ち出すスマート農業について

スマート農業とは、データ共有によるバリューチェーン全体の最適化によって、現場をバックアップし、農作業の省力化や効率化を図り、生産性を向上させる取り組みです。

農業のあらゆる現場にICT機器を導入することで、栽培管理などをセンサーデータとビッグデータ解析によって最適化して、自動水やりや施肥、ハウス内の温度調整などを無人化、自動化することができ、業務負担の軽減と省人化に役立てることができます。熟練者の作業ノウハウをAIにより形式知化することで、より柔軟な作業をロボット技術等によって無人化・省力化も可能です。これにより、高齢の熟練者の技術を受け継がせることも期待できます。

農林水産業・地域の活力創造プランを掲げ、2025年までに農業の担い手のほぼすべてがデータを活用した農業を実践できるよう、農業新技術の現場実装推進プログラムが策定されます。農業用ドローンの利活用拡大に向け、ドローンで散布可能な農薬種類の拡大や農薬散布のための飛行許可・承認体制の見直し、ドローン利用時における補助者配置の義務などの条件の緩和などに取り組み、農業におけるドローンの普及を総合的に推進する計画も策定されました。現在の日本の農業の強みは次のとおりです。

気候や⼟壌などの地域特性に対応できる匠の技、全国各地の地域性を反映した多種多様でおいしい品⽬や品種の開発、有機栽培や特別栽培の推進など消費者ニーズに応じた安全安⼼な農産物などが日本農業の強みです。この強みにプラスして先端技術を導入することで、スマート農業が推進されます。

たとえば、ドローンの活用により、圃場(ほば)のセンシングデータをAI解析し、適正な施肥・防除ができます。また、ロボットトラクターを使えば、衛星測位情報による⾃動運転で作業時間を4割削減可能です。自動走行農機、自動水管理システム、自動草刈ロボット、トマト収穫ロボットなど幅広く自動化推進が図れます。アシストスーツを装着すれば、従来の半分の⼒で持ち上げ動作が可能となり、業務負担の軽減や女性の作業も可能となるでしょう。

センシングの技術を活用すれば、ドローンや衛星からの画像データをはじめ、各種センサーを通じて感知、収集した⽇射量や⼟壌⽔分などのセンシングデータを自動化に活かして、より高度な農業経営が可能です。たとえば、ドローンによる生育状況センシング、衛星による収穫適期マップ、牛群管理システム、灌水施肥自動化養液土耕システムなどが挙げられます。

センシング技術を活用した効果として、次のようなことが期待できます。ドローンに搭載した特殊カメラを使って、水稲の生育状況のセンシングが可能です。生育不良の部分だけピンポイントで施肥を行うようにできるので、生育のムラをなくして生産性を高め、施肥コストも削減できます。牛にセンサーを装着することで、リアルタイムで牛の活動量などの測定が可能です。AI解析により、発情や疾病兆候を検知してスマホなどの端末に通知でき、即時対応やトラブル予防につなげられ、安定経営が可能となります。日射量、土壌水分量、EC値、地温などの各種センサー情報をクラウドへ集約させ、灌水施肥量や液肥供給量などを分析し、ハウス内などに設置したロボット本体から自動で供給できるようにすることで土壌環境制御が可能です。省力化や効率化が実現し、労働者不足を補うとともに、農業者の負担軽減と生産性アップが期待できます。

先端技術を活用した形式知化にも期待が高まっています。近年、就農ブームが起こり、少しずつ新規就農者や若⼿農業者が増えてきました。マニュアル化が難しいとされている熟練農業者による経験や勘に基づく栽培ノウハウをAIなどを通じてデータ化、⾒える化し学習⽀援システムを実⽤化できれば、若手や新規参入組といった経験値や熟練度の低い農業者の技術習得とノウハウの継承につながります。

ノウハウを提供した熟練農業者には対価を与える仕組みを設定することで、Win-Winの関係が生まれます。各農家での後継者不足が問題となる中、農家や地域の枠組みを超え、農業者で知見やノウハウを共有できるようになることで、受け継がれてきた技術を途切れさせることなく伝承していくことができ、日本農業の継続的成長にも役立つのです。

スマート農業の効果として次のような効果が期待されます。ロボットトラクターやスマホで操作できる⽔⽥の⽔管理システムなどを活用することで、作業が⾃動化、省力化され生産規模の拡⼤が可能です。センシングデータ等の活⽤や解析を通じて農作物の⽣育や病害を正確に予測し、効率的で⾼度な農業経営を実現できます。ICT技術を通じて熟練農家の匠の技の農業技術を若⼿農家に継承させることも可能です。後継者不足による技術の継承切断を防ぐことにつながります。

〈参照元〉

農林水産業_スマート農業の展開について
(https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kihyo03/gityo/tenkai_smart_nougyo/smartagri.pdf)

農林水産業_スマート農業の展開について(資料3)
(https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/kikaku/bukai/65kikaku/pdf/siryo_3.pdf)

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