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森林整備事業について【自治体事例の教科書】

2020/07/29

森林整備事業について【自治体事例の教科書】

多様な役割を果たす健全な森林を造成し、循環利用を推進するために策定された森林整備事業。その背景や課題など森林整備事業のポイントを解説します。

【目次】
■背景となっていること
■解決するべき課題
■課題への対策のポイント
■事業内容

背景となっていること

国内の人工林が本格的な利用期を迎える中では、森林施業の集約化や路網整備を通じて低コスト化を図りつつ、計画的な森林整備を進めることが大切です。多様な森林に対応した整備を推し進めるべく実施されているのが森林整備事業です。

・「農林水産業・地域の活力創造プラン」について
関連する施策として、平成25年12月に取りまとめられた「農林水産業・地域の活力創造プラン」があります。これは、国内における農林水産業の現場を取り巻く状況の厳しさを打破し、若者たちが希望をもてる「強い農林水産業」、「美しく活力ある農山漁村」を創出するため検討された政策改革の全体構想です。

平成29年12月には、農業・林業・水産業におけるより一層の成長産業化に向けた改革についてが検討され、その結果を反映した改訂がなされました。このプランでは、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の両立を図るため次のような措置を講ずることが決められています。

そのひとつは、市町村が経営意欲を失っている森林所有者から経営・管理の委託を受け、意欲と能力をもつ林業経営者に再委託を行い、林業経営を集積・集約化すること。再委託できない森林や再委託に至るまでの森林については、新たな森林管理システムを構築し市町村が公的管理を実施します。

解決するべき課題

国内の森林の多くは、急峻な地形やぜい弱な地質の上に成り立っていること、梅雨や台風等のシーズンにおいては集中豪雨に見舞われやすい気象等の条件下にあることによって、各地でさまざまな被害が発生しています。

最近5年間では、1万箇所以上の山崩れ等が発生。強風による倒木や流木等によって建物、道路、鉄道、電線等への二次的被害も発生。それに起因する通行止めや停電が長期かつ広い範囲に生じるなど、地域住民への深刻な影響も顕在化しています。

森林整備事業では、このような風倒被害の対策として、道路等の近くに位置する森林において、道路や電線の管理者、鉄道会社等と適切に連携。復旧に向けた被害木の処理や多彩な樹種の植栽、危険木の除去を含む間伐等、予防的な取組を推進しています。

対策のポイント

背景や課題を見ていくと、ポイントは新たな森林管理システムが導入される地域を中心とした、間伐や路網整備、再造林等の推進であることがわかります。

これらの対策を講じることで、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の実現、国土強靱化や地球温暖化防止等に貢献することが期待されています。

事業内容

事業内容は「間伐や路網整備、再造林等」と「台風等の気象害を受けた被害森林や奥地水源林等の整備」のふたつに大きく分けられます。

・資源が充実しつつある人工林の整備
主伐期を迎えた日本の人工林資源がかつてないほど充実しており、「伐る」「使う」「植える」「育てる」といった循環利用を確立させながら、多様で健全な森林の整備・保全を行っていく必要があります。その実現のため、林業経営を低コスト化することで森林所有者等による適切な森林整備の推進します。

そのため、計画的な間伐等を行うための森林経営計画を作成し、同計画を作成した森林を対象に、路網整備、主伐後の再造林、間伐等を支援します。森林吸収量2.7%以上(平成17年度比)の確保に向け、平成25年度から令和2年度までの8年間において年平均52万haの間伐を実施することを、政策目標として設定します。再造林や間伐等の実施に合わせて、適切な鳥獣害防止対策も行われます。

森林資源が充実した区域等では、木材生産・流通の拡大や適切な森林管理を行うため路網ネットワークを形成します。森林作業道(林業機械等)、林業専用道(10t積トラック等)、林業生産基盤整備道(20t積トラック等)をバランスよく整備して、木材の大量運搬等に対応できる幹線となる路網の整備、簡易で丈夫な道づくりを推進します。

効率的に森林整備を進めるため、航空レーザ計測技術も活用します。これまで人の手によって行われていた標準地等によるサンプル調査ではなく、電子機器を用いた高精度な計測で全面積・全立木の調査を実施。土地の形状も同時に計測します。時点におけるデータを網羅的に収集することで、多岐にわたる用途に対応できるようになります。

・条件不利地や気象害等の被害森林の整備【特定森林産業事業】
条件不利地や気象害等の被害森林においては「特定森林産業事業」として、公的な関与による森林整備(セーフティネットの構築)が進められています。

自然条件(急傾斜地で高標高地など)等の理由により適切な整備を図ることが困難な森林において、地方公共団体が主体となって行う人工造林を支援。対象となる作業は、以下のとおりです。

(1)地ごしらえ、植栽等
(2)下刈り(10年生以下、コンテナ苗を植栽した林分は5年生以下)
(3)枝打ち(30年生以下)
(4)雪起こし(25年生以下)
(5)倒木起こし(25年生以下)
(6)除伐(25年生以下)
(7)付帯施設等整備※
 -鳥獣害防止施設等整備
 -林内作業場等整備
 -林床保全整備
 -荒廃竹林整備
(8)森林作業道整備※

※上記(1)〜(6)の作業と一体的な実施が必要

気象害等を受けた被害森林では、その復旧、重要インフラへの倒木被害を未然に防止するための森林整備支援が行われます。

たとえば、風害を受けた森林での、被害森林再生のための風倒木処理や植栽等です。被害木に起因した民家等への二次被害を防止するため、被害森林の間伐等とあわせて行う被害木の搬出等を都道府県や市町村等が支援します。

また、野生鳥獣の食害等により被害を受けた森林においては、都道府県や市町村等などによる鳥獣の誘引捕獲、侵入防止柵の設置支援(森林保全再生整備)も行われています。

以上のような支援を行うことで、国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、林産物の供給等、森林の有する多様な機能の維持・増進を目指しています。

【参考文献】

林野庁_森林整備事業
(https://www.rinya.maff.go.jp/j/seibi/sinrin_seibi/)

国土交通省_林野庁における取組
(https://www.mlit.go.jp/tetudo/content/001311084.pdf)

林野庁_森林事業のあらまし
(https://www.rinya.maff.go.jp/j/seibi/zourinkikaku/attach/pdf/shinrinseibi_aramashi-44.pdf)

林野庁_平成30年度森林整備事業の概要
(https://www.rinya.maff.go.jp/j/seibi/sinrin_seibi/attach/pdf/index-8.pdf)

林野庁_森林・林業の再生に向けた改革の姿
(https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/plan/pdf/kaikakunosugata.pdf)

林野庁_平成29年度 森林・林業白書(平成30年6月1日公表) 第Ⅰ章 新たな森林管理システムの構築
(https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/29hakusyo_h/summary/s01.html)

林野庁_航空レーザ計測による効率的な森林資源の把握
(https://www.rinya.maff.go.jp/hokkaido/square/topics/2013/pdf/130623_happyou1.pdf)

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