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生活習慣病予防プログラムについて・実施事例【自治体事例の教科書】

2020/07/22

生活習慣病予防プログラムについて・実施事例【自治体事例の教科書】

生活習慣病予防に関連したさまざまな取り組みが、国レベル・地域レベルで行われています。国をはじめ、ほとんどの地域では、生活習慣病の克服は積極的に取り組むべき課題として位置づけられています。これまで生活習慣病予防として、特定健康診査や特定保健指導が行われてきましたが、その内容は多様化しています。たとえば厚生労働省では、宿泊型新保健指導(スマート・ライフ・ステイ)を実施、生活習慣病の予防を強化しています。多くの地方自治体でも、課題を解消するために独自に取り組みを進めていますが、ここでは具体的な生活習慣病予防プログラムについて、実施事例を交えながら解説します。

【目次】
■生活習慣病予防プログラムについて(厚生労働省の取り組み)
■事例1:生活習慣病予防プログラムを活用して医療費削減を目指す取り組み(神奈川県相模原市)
■事例2:レセプトデータを利用した健康管理システムを構築(広島県呉市)
■事例3:課題を絞り込んだ具体的な取り組みを展開(北海道帯広市)

生活習慣病予防プログラムについて(厚生労働省の取り組み)

宿泊型新保健指導(スマート・ライフ・ステイ)は、厚生労働省が実施している、糖尿病が疑われる人を対象にした保健指導プログラムです。このプログラムの特徴は、地域の持つ観光資源や宿泊施設を利用して行われるという点にあります。

たとえば地元の旅館に宿泊し、その地域で採れた食材などを使って食事指導を実施、緑豊かな観光スポットでウォーキングをするといった内容です。参加者は、環境のよいところで快適な健康づくりを実施できますし、地元の観光産業の貢献にもつながります。

保健指導プログラムの作成・実施には、医師をはじめ保健師、理学療法士、管理栄養士、健康運動指導士など、多職種の人たちが関わっています。さまざまな分野の専門家が連携することで、多角的な面からの保健指導が可能になり、より効果的な生活習慣病予防が期待できます。

厚生労働省は平成27年に、「宿泊型新保健指導試行事業」を実施、公募には多くの自治体や企業が名乗りを上げました。その中の1つ、新潟県妙高市では、妙高市健康保険課が主体となって「妙高高原健康ツアー」を実施しました。この健康ツアーは、宿泊プログラムと6ヶ月間の保健指導支援を組み合わせたもので、保健師や管理栄養士、在宅管理栄養士らも運営に参加しています。

1泊2日の宿泊プログラムでは、妙高戸隠連山国立公園内のウォーキングをはじめ天然温泉プールを利用した水中運動、さらに地元の食材を使った食事など、地元の観光資源を活用した食事指導と運動指導が行われました。その後6ヶ月間にわたり専門家によるフォローアップ(個別相談や身体測定など)が実施され、効果の評価で終了です。

スマート・ライフ・ステイ終了後、参加者の体重は平均で5kg減少し、腹囲は平均して4.7cm減少したことがわかりました。数字を見ると、プログラムの効果は明らかですが、ツアーに満足した参加者は多く、観光地に宿泊して行われた保健指導に、充実感も得られたようです。

事例1:生活習慣病予防プログラムを活用して医療費削減を目指す取り組み(神奈川県相模原市)

神奈川県の国民健康保険加入者一人あたりの医療費を見ると、腎不全・糖尿病・高血圧性疾患が上位を占めていることがわかります。これらの病気はすべて生活習慣病に分類されるもので、県では生活習慣病対策事業を推進、市町村レベルでさまざまな取り組みが行われています。

相模原市が実施している保健事業には、特定健康診査や特定保健指導、人間ドック等助成事業など、基本的な生活習慣病予防プログラムのほか、「糖尿病性腎症重症化予防事業」といった、特定の分野に特化したものもあります。糖尿病性腎症重症化予防事業は、特定健康診査で糖尿病性腎症の疑いがある人に対し、医療機関の受診を推奨したり、保健指導を実施したりすることを支援、腎不全や人工透析に移行しないよう防ぐことを目指しています。

糖尿病性腎症重症化予防事業が対象とするのは、腎機能を評価するeGFR(ml/min/1.73㎡)が、30以上60未満であると同時に、空腹時血糖が126mg/dl以上またはHbA1cが6.5%以上、さらに糖尿病関連のレセプト(医療報酬の明細書)が過去5年間ない人です。糖尿病性腎症の疑いがある人をできるだけ多く見つけるには、市民が特定健康診査を受ける必要があります。

相模原市の特定健康診査の受診率は26.3%(平成28年)で、40~50代の受診が低くなっています。この課題を解消するため、相模原市では週末に検査を受けられるよう休日会場健診を実施、受診者は749人で、そのうち約7割が40~50代でした。

受診率を上げるため、市ははがきや電話を利用して特定健康診査の受診推奨を試み、その結果4,200人が受診しています。糖尿病性腎症重症化予防事業の推進にはいくつか課題が残されていますが、被保険者に対する受診推奨方法を工夫したり、特定健康診査項目を充実させたりするなど、改善が期待できる要素はたくさんあります。

事例2:レセプトデータを利用した健康管理システムを構築(広島県呉市)

呉市は生活習慣病を予防するため、さまざまな保健事業を推進しています。これらの保健事業を効率よく実施するため、呉市はレセプトデータを分析して市内の生活習慣病状況を把握、問題を解消するための事業を立ち上げる、健康管理増進システムを持っています。

糖尿病は、呉市で最も疾病数が多く、医療費の負担が大きい生活習慣病です。糖尿病は症状が進むとインスリン治療に移行しますし、糖尿病性腎症に進行した場合、人工透析が必要になります。人工透析が必要になると、治療費は年間数百万円にもなりますので、糖尿病患者を増やさない、人工透析に移行するのを防ぐということは、呉市にとって優先課題です。

課題を克服するため、市は「糖尿病性腎症等重症化予防事業」を立ち上げました。そして糖尿病性腎症ステージを第1~5期に分け、各ステージに合わせた6ヶ月間の予防プログラム(「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」や「糖尿病重症化等予防プログラム」など)を設定しました。

予防プログラムでは、レセプトデータや特定健康検査から対象者を特定、参加に同意した人に対し、看護師による個別支援(面接指導・電話指導など)が実施されます。呉市は地域総合チーム医療が発達していて、主治医をはじめ歯科医や薬剤師など、多職種の専門家との間にネットワークを構築しています。このシステムにより予防プログラムにおいて、総合的な保健指導が実現しました。

呉市の取り組みは、結果にも反映されています。平成28年のHbA1cは、平成26年と比べて改善されているほか、糖尿病から透析に移行した人数も112人から102人と減少しました。

事例3:課題を絞り込んだ具体的な取り組みを展開(北海道帯広市)

生活習慣病予防は分野が広く、問題を解決しようとすると、さまざまな事業が必要になります。どこから手をつけてよいか迷う場合は、帯広市の取り組みが参考になるでしょう。

帯広市では、克服する課題について糖尿病患者の増加と、未受診者の健康状態の把握の2つに絞り込み、糖尿病対策と受診率向上対策を、保健事業の柱としました。未受診者の健康状態を把握するという風に、目的がはっきりしていますので、必要な保健事業も「未受診者推奨」「特定健診」など明確に設定しやすくなります。2つの対策から枝分かれした保健事業は、実施の見直しや評価もしやすく、実施から改善点の発見までスムーズに進みます。

〈参照元〉

新潟県妙高市_妙高高原健康ツアー
(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/siryou2-2.pdf)

神奈川県相模原市_相模原市国民健康保険データヘルス計画(第2期)・特定健康診査等実施計画(第3期)(平成30年度~平成35年度)
(http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/
013/920/keikaku_h30.pdf
)

広島県呉市_呉市国民健康保険保健事業の取り組み
(https://www.soumu.go.jp/main_content/000518778.pdf)

広島県呉市_呉市国民健康保険第2期データヘルス計画・第3期特定健康診査等実施計画
(https://www.city.kure.lg.jp/uploaded/life/42929_73457_misc.pdf)

北海道帯広市_帯広市国民健康保険保健事業実施計画
(https://www.city.obihiro.hokkaido.jp/shiminkankyoubu/kokuhoka/
d120202uneikyugikai.data/datahealth.pdf
)

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