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災害福祉支援ネットワークにおける自治体の課題と取組【自治体事例の教科書】

2019/7/31

災害福祉支援ネットワークにおける自治体の課題と取組【自治体事例の教科書】

大規模災害発生時に被災地を広域連携で共助する支援体制づくりが多くの自治体で推進されています。課題のひとつとなっているのが、専門チームの派遣が必要な災害福祉支援ネットワークの取り組み。事例などを通じて、災害福祉支援ネットワークのあり方のポイントを探りました。
 
【目次】
■災害福祉支援ネットワークが必要とされる理由とは
■事例①【個別支援だけではない多様な活動】岩手県
■事例②【派遣期間終了後も見据えた支援】京都府
■事例③【首都直下地震を想定】東京都

災害福祉支援ネットワークが必要なとされる理由とは

「災害福祉支援」とは、災害時に要配慮者を福祉的な側面から支援することです。専門知識が必要な災害福祉支援を実施できる「災害派遣福祉チーム(DWAT)」を災害にあった他の自治体などに広域で派遣しあう仕組みのことを「災害福祉支援ネットワーク」と呼びます。

被災地では福祉支援システムも打撃を受けており、高齢者や障害者、子どもなどの福祉的なサポートが必要な被災者に適切な支援が行えないケースがありえます。その結果、災害発生後に適切な福祉支援が提供されなかったことを原因として、生活機能の低下や要介護度の重度化などの二次被害が生じるケースが珍しくありません。

たとえば、東日本大震災では地震や津波などの直接的な被害は免れたものの、十分な福祉支援の提供が困難だったことなどから、避難中や避難先で体調を崩すなどして亡くなった方が3,000名を超えたとされています。

こうした二次被害の拡大を防止するため、都道府県や市町村は福祉施設や福祉専門職の協力を得ながら、広域連携で災害時福祉ニーズに対応する支援ネットワークの構築が必要となっています。

次に、災害福祉支援ネットワークについて先導的なの取り組みなどを行っている事例を紹介します。

事例①【個別支援だけではない多様な活動】岩手県

岩手県の災害福祉広域支援推進機構(以下、支援機構)は、3年以上の実務経験者で県研修を修了した福祉・介護の専門職員による災害派遣福祉チームを組成しています。1チームあたりの人数は4~6名で、平成28年12月現在で234名、80施設が登録しています。

支援機構が初めて福祉支援活動を行ったのは、平成28年の熊本地震。9割以上の住宅が損傷するなど大きな地震被害が発生した益城町(熊本県)に5チーム・延べ24名を派遣しました。

支援機構が実施したおもな福祉支援活動は、約200名が避難した同町交流情報センターで福祉ニーズの調査、要支援者の生活環境整備、入浴支援などの個別支援、避難所内の環境改善など。福祉相談コーナーの設置やアセスメント票の共通化など、避難所での要配慮者支援の充実強化や支援体制の土台構築にも貢献しました。活動期間は同年4月28日から5月18日までの21日間でした。

熊本地震での活動を振り返って、災害時福祉支援のあり方について「発災直後に被災自治体において福祉・介護等の支援ニーズを把握し、チーム派遣の必要性を迅速に判断することは困難であることから、チームを制度化し、全国レベルで派遣調整を行うシステムの構築が必要」と支援機構では指摘しています。

この教訓から同じ年の9月に起きた台風10号被害発生で岩泉町(岩手県)を支援した際には、被災市町村の要請を待たずに先遣調査チームを派遣するなどの活動を実施しました。

事例②【派遣期間終了後も見据えた支援】京都府

京都府の災害時要配慮者避難支援センター(以下、避難支援センター)は、福祉関係団体から選出された社会福祉士・介護福祉士・ケアマネジャーなどの福祉専門職で構成される災害派遣福祉チームを組成しています。1チームあたりの人数は5名程度で、平成28年12月現在で約100名、90施設が登録しています。

避難支援センターが初めて福祉支援活動を行ったのも平成28年の熊本地震で、3チーム・17名を同年5月13日から31日までの19日間、益城町の避難所となった交流情報センターに派遣。前述した岩手県の福祉支援チームの活動を引き継ぐ形で、福祉相談コーナーの運営やさまざまな個別支援などを実施したほか、、避難所の支援に関わる関係機関や団体と幅広く連携を図り、派遣期間終了後も支援が継続される体制を構築しました。

避難支援センターでは熊本地震での活動を通じて得られた教訓として、迅速な派遣に向けた連絡体制の構築やチームの活動強化だけでなく、受援体制の構築も含めた平時の地域づくりの取り組みも大切だと指摘しています。

事例③【首都直下地震を想定】東京都

東京都は都内の福祉専門職の職能団体、区市町村行政、都および区市町村社会福祉協議会を構成員とする東京都災害福祉広域支援ネットワーク(以下、広域支援ネットワーク)を組織しています。

広域支援ネットワークは、東京都内で大規模地震などの災害が発生した際に福祉施設や福祉避難所等へ福祉専門職の応援派遣を行い、被災者支援を実施することを目的に平成29年につくられました。平時から連携訓練等を通じて仕組みの理解や各団体における発災時対応の課題整理などを実施しています。関係機関・団体などが連携しながらそれぞれの区市町村における要配慮者支援の取り組みを補完して、災害対策の強化を図ることを目指しています。

また、被災地域が限定的だった場合も地域内の災害対策や相互応援だけでは支援が行き届かないことが懸念される際は応援派遣を実施するほか、被災地域が広範囲におよび支援の漏れが懸念される場合には被災地や応援派遣団体と必要な調整やマッチングも行います。

平成30年12月には37団体が参加して、広域支援ネットワークによる連携訓練を開催。地震の発災を想定し、各団体が福祉専門職の応援派遣を実施したり、受け入れる場合において、どのような役割や課題があるかについて論点整理などをしました。


<参照元>
厚生労働省「先駆的な取組を行っている自治体の災害福祉支援ネットワークの概要等について」
岩手県ホームページ
京都府ホームページ
東京都社会福祉協議会ホームページ    等

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