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RPAを活用した取り組みについて・実施事例【自治体事例の教科書】

2020/06/19

RPAを活用した取り組みについて・実施事例【自治体事例の教科書】

RPA(Robotic Process Automation)は、ロボットを使った業務の自動化を目指す取り組みです。少子化による行政を担う職員の人材不足や多様化、複雑化する業務をスピーディーに処理することが求められる時代に、職員の業務軽減やスピードアップを通じて、住民や企業などの地域住民の利便性アップにつながることが期待されます。職員の業務負担が軽減されることで、人にしかできない柔軟性やきめ細やかなサポートが求められる業務に注力できることもメリットです。先進的に取り組んでいるRPAを活用した取り組みと実施事例についてご紹介します。

【目次】
■茨城県つくば市:RPAによる業務プロセスの自動化
■愛知県一宮市:OCR-RPAによるシステム入力業務の省力化
■熊本県宇城市:RPAよる自治体業務の省力化
■新潟県長岡市:自治体業務へのRPA導入スキームの構築

茨城県つくば市:RPAによる業務プロセスの自動化

茨城県つくば市は実証段階を経て、すでに本格導入をしている先進的な自治体です。取り組みの概要としては、まず、職員へのアンケートなどを通じて、定型的かつ膨大な作業量が発生する業務の抽出を行いました。業務量・難易度・RPAの導入効果・汎用性の高さを踏まえて、その中から選定されたのが市民窓口課・市民税課業務です。RPAを活用した定型的で膨大な業務プロセスの自動化を目指し、官民連携による共同研究を実施しました。

導入前の課題として、定型的で膨大な作業量を伴う基幹的業務が数多くある一方で、時期による業務量の変動が大きい上、劇的な効率化が難しいのが悩みでした。人的リソースが割かれる業務であり、従来の業務時間を調査したところ、入力・登録、確認・照合等の年間処理時間として市民窓口課9,024時間、介護保険課6,550時間、消防指令課4,000時間、国民健康保険課2,411時間がかけられていました。

つくば市は研究学園都市として人気が高い上、つくばエクスプレスの開通で東京とのアクセスが飛躍的に向上したため、今後も人口増加が見込まれています。そのため、今後も増え続ける業務負担をいかに軽減するかが課題となっていたのです。

取り組み例のひとつとして、市民窓口課での異動届出受理通知業務が挙げられます。住民からの届出に基づき住所変更の手続きを行う際に本人確認書類が不足していた場合には、従来は本人の意思に相違がないかを確認するため、変更前の住所地に受理通知を郵送する業務を行っていました。受理通知の発送件数は年間約1,700件にのぼり、住民異動が集中する3月中旬から4月中旬の繁忙期には大量の処理が発生して、職員が業務に追われているのが現状でした。

職員が受付・発送簿作成・決裁・発送を行うことで、年間約85時間を要していた発送簿作成のRPA化を図ったところ、職員の作業時間は約14時間となり、約83%の削減成果が出たのです。RPA化による総合的な成果として、まず、RPA化により入力ミスが減少しました。単純作業をRPA化することで、職員は住民サービスに集中できるようになりました。

職員へのアンケート調査によれば、業務時間の削減よりも、操作ミスの削減や、作業時間中に手を取られない点への評価が高く、時間の有効活用ができるようになった点を大きなメリットと感じています。この研究結果を踏まえ、平成31年1月現在では新たに5課に本格導入を図りました。

愛知県一宮市:OCR-RPAによるシステム入力業務の省力化

個人住民税の「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」のシステム入力業務をOCRとRPAを組み合わせることで、ロボットによる自動入力を実現し、業務の省力化を図ることを目指す取り組みです。

導入前の課題としては、給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書はeLTAX(地方税ポータルシステム)での提出が、わずか5%程度と極少数にとどまり、印刷後に郵送された届出書と併せて住民税システムに入力しなければなりませんでした。従業員の退職や転勤による届出が増加する3月~5月においては、住民税賦課業務の繁忙期とも重なることから、職員の業務が多忙となり、大きな負担が生じていたのが現状です。

取り組みとして、届出書のデータ化とRPAによる自動入力の実証実験を実施することにしました。紙の届出書をOCR装置でスキャンし、OCRソフトでイメージからデータ化した上で、ロボットが住民税システムへ入力するという流れです。ただし、レイアウトが異なる帳票や手書き帳票など事業所の独自様式の書類などで、データ化が困難であった書類のみ職員が入力することとなりました。

成果として、年間1万8,000件提出される届出書の入力に従来592時間かけられていたのが、OCRとRPAの利用により398時間に短縮されました。つまり、年間194時間の職員負担が軽減できることがわかったのです。

帳票レイアウトの工夫や帳票定義追加といった改善を施すことで、OCRの読み取りの精度を高められれば、年間438時間の負担軽減ができると見込んでいます。2019年2月から本格導入をスタートし、ロボットによる自動入力で省力化を実現しています。

熊本県宇城市:RPAよる自治体業務の省力化

平成29年度に「ふるさと納税」と「時間外申請(時間外勤務手当計算)」の業務についてRPAによる自動化の実証に取り組み、平成30年度は本格導入を図ることでRPAによる自動化範囲を拡大する取り組みを実施しています。

宇城市が抱えていた従来の課題とは次の通りです。

職員給与や会計においては、担当課が作成したエクセルデータをシステムに入力する二度手間がかかっていました。ふるさと納税では、ネットワーク強靭化によるデータ処理で作業時間が増加していました。また、後期高齢および水道に関する業務では、システムから必要な情報を取得し、人手でエクセルデータを作成している状況です。

そこで、職員給与、ふるさと納税、住民異動、会計、後期高齢、水道の6分野において作業の自動化に取り組み、職員の作業負担の軽減を目指します。システムへの入力とシステムから出力してのデータ作成を自動化するのが基本ですが、住民異動については職員を補助・支援するRPAの構築による業務の自動化です。

見込まれる成果として、年間約1,700時間の削減効果が期待されています。削減された時間を、人によるきめ細やかな対応が必要な業務時間に充てることで、住民サービスの向上を図ることが狙いです。また、入力ミスや手戻りを防げるようになり、業務改善にもつながります。

新潟県長岡市:自治体業務へのRPA導入スキームの構築

RPAを活用する試験導入を9課で行いました。2ヶ月のシナリオ作成期間を経て、6課25業務で年間計2,028時間もの業務時間の削減効果が得られました。職員自らシナリオ作成ができるようになり、さらには自発的なRPA化への取り組みが積極的に行われ、現場に即した業務改善につながる好循環が生まれたものです。

導入前に抱えていた課題は次の通りです。

RPAが業務改革に有効だとの認識はあるものの、どの業務に導入できるのか、どうやって導入するのか、費用対効果は見込めるかと悩み、導入に踏み切れずにいました。そこで、システム構築に比べ安価な汎用ソフトを活用すること、職員がシナリオを作成できること、これまでシステム化できなかったような小規模業務への導入などを模索できないかの観点から、取り組みをスタートしました。試験導入をする課は中規模な業務で、PC操作になじんでいる若手職員が在籍する課を選定しています。

試験導入においては業務に携わる職員がシナリオを作成することを基本に、情報システム部門の職員とシステムエンジニアが適宜補助する体制を構築し、現場目線を重視し、現場に即したRPA化を目指す取り組みです。各課でRPA化できそうな業務を見つけてもらい、自発的なシナリオ作りを促しました。

成果として6課25業務で年間計2,028時間もの業務時間が削減でき、時間外勤務の減少や事務の正確性の担保も図れることがわかりました。適切な技術支援があれば、職員が直接シナリオを作ることができ、職員が自らRPAに合わせた業務フローの見直しを行える成果が出たのもメリットです。部分的な導入でも大きな効果を見込めるアイデアが自発的に出されるなど、現場に即した業務改善が実現できたのです。

〈参照元〉

総務省_地方自治体におけるAI・ロボティクスの活用事例
(https://www.soumu.go.jp/main_content/000595981.pdf)

総務省_地方自治体における新たな技術の活用状況について
(https://www.soumu.go.jp/main_content/000601804.pdf)

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