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ロボット技術の介護利用における重点分野について【自治体事例の教科書】

2020/07/14

ロボット技術の介護利用における重点分野について【自治体事例の教科書】

少子高齢化に伴い、介護のニーズが増大している反面、介護を担う人材不足が問題となっています。人材不足に加え、介護の業務は身体への負担も大きく、仕事を続けたくても続けられなくなるケースも少なくありません。さらに少子高齢化の深刻化が懸念される中、人材不足を補い、業務負担の軽減を図り、介護サービスの品質向上を図るため、介護現場でのロボット技術の活用に向けた開発が推進されています。

【目次】
■ロボット技術の介護利用における重点分野の策定と現場ニーズに即した改定
■重点分野の特定に向けた基本方針
■具体的な選定基準について
■今後開発を目指すべき重点分野について
■具体的な支援や開発推進の取り組みについて

ロボット技術の介護利用における重点分野の策定と現場ニーズに即した改定

厚生労働省と経済産業省が連携し、高齢者の自立支援を行うことで生活の質の維持や向上を図るとともに、介護者の負担軽減を両立させるべく、「ロボット技術の介護利用における重点分野」を平成24年11月に策定し、平成26年2月に一度改訂を行っています。

策定方針に基づき、平成28年度には介護現場と開発企業が、介護現場のニーズを反映したロボット介護機器開発について協議するニーズ・シーズ連携協調協議会を設置しました。そのうえで、コミュニケーションロボットの活用の大規模実証試験を実施したところ、新たに開発・実用化を重点的に進めるべきロボット介護機器が実証現場のニーズから明らかになったのです。そこで、「ロボット技術の介護利用における重点分野」を平成29年10月に再び改定するに至りました。

重点分野の特定に向けた基本方針

多様なニーズやアイディアがある中で、とくに開発を優先的に進めるべき重点分野を選定するにあたっては、次の目標を満たすことが求められます。それはロボット介護機器の開発によって、高齢者の自立を支援することで生活の質の維持や向上を図ること。そして、介護者の負担軽減の双方を実現することです。技術の開発だけに焦点を当てるのではなく、現場のニーズを真にくみ取り、高齢者にとっても、介護者にとっても、実際に利用したいと感じられるロボット介護機器でなくてはなりません。

これにより、介護業務の生産性と効率性の向上を図るとともに、作業負担の軽減を通じて職場環境の改善を図ります。魅力ある職場づくりにつなげることで、介護の現場に人材が確保できるようにすることも狙いの1つです。

具体的な選定基準について

ロボット技術の介護利用における重点分野の選定にあたっては、次の基準を満たさなくてはなりません。

第一に、高齢者等の自立支援と介護者の負担軽減を実現するものでなければなりません。

第二に、ニーズ・シーズ連携協調協議会での会合などにおいて介護現場のニーズや関心の高い分野であると、現場と開発企業での共通認識に至ったものであることが必要です。

第三に、ロボット技術の利用が合理的な分野であることが必要です。なお、あくまでも介護現場で利用する介護機器であることが必要で、医療機器としての開発が適当な機器は選定対象にはなりません。

今後開発を目指すべき重点分野について

平成29年10月に改訂されたロボット技術の介護利用における重点分野は以下の6分野13項目に及びます。

第一に移乗介助の分野です。ロボット技術を用いて介助者のパワーアシストを行う装着型の機器や、介助者による抱え上げ動作のパワーアシストを行う非装着型の機器の開発が推進されます。介護に携わる人は腰痛を抱えていたり、常に腰にコルセットを装着したりしてケガ予防を図りながら仕事をしています。こうした負担を軽減するとともに、体力の低い方などでも安心して介護ができるよう支援する機器です。

第二に移動支援の分野です。高齢者等の外出をサポートしたり、荷物などを安全に運搬できる歩行支援機器、高齢者の屋内移動や立ち座りをサポートしたりするとともに、トイレへの往復やトイレ内での姿勢保持を支援する歩行支援機器、高齢者の外出をサポートし、転倒予防や歩行を補助する装着型の移動支援機器をロボット技術を用いて開発していきます。

介護施設の事故で多いのが、高齢者の歩行中における転倒事故です。転倒を原因に寝たきりになるケースや、命を落とすケースも少なくありません。一方、頻繁にニーズがあるトイレへの移動や排泄介助は人手不足の現場において、大きな負担となっています。歩行時の安全をサポートするとともに、トイレの円滑な利用をサポートできる機器です。

第三に排泄支援の分野です。ロボット技術を用いることで設置位置が調整可能となるトイレを開発し、排泄物の処理を効率化、負担軽減を図ります。また、ロボット技術を用いて排泄を予測し、的確なタイミングでトイレへ誘導する機器の開発をはじめ、トイレ内での下衣の着脱といった排泄の一連の動作を支援する機器の開発にも取り組みます。1日に何度となく行われ、夜間など人手が不足している際もスムーズな排泄支援ができるようになることが期待できる機器です。

第四は見守り・コミュニケーションの分野です。介護施設におけるセンサーや外部通信機能を備えた機器のプラットフォームの構築をはじめ、在宅介護で利用できる転倒検知センサーや外部通信機能を備えた機器のプラットフォームの構築を目指します。高齢者とのコミュニケーションにロボット技術を用いた生活支援機器を開発し、人材不足の補完を果たすことを目指します。

第五は入浴支援の分野です。ロボット技術を通じて、浴槽に出入りする際の一連の動作を支援する機器の開発が推進されます。トイレと並び、介護者の負担や時間を費やす業務である入浴について、サポートする機器の開発が目指されます。

第六は介護業務支援の分野です。ロボット技術を活用して、見守りや移動支援、排泄支援をはじめとする介護業務に伴う情報を収集・蓄積し、高齢者の必要な支援に役立つ機器の開発を目指します。

具体的な支援や開発推進の取り組みについて

経済産業省では国立研究開発法人日本医療研究開発機構が実施するロボット介護機器開発・導入促進事業への開発支援を行い、事業の公募をスタートさせました。

厚生労働省では開発中の試作器について介護現場での実証実験を行い、成果の普及啓発を通じて実用化を促す環境を整備していきます。また、ロボット介護機器を活用した介護技術の開発を支援に取り組みます。開発を目指すべき重点分野は限定的かつ固定化されるものではありません。

ニーズ・シーズ連携協調協議会をはじめ、介護現場のニーズを幅広く把握し、引き続き調査・検討を行い、必要に応じて重点への位置づけへと格上げを図ります。また、経済産業省と厚生労働省が協同して、ロボット介護機器の開発と普及の好循環を創出していかなくてはなりません。

介護現場のニーズを真にくみ取って開発へとつなげることができるよう、ロボット介護機器の開発プロジェクトを牽引するプロジェクトコーディネーターを育成・配置することを目指しています。そのうえで、安全面に配慮したロボット介護機器の開発を進めるとともに、ロボット介護機器の効果を評価すべく、介護現場での実証を促進していきます。

実証実験を通じて効果を評価し、PDCAサイクルを通じて、より現場に即したロボット介護機器の開発、実用化を目指さなくてはなりません。また、実証効果を踏まえ、利用者の生活品質維持や向上と介護者の負担軽減の両方に資するロボット介護機器については、介護報酬改定において介護報酬や人員・設備基準の見直しといった制度上の対応も実施される予定です。

〈参照元〉

厚生労働省_ロボット技術の介護利用における重点分野
(https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12304250-Roukenkyoku-Koureishashienka/0000180157.pdf)

経済産業省_経済産業省ホームページ
(https://www.meti.go.jp/press/2017/10/20171012001/20171012001.html)

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