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遠隔診療について・実施事例【自治体事例の教科書】

遠隔診療について・実施事例【自治体事例の教科書】

遠隔診療が日本でも導入されつつあります。遠隔診療が必要とされる地域で実際に遠隔診療を実施実験している事例、遠隔診療には当たらないものの医師への相談ができるサービスなどをご紹介します。

【目次】
■愛知県豊根村
■千葉県千葉市
■福岡県福岡市
■鹿児島県錦江町

愛知県豊根村

愛知県にある豊根村は、2015年時点で2060年になったときに人口が430人ほどになると予測されています。現在、村営の診療所は2箇所で、休日や時間外の診療・救急医療については村外の施設に頼っている状況です。村としての文化を守るためには、2060年でも人口900人を維持する必要があると考え、「小さく持続するむら戦略」を立てました。特に重要なのは「出生率を向上させるための対策」と「豊根村からの転出を抑える」ことです。そこで、「転入を促進する対策」を立てました。その基本的な目標は、大きく分けると4点あります。

・茶臼山観光ブランド化
・田舎志向を引き込む
・現役世代しっかり応援
・つながる山暮らし

この中で遠隔診療が必要と考えられている目標は、「現役世代しっかり応援」と「つながる山暮らし」です。「現役世代しっかり応援」は、若者を含む現役世代が安心して出産し子育てできる支援を進めていくものです。生活の支援・教育の質を確保することが重要で、高齢になっても現役で過ごせるように医療福祉対策と生きがい対策を充実させる環境を整えなければいけません。そのために遠隔医療システムの活用・広域医療情報ネットワークの活用が、今後必要な対策として挙げられています。「つながる山暮らし」では、生活に必要な医療や情報通信などの生活基盤を充実させていくという目標です。道路の整備から医療や情報通信を、村の外ともしっかり連携して進めることを目標としています。

遠隔診療なども含め「小さく持続するむら戦略」では、財政を確保しなければいけません。そのために豊根村の財政を増やす、国や愛知県と連携していくことが課題です。

千葉県千葉市

2019年12月に、都市部としては全国で初めて千葉市にてオンライン服薬指導が実施されました。その後も、2020年1月と2020年3月にも実施されています。オンライン服薬指導を受けるまでの流れは下記のとおりです。

・事前準備
まずオンライン服薬指導を受ける前に、患者が自ら受けたいと申し出が必要です。申し出をもとに薬剤師と具体的に緊急時の対応や利用するテレビ電話、どんなときにオンライン服薬を中止するかなど話し合います。話し合った内容を、薬剤師が「服薬指導計画書」にまとめます。オンライン服薬は、この計画書に基づき進められます。

・オンライン診療の実施
準備ができたら、担当医師がいる医療機関のパソコンなどと患者のスマートフォンなどでつなぎ、テレビ電話にてオンライン診療を実施します。

・処方箋の発行
オンライン診療によって発行された処方箋は、医療機関から直接患者が希望した薬局へ送付されます。

・オンライン服薬指導
処方箋を送付された薬局にて調剤し、次は薬局のパソコンなどと患者さんのスマートフォンをつなぎます。オンライン服薬指導を行われたら、薬局が患者に対して薬を送付し完了です。

千葉市内で薬局がオンライン服薬指導を行うためには、事前に千葉市への登録が必要です。また利用する患者さんの相談窓口が千葉市の保健福祉局にて設置されており、薬局以外でも相談できる環境があります。

さらにオンライン服薬制度を利用するためには、下記のような条件に当てはまらなければいけません。
・患者もしくは薬局の事情により、対面での服薬指導が難しい
・かかりつけ薬剤師またはかかりつけ薬局である

福岡県福岡市

日本で初めてオンライン診療の実証実験を行ったのは、福岡市です。医療施設や患者だけではなく、オンライン診療を実施する通信に必要な設備の用意など、複数の会社が協力しています。

協力会社は下記のとおりです。
・株式会社ジュピターテレコム(J:COM):テレビ画面のオンライン診療アプリ開発を行いました。
・株式会社インテグリティ・ヘルスケア:疾患管理システム「YaDoc」の開発行い医療機関への提供およびシステム連携を担当しました。
・株式会社MICIN:オンライン診療システム「curon」を開発し、医療機関への提供およびシステム連携を担当しています。
・医療法人貝塚病院:オンライン診療を実施する医療施設を担当しています。
・ココカラファイン薬局奈多店:医療施設から処方箋を受け、患者さんに対し服薬指導と処方薬の配送を行います。

実施されたのは2019年9月から10月までの2カ月間で、実験の協力対象患者は60歳以上の慢性疾患にて訪問診療を受けている方です。事前準備としてテレビ画面のオンライン診療アプリと疾患管理システム「YaDoc」、オンライン診療システム「curon」の3つを連携させています。

実証実験方法の流れは下記です。
1.患者が自宅のテレビ画面に設置されているオンライン診療アプリを利用し、医療機関の予約
2.予約された時間に、テレビ画面に設置されているオンライン診療アプリとオンライン診療システムをつなぐ
3.オンライン診療を実施
4.医療機関が薬局で処方箋を提出
5.薬局がオンライン服薬指導と処方薬の配送を実施

鹿児島県錦江町

鹿児島県錦江町では、2018年6月1日から小児科オンラインを試験的に導入しています。スマートフォンアプリのLINEを利用し、小さい子どもを持つ親が小児科に対して相談をするサービスです。実際にオンライン診療を実施するのではなく小児科への相談をする範囲にとどめており、医療行為には該当しません。病院に連れて行くべきかどうかを確認する、子育てで抱える不安などを相談する際に活用され、無料で利用可能です。

利用するには、事前に専用サイトで会員登録をしておきます。利用する際には専用サイトで相談をする手続きを進めて時間と日時を予約し、予約した時間になったら相談ができるという流れです。

専用サイトに会員登録できるのは下記です。
・錦江町在住である
・0歳から中学校3年生までの子どもを育児中
条件に当てはまる人は合言葉が記載されたチラシを受け取ることができ、そのチラシと名前を入力することで専用サイトに登録できます。

LINEが利用できるスマートフォンやタブレットを用いて、LINEの機能として下記を活用します。
・メッセージチャット
・音声通話
・ビデオ通話

場所は自宅をはじめ、通信ができればどこでも問題ありません。参考として、下記のような質問ができます。
・日中は元気だったが夜になって熱や鼻水が出たが救急外来に行くべきか
・赤ちゃんの体重があまり増えていないと感じるが問題ないか
・犬を飼っているが赤ちゃんが生まれる際に問題ないか

また、鹿児島県錦江町では小児科だけではなく、産婦人科オンラインも同様に2019年1月から試験的に導入しています。利用するのはスマートフォンアプリのLINEで、下記の方が対象です。
・錦江町在住
・妊娠から産後2年以内

専用サイトで事前に会員登録が必要で、会員登録するためのチラシに書かれた合言葉の入力が必要です。相談できるのは平日の18時から22時の間で、15分前までに予約することで1回あたり10分間相談できます。会員登録や相談する際に料金はかかりません。

小児科への相談と同様にオンライン診療には該当せず、専門知識を持った医師や助産師へあくまで相談をする範囲となっています。

スマートフォンやタブレットをもちいて、LINEの下記機能を利用します。
・メッセージチャット
・音声通話
・ビデオ通話

例として質問できるのはこのような内容です。
・妊娠初期でつわりがあり、病院では食べられるものだけで良いと言われたが栄養が心配
・安定期に入っているが時々痛みを感じる、病院に行くべきか
・産後2カ月で授乳間隔が短く、ミルクもあまり飲んでくれず困っている
気になることを気軽に相談できます。

〈参照元〉

愛知県豊根村_小さく持続するむら戦略
(http://www.vill.toyone.aichi.jp/right/download/sousei.pdf)

千葉県千葉市_都市部におけるオンライン服薬指導の実施
(https://www.city.chiba.jp/sogoseisaku/miraitoshi/tokku/tokku_new-proposal_02.html)

福岡県福岡市住宅都市局_日本初 ケーブルテレビを活用したオンライン診療の実証実験について≪九大箱崎キャンパス跡地のまちづくりの先進的な取組み≫
(http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/69648/1/nihonhatukeburuterebiwokatuyousitaonrainsinryounojissyoujikkennnituite.pdf?20190802230802)

鹿児島県錦江町_小児科相談無料サービス開始のお知らせ
(https://www.town.kinko.lg.jp/soshiki/4/4128.html)

鹿児島県錦江町_「産婦人科オンライン」無料サービス開始のお知らせ
(https://www.town.kinko.lg.jp/soshiki/4/77344.html)

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