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【簡単解説】乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)とは?

【簡単解説】乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)とは?

乳児虐待や産後うつなどが問題になっている現代において、重要となるのが各家庭の状況把握です。さまざまな問題に対してしっかりと対策を取っておくために実施されているのが乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)。今回は乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)の目的や内容をまとめました。
【目次】
■事業目的
■事業内容
健康福祉関連ソリューションまとめ

事業目的

乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)は市区町村単位で、保健師や助産師などの専門資格を持つ職員やそれに準じるスタッフが、生後4ヶ月までの乳児のいる全ての家庭を訪問する活動です。

子育てに関する母親やその家族の不安や悩みをヒアリングして適切なアドバイスを行う目的をはじめ、市区町村で実施されている子育て支援に関する情報提供を行い、必要なサービスの提案などを行います。乳児の健康状態のチェックや母親の肉体的、精神的状況の把握、どのような状況で育てられているのかといった家庭の養育環境を把握し、必要に応じてアドバイスを行う他、支援が必要と判断された家庭に対して適切なサービスの提供につなげることを目的としています。

全戸訪問を達成することで乳児のいる家庭と地域社会をつなぐファーストタッチの機会を設け、子育てのストレスを抱え込むことや乳児家庭が孤立することを防ぐことが重要な目的です。

近年では乳児虐待をはじめ、産後うつなどの事例も増えていることから、虐待の予防や虐待の早期発見、育児に悩む母親の救済などの目的もあります。母子ともに健全な心身状態を保ちながら、子どもが健やかに成長するよう、自治体がサポートするために重要な事業です。乳幼児虐待や産後うつ、子育ての負担や不安などから子どもを殺害してしまう悲しい事件や事故が増えている中で、そうした悲しいトラブルを未然防止する役割もよりいっそう重要な課題となる事業と言えます。

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事業内容

市区町村単位で母子手帳の交付時や出生届の提出によって、乳児がいる家庭を把握し、生後4ヶ月までの乳児のいる全ての家庭を訪問することが求められます。訪問スタッフは母子保健推進員や愛育班員、児童委員、子育て経験者などを幅広く登用して、全戸をくまなく回れるようにする必要があります。

もっとも、多くの自治体では保健師や助産師資格を持つ職員に担当させることで、より高度かつ緻密な育児に関するアドバイスの提供や乳児の健康状態の把握、家庭状況の把握に努め、スムーズに自治体の必要な支援やサービスの提供につなげる体制を整えているケースが少なくありません。

事業内容として訪問スタッフが行うべき活動は以下の通りです。大きく三点の活動を実施して各家庭の実情の把握を行い、乳児家庭の孤立や育児の健全な成長を阻む要因を早期に摘み取らなくてはなりません。実施する自治体によって、さらに細やかな状況把握やアドバイス、提案などを行っているケースもあります。

・第一点

育児に関するさまざまな不安や悩みをヒアリングして、その場で相談に応じる他、子育て支援に関する自治体や地域で受けられるサービスなどの情報提供を行い、すぐに必要がある場合には支援やサービス利用につながるようサポートを行うことが訪問スタッフに課せられた役割です。近年は核家族化で相談できる家族が近くにいない、少子化や晩婚化で子育ての悩みを共有できる友人や知人がいない、近所関係の希薄化で近隣の方に相談に乗ってもらうことができない、育児のアドバイスやサポートも受けられないといった家庭が増えています。

さらに父親が仕事で忙しく、特に日中は一人で育児を行う母親が少なくありません。父親の育児休暇の取得率は全国的に見て極めて低く、イクメンが流行語になっても、実際には母親が希望するような育児の支援は行われておらず、表面的なサポートであることが多いのが現状です。

子育てに不安や不満を抱えたり、育児ストレスを抱えたり、産後うつを患う母親も増えてきました。
ワンオペ育児で肉体的にも精神的にも疲労が溜まった結果、乳児虐待や殺害に至るケース、親子心中といった事故や事件も残念ながら増えています。こんにちは赤ちゃん事業を通じて、地域に身近に相談できる窓口があることを知ってもらい、実際に相談に応じアドバイスを提供することで、母親の孤立や乳児家庭の孤立化を防ぐことも重要な目的です。

・第二点

乳児及び母親やその家族の心身の状態や養育環境が健全であるかといった状況を把握し、必要に応じてその場ですぐに助言を行うとともに、さらなる支援が必要な家庭に対しては、自治体等の提供する適切なサービスが受けられるよう、連携を図ることが目指されます。近年は格差社会などが叫ばれ、充実の環境で育児ができる家庭や貧困家庭、出産前後からひとり親という家庭も増えてきました。また、経済的には満たされていても、育児ストレスなどで親子の健全な生活が危ぶまれるケースも見られます。

訪問スタッフが乳児や母親、父親などの心身の状態を面談によって把握し、乳児虐待や産後うつなどの予防、貧困状態で適切な育児ができない状態を支援できるようつなげることが求められます。問題となっている幼児虐待や虐待による死亡事案では、近隣からの通報がある場合や児童相談所などの自治体の職員が接触していたにもかかわらず、適切な支援ができないまま、乳児の命が失われたケースが少なくありません。状況を把握しながら、必要のある支援や適切なサービスの利用につなげられないまま放置されることがないようにしなければなりません。

適切なサービスとは、貧困家庭であれば生活保護や児童手当の支給、ひとり親家庭であれば、自治体で実施している各種支援制度やサービス利用料の減免制度の活用などが挙げられます。母親の心身状態に問題があれば、度合いに応じて児童養護施設での乳児の一時的な保護や自治体の子育て支援制度である養育支援訪問事業の活用、リフレッシュ目的や利用目的での一時保育事業やショートステイなどの利用につなげることが大切です。

・第三点

訪問結果を踏まえ、支援が必要と判断された家庭については、関係者によるケース会議を実施し、養育支援訪問事業をはじめとした適切なサービスの提供につなげなくてはなりません。

第二点のポイントとも関連しますが、適切なサービスの提供が必要と判断されても、実際の利用につながらないのでは意味がありません。乳児は体力もなく、産後すぐの妊産婦も心身ともに不安定な状況にあります。個別訪問の結果を通じて、早期の対応が必要と判断されれば、すぐにでもサポートの手を差し伸べられるよう、関係諸機関での連携を密にし、迅速な対応が求められます。すなわち、法制度として自治体に求められる乳児家庭全戸の訪問を行えばよいのではなく、その後の体制の構築も不可欠です。

問題があった時や必要がある時に、いかに素早い対応を取れるか、自治体における体制づくりが求められます。

本パートで取りあげた養育支援訪問事業とは、育児ストレスや産後うつ、育児ノイローゼなどにより、子育ての不安や孤立感を抱える母親など支援が必要と判断された家庭に対し、保健師や助産師などの専門家によるアドバイスや子育ての指導を行い、地域の子育て経験者などが育児や家事の援助を個々の家庭を訪問して個別に対応するという事業です。単なるアドバイスやサービス利用の提案ではなく、個別にホームヘルパー的な支援やベビーシッター的なサポートができるのがポイントです。各家庭が個人的にホームヘルパーやベビーシッターなどを利用するとすれば、高額な費用もかかり、なかなかできることではありません。

養育支援訪問事業は基本的に無料で自治体を通じて支援されるサービスですので、不安定な乳児家庭を支える重要な役割を担います。

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<参照元>
厚生労働省_乳児家庭全戸訪問事業_(こんにちは赤ちゃん事業)の概要_(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/kosodate12/01.html)
厚生労働省_養育支援訪問事業ガイドライン_(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/kosodate08/03.html)

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