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農山漁村地域整備交付金について【自治体事例の教科書】

2020/07/30

農山漁村地域整備交付金について【自治体事例の教科書】

地域社会の農山漁村を守るため、農林水産業の基盤整備を支援する補助制度「農山漁村地域整備交付金」が制定されました。その制度の概要について紹介します。

【目次】
■背景・目的
■交付金の仕組みと特徴
■対象となる事業
■交付金を活用した事業の実施例

背景・目的

背景となったのは、所得減少や担い手不足、高齢化など、農林水産業における課題です。農山漁村地域の活性化を図り、競争力ある「攻めの農林水産業」を展開していく必要もあります。

このことから、都道府県の裁量による基盤づくりを推進し、生産現場の強化や防災力の向上につながる農業農村基盤整備、森林基盤整備、水産基盤整備などを実施するための措置として「農山漁村地域整備交付金」の制度が設けられました。

交付金の仕組みと特徴

この交付金は、「農山漁村地域整備計画」を策定して実施する対象事業に要する費用に充てるため、国から都道府県または市町村へ交付されるものです。予算配分は、都道府県の裁量に任されており、横断的な予算融通が可能です。

交付金の対象は「農業農村基盤整備事業」、「森林基盤整備事業」、「水産基盤整備事業」、「海岸保全施設整備事業」の4つの事業と、その事業効果を十分に発揮するために必要な効果促進事業です。

農山漁村地域整備と一体となった効果促進事業の実施もできるなど、地域ごとに創意工夫を活かした総合的な整備を行うことができます。

対象となる事業

ここからは、この交付金制度において重点事業の概要を見ていきます。

1. 農業農村基盤整備事業(農地整備/ 水利施設整備/農地防災/農村整備/農業用水保全の森づくり事業)
農村地域において、農業の成長産業化と美しく伝統のある農村地域の継承を図る事業。安全・安心な暮らしを守る防災・減災対策、国土強靱化への取組、収益力強化のための基盤整備などの推進です。

・防災・減災対策/国土強靱化の取組
被災により住宅・公共施設などに影響を与える恐れがある施設の整備事業。具体的には、ハザードマップが作成されているため池、排水機場、農業用河川工作物などの新設、改修、廃止などです。また、個別施設計画などに基づいて、適切に点検診断、機能保全対策などを行う事業も重点事業とされています。

・収益力強化のための基盤整備などの推進
スマート農業の実施(AI・IoTなどの活用)に必要な整備や、農地整備により担い手への農地利用集積率が30ポイント以上向上する事業、都道府県が策定した地域別農業振興計画に基づき実施する事業がこれにあたります。

2. 森林基盤整備事業(森林整備事業/治山事業)
森林・林業分野において、国土強靱化と競争力強化の推進を図る、防災・減災対策および国土強靱化の取組、競争力強化のための森林基盤整備などを推進する事業です。

・防災・減災対策および国土強靱化の取組
国土強靱化に貢献する事前防災・減災対策などや、個別施設計画などに基づいた、防災・減災、老朽化対策として保全対策を実施する事業。たとえば、治山施設、林道施設の機能向上や安全性を保つための機能維持などです。

・競争力強化のための森林基盤整備などの推進
これに該当するのは、育成林の整備を図るための林道整備などで、競争力の強化につながる事業です。

3. 水産基盤整備事業
(水産物供給基盤整備事業/漁場保全の森づくり事業/漁港漁村環境整備事業)
水産業の成長産業化と漁業地域の安全性の確保を図る、安全・安心な暮らしを守る防災・減災対策、国土強靱化の取組、漁業の所得向上などにつながる基盤整備などの推進事業です。

・防災・減災対策および国土強靱化の取組
災害発生の防止や災害発生時の避難などに要する漁港施設、漁業集落における防災関連施設などの整備、個別施設計画などに基づき、適切に機能保全対策などを行う事業です。

・漁業所得向上などに資する基盤整備の推進
漁業所得向上に貢献しうる施設として「浜の活力再生プラン」に位置づけられた事業を指します。

4. 海岸保全施設整備事業(海岸保全施設整備事業/ 津波・高潮危機管理対策事業/海岸環境整備事業)
大規模地震・津波・高潮に備えた防災・減災対策を強力に推進する、海岸堤防などの整備や海岸保全施設についての個別施設計画の策定といった取組です。

・海岸堤防などの耐震・津波・高潮対策
対象となるのは、南海トラフ地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震といった大規模地震が想定される地域または海抜ゼロメートル地帯。とくに耐震対策は、耐震調査結果や背後地域の状況などを踏まえて優先度の高い事業とされています。

・個別施設計画の策定
海岸保全施設についての個別施設計画の策定や、個別施設計画などに基づいた海岸堤防などの老朽化対策。長寿命化計画の策定は、東日本大震災の被災地および5地区海岸以上を管理する市町村(政令市を除く)が対象です。

交付金を活用した事業の実施例

交付金を活用した事業事例も紹介します。

事例①「きめ細やかな農業農村整備プロジェクト」(沖縄県)
沖縄県では、交付金を活用して平成29年度から令和3年度までの5年間にわたる「きめ細やかな農業農村整備プロジェクト」を実施しています。

この事業の目的は、農業における生産額・農家所得の向上、地域の活性化や定住の促進を行うとともに、環境に配慮した循環型の農村地域を構築すること。

具体的には、優良農地の確保による農業生産基盤整備の強化、農地および農業用施設の保全強化、集落排水処理人口の向上。定住化促進に向けた生活環境基盤整備や、赤土などの流出防止対策による美ら海・農業の推進が計画されています。

事例②「災害に強い安全・安心な漁港海岸整備計画」(新潟県)
新潟県において、平成30年度から令和3年度までの4年間にわたる計画として施策されているのは「災害に強い安全・安心な漁港海岸整備計画」。

大規模地震およびそれに伴う津波に対して、護岸などの防護機能低下による浸水被害を防止。背後地の人命や財産を守るため、耐震補強工事による対策を進めています。

また、漁港海岸保全施設の老朽化による機能低下を防ぐため、長寿命化計画に基づいた維持補修を実施。国土および住民の生命・財産の保全を図るとともに、維持管理・更新の低コスト化と予算の平準化を目標としています。

事例③「青森〜豊かで持続可能な農業・農村の実現〜」(青森県)
青森県では、県の重要な政策である「攻めの農林水産業」の推進強化に向けた事業を実施。令和2年度から令和6年度の5年間にわたる施策によって「豊かで持続可能な農業・農村の実現」を目指します。

農作業における交通の利便性向上により、ほ場への通作時間を短縮。農道および橋梁、農業集落排水施設などの機能点検・機能診断実施率や、機能診断結果・最適整備構想を活かした事業計画の策定率の向上を図る方針です。

整備対象施設の長寿命化や対象魚道における遡上魚種数の増加を目的とした水利施設整備も実施。また、海岸保全施設を計画的に整備し、背後集落や農地における高潮などによる浸水被害の防止も計画しています。

【参考文献】

農林水産省_農山漁村地域整備交付金の概要
(https://www.maff.go.jp/j/study/other/e_mura/oomori/pdf/gaiyou_27.pdf)

農林水産省_農山漁村地域整備交付金における重点事業
(https://www.maff.go.jp/j/study/other/e_mura/oomori/pdf/juuten_jigyou.pdf)

農山漁村地域整備交付金実施要綱
(https://www.maff.go.jp/j/study/other/e_mura/oomori/pdf/jissi_youkou30hosei.pdf)

沖縄県_農山漁村地域整備計画
(https://www.pref.okinawa.jp/site/norin/muradukuri/kassei/documents/h31-2tiikiseibikeikaku.pdf)

新潟県_農山漁村地域整備計画評価調書
(https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/196680.pdf)

新潟県_農山漁村地域整備計画
(https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/196679.pdf)

青森県_農山漁村地域整備計画評価調書
(https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/nourin/noson/files/R203-02hyoukachousyo200309.pdf)

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