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防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策について【自治体事例の教科書】

防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策について【自治体事例の教科書】

国土を強くするためには、災害による被害を最小限にとどめ、迅速に回復させる必要があります。災害が頻発している現在、最悪の事態が発生しないように日ごろからどのような備えが必要なのでしょうか。政府では、従来の取組に加えて、災害時に人命・経済・暮らしを守り、支える対策を進めています。その中で防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策を取りまとめました。ここでは、3か年緊急対策の概要について見ていきましょう。

【目次】
■内閣官房_内閣官房ホームページ
■首相官邸_防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策(一覧)
■首相官邸_防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策
■内閣府防災情報のページ_平成30年災害を踏まえた防災・減災、国土強靱化のための対策
■国土交通省_「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を閣議決定
■内閣官房_国土強靱化年次計画2019について
■内閣官房_国土強靱化年次計画2019

内閣官房_内閣官房ホームページ

豪雨や台風、地震など災害が頻発し、激化していることにより、人命が失われるだけでなく、関西国際空港の浸水、上水道の長期断水、幹線道路の長期運行休止など、重要なインフラ機能に支障をきたすなど、経済や日常生活に大きな影響がありました。

政府では、国民の命を守り、電力や空港、鉄道など国民経済・生活を支える需要インフラがあらゆる災害に際してその機能を発揮できるよう、全国で132項目の点検を実施し、点検結果と対応方策をとりまとめ、公表しています。

その結果、対応方策やブロック塀、ため池などに関する既往点検の結果等を踏まえて特に緊急に実施すべきハード・ソフト対策について3年間集中で実施することとし、2018年12月14日に「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」を閣議決定したのです。

3か年緊急対策は、人命を守るための重要インフラ等の機能維持と、電力・上水道などの国民経済・生活を支える重要インフラ等の機能維持の2つの観点から、特に緊急に実施すべきハード・ソフト対策として緊急対策160項目を3年間(2018~2020年度)で集中的に実施するものです。

具体的には、全国で2,000を超える河川の改修・整備、1,000か所のため池の改修・整備などにより人命を守る防災・減災に取り組むほか、55万KWの分散型電源等の導入、関西国際空港を含む6空港での浸水対策、携帯電話基地局に関する緊急対策を進め、災害時にもライフラインを維持できるように強靭化するものです。

3か年緊急対策には、おおむね7兆円規模の事業となると概算しています。

首相官邸_防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策(一覧)

防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策としては、160項目の事業が挙げられています。

「防災のための重要インフラ等の機能維持」では大規模な浸水、土砂災害、地震・津波等による被害の防止・最小化、救助・救急、医療活動などの災害対応力の確保を内容としています。

「国民経済・生活を支える重要インフラ等の機能維持」としては電力等エネルギー供給の確保、食料供給、ライフライン、サプライチェーン等の確保、陸海空の交通ネットワークの確保、生活等に必要な情報通信機能・情報サービスの確保が挙げられています。

担当省庁は、国土交通省、総務省、防衛省、警察庁、環境省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、内閣府など多岐にわたり、ケースによっては省庁横断して対応にあたることとしています。

首相官邸_防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策

首相官邸が2018年12月14日にまとめた3か年緊急対策の概要は、防災のための重要インフラ等の機能維持・国民経済・生活を支える重要インフラ等の機能維持の観点から、特に緊急に実施すべきハード・ソフト対策について、3年間で集中的に実施するものです。

取り組む対策としては、大きく「防災のための重要インフラ等の機能維持」「国民経済・生活を支える重要インフラ等の機能維持」の2つがあります。各項目の主な具体的措置には以下のようなものが挙げられます。

「防災のための重要インフラ等の機能維持」では、全国の河川における堤防決壊や洪水・土砂氾濫時の危険性に対する緊急対策、全国のインフラ・ライフラインンの土砂災害に関する緊急対策、学校施設等の耐震性及び劣化状況に関する緊急対策、社会福祉施設等に関する緊急対策、情報収集に関する緊急対策などがあります。

国民経済・生活を支える重要インフラ等の機能維持」では、電力インフラの強靱化に関する緊急対策、原子力規制検査の体制整備に関する緊急対策、全国の上水道管路に関する緊急対策、航空輸送上重要な空港等に関する緊急対策、・携帯電話基地局に関する緊急対策などです。

対策の期間中から進捗状況のフォローアップを定期的に行い、その 結果を公表するとしています。それぞれの対策には目標が設定されており、達成状況も確認されます。

内閣府防災情報のページ_平成30年災害を踏まえた防災・減災、国土強靱化のための対策

2018年年12月14日の第3回関係閣僚会議(国土強靱化推進本部と合同開催)において、「災害に屈しない、『強さとしなやかさ』を備えた国土をつくる。国土強靱化の歩みは、国家100年の大計として進めていかなければならない。特に、近年、災害が激甚化する中、国民の命と財産を守る防災・減災、国土強靱化を進めることは重要かつ喫緊の課題としてスピード感をもって進める必要がある」との考え方に基づき、重要インフラの緊急点検の点検結果及び対応方策のほか、ブロック塀、た め池等に関する既往点検の結果等も踏まえ、特に緊急に実施すべき緊急対策について案がとりまとめられました。

この緊急対策は、特に緊急に実施すべき対策を完了(概成)又は大幅に進捗させることを目標として、財政投融資の活用や民間負担を含め概ね7兆円程度を目途とする事業規模をもって実施することとしています。自然災害が発生した際に、国民の生命・財産を守るとともに、国民の生活・経済に欠かせない重要なインフラの機能を維持するため、国が地方公共団体や民間の病院、空港のターミナル会社、通信事業者、鉄道会社等の多様な主体と連携しつつ実施することと決定されました。

国土交通省_「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を閣議決定

国土交通省では、政府が閣議で「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」を決定したことをホームページでは発表しています。決定された対策において国土交通省が所管するものは多岐にわたります。

国土交通省では、所管する分野において、総点検の結果や得られた教訓等を踏まえ、ソフト対策として災害時に命を守るため、ハザードマップ等による必要な各種リスク情報の徹底的周知や外国人旅行者等への情報提供体制の確保など国民等の安全確保に資する体制強化等を行うこととしています。

また、ハード対策として、河川・砂防等の防災のための重要インフラの機能強化等により大規模な浸水・土砂災害・地震・津波・火山噴火等による被害の防止・最小化等を図るとともに、道路・鉄道・港湾・空港等の国民経済・生活を支える重要インフラの機能強化等により、命を守るための災害時の避難や救助、1日でも早く平常の暮らしや経済活動を取り戻すための迅速な復旧・復興に不可欠な交通ネットワークの確保等を行うとしています。

ソフト・ハードの両面からの「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」には国土交通省所管の事業が核となります。国土交通省は、各事業について3か年緊急計画の考え方と達成目標についても発表しています。

内閣官房_国土強靱化年次計画2019について

2019年6月、内閣官房国土強靱化推進室は「国土強靱化年次計画2019」をとりまとめました。国土強靱化基本計画に基づき、45のプログラムごとに当該年度に取り組むべき主要施策等をとりまとめ、定量的な指標により進捗を管理し、PDCAサイクルにより、施策の着実な推進を図るのが目的です。

「年次計画2019」のポイントは「プログラム推進のための施策の充実」「指標の充実によるPDCAの強化」「3か年緊急対策の進捗管理」の3つがあります。
令和元年度に取り組むべき主要施策を設定し、災害の教訓、技術の進展等を踏まえ新たな取組を追加しました。また、民間、地方、国際貢献の取組を推進するとしています。ベンチマーク指標を導入し、国土強靱化全般の進捗を評価することとし、進捗状況と成果事例について発表するとしています。

2019年度までの成果事例(見込み)としては、以下のが挙げられます。
・緊急点検の結果、学校施設等のブロック塀等の安全対策が必要な箇所1,000㎞ を完了
・車載型の携帯電話基地局等150台の増設を完了し、昨年度と同規模の災害でも 市町村役場における通信サービスを維持
・災害拠点病院等の診療機能の3日程度維持するため、非常用自家発電設備 125箇所の整備に着手、来年度までに完了
・本年度までに約49万kW分、来年度までに約55万kW分の分散型電源等を導入 し、エネルギー需給構造を強靱化
・本年度までに航空輸送上重要な6空港の浸水対策や3空港の耐震対策に着手 し、来年度までに完了

内閣官房_国土強靱化年次計画2019

2019年6月11日、内閣官房国土強靱化推進本部は、国土強靱化の加速化・深化に対応するために、PDCA 機能の強化に加え、地方・民間・国民など国土強靱化を担う様々な主体に対する情報発信機能の充実を図り、基本計画の見直しを機として名称も改め「国土強靱化年次計画 2019」を策定しました。

プログラムの推進にあたっては、施策の重点化・優先順位付け、ハード対策とソフト対策の適切な組合せ、国・地方公共団体・民間等との連携等に留意することとし、特に、国土強靱化に資する民間の投資や取組の促進、地方公共団体の取組への支援を通じた地方創生につながる地域の強靱化の推進、国土強靱化における国際貢献等については、以下を踏まえて推進するとしています。
・官民連携の促進と「民」主導の取組を活性化させる環境整備
・地域の強靱化の推進
・世界の強靱化の主導など国際貢献の推進
・その他各府省庁での横断的な取組の推進

防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の集中的な実施及びその進捗管理については、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策を集中的に実施し、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の進捗管理を行うこととしています。また、国土強靱化基本計画を踏まえた国の他の計画の見直しも図ります。

国土強靱化基本計画に基づくその他の取組としては、国土強靱化基本計画を推進する上で重要な政策課題の解決のための調査検討、大規模自然災害等を踏まえた国土強靱化の取組の強化を挙げています。

「国土強靱化年次計画 2019」には、分野別施策一覧、重要業績指標(KPI)一覧、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策進捗状況一覧、国土強靱化推進本部に報告すべき国の他の計画等、重点化すべきプログラムに係る工程表についても言及しています。

〈参照元〉

内閣官房_内閣官房ホームページ
(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/3kanentokusetsu/index.html)

首相官邸_防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策(一覧)
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/jyuyouinfura/sankanen/siryou4.pdf)

首相官邸_防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/jyuyouinfura/sankanen/siryou1.pdf)

内閣府防災情報のページ_平成30年災害を踏まえた防災・減災、国土強靱化のための対策
(http://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/pdf/R1_tokushu2.pdf)

国土交通省_「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を閣議決定
(https://www.mlit.go.jp/common/001265222.pdf)

内閣官房_国土強靱化年次計画2019について
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/pdf/nenjikeikaku2019_01.pdf)

内閣官房_国土強靱化年次計画2019
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/pdf/nenjikeikaku2019_02.pdf)

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