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動画活用における自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

動画活用における自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

観光活性化や移住・定住促進などを目的としたプロモーション活動の一環として“自治体動画”を活用するケースが増えています。発信力があり、その自治体の好感度アップにもなる動画のつくり方とは? 事例などを通じて、そのポイントを探りました。
 
【目次】
■自治体動画の現状とは
■事例①【地域を巻き込む】南知多町(愛知県)
■事例②【クレーシー・ゴナ・クレーシー】呉市(広島県)
■事例③【徹底したインパクト重視】宇治市(京都府)

自治体動画の現状とは

単に地域情報を盛り込むだけではなく、視聴する人の心をつかむ話題性に富んだ自治体発信の動画が増えています。総務省が発信するポータルサイト「全国移住ナビ」 に登録されているだけでも、それぞれの自治体発信の動画が870本以上(令和元年5月時点)あり、多くの自治体が地域の魅力訴求をはじめ、定住促進・交流人口増加・地域に対する住民の愛着形成・企業誘致など、いわゆるシティプロモーションの考えのもと、動画を活用していることがわかります。

発信力を強化するためには、ターゲット設定を行うことが効果的です。原則として、自治体の行政施策の前提は「すべての人」が対象であるべきですが、動画でプロモーション活動を行う場合、成果を出している先進自治体では明確なターゲット設定を行っています。

次に、拡散力や特徴のある自治体発信動画の事例を紹介します。

事例①【地域を巻き込む】南知多町(愛知県)

南知多町(愛知県)の動画は「みなみちたのうた♪ ウミひとココロ ver」は「全国移住ナビ」の市町村プロモーション動画ランキングで1位を獲得しています。住民によるダンスや印象的なリズムに変顔、「南知多あるある」など、さまざまな要素が盛り込まれた動画です。

動画制作の目的のひとつは、観光活性化や移住・定住促進などを目的とした南知多町のポータルサイト「ウミひとココロ~ミチタリタ ミナミチタ」への誘導です。

同町では、企画段階において自治体のみでの成功は難しいと考え、地域と連携しながら事業を進めました。動画制作時のプロジェクトチームに商工会、農協、漁協の若手職員が参加し、アイデア出しを行ったほか、地域の協力により、ダンス講師によるダンス指導や地元紙への掲載なども無償で実施されています。

動画撮影にあたっては、準備期間が短い中で企画案の変更があり、そのうえで参加者を募集するという問題に直面しました。それにもかかわらず募集の呼びかけに多くの地域住民が集まったのは、企画内容が地域を巻き込んだものであり、特に子ども達や地域のネットワークの軸となるような人々の心に響く内容になったためです。

この事例のように、制作当初から地域を巻き込むことが成功ポイントとひとつだと言えるでしょう。

また、動画公開後の町の取組として「情報発信講座」を開催し、地域住民の情報発信力向上に取り組んでいます。この講座は全6回(各回定員30名)で実施したにもかかわらず、キャンセル待ちがでるほどの人気でした。

この講座が、町の「情報発信チーム」立ち上げのきっかけとなっています。「情報発信チーム」は、動画閲覧者の誘導先である町のポータルサイトを拡充していくための活動を行っています。参加メンバーの選定にあたっては、動画制作時のプロジェクトチームからさらに視点を地域に近づけ、旅館業や和菓子屋など自営業者が中心となっています。

事例②【クレーシー・ゴナ・クレーシー】呉市(広島県)

呉市(広島県)の動画は同市の認知度を上げるべく市が制作したミュージックビデオです。曲は、1995年にリリースされたTRFのヒット曲「CRAZY GONNA CRAZY(クレージー・ゴナ・クレージー)」の替え歌で、動画タイトルは「呉ー市ーGONNA呉ー市ー」(クレーシー・ゴナ・クレーシー)。「見て呉(くれ)」、「来て呉(くれ)」など市を徹底してPRしており、市のゆるキャラ「呉氏」を中心にダンサーたちが激しく踊るユニークな動画です。「まじめな土地柄」と言われる呉市の突き抜けた動画はインパクト大で、SNSなどで拡散されるなど、市の認知度を高めました。

呉市では動画公開後、ゆるキャラ「呉氏」が体育祭やお祭りなどのイベントに出演しPRを行っています。学校行事等でも、児童・生徒が自らダンスを踊るなど少しずつ定着してきており、市への愛着や誇りを醸成するきっかけとなっています。

シティプロモーション戦略としての動画の活用の本質は、情報伝達力が強いこと、すなわちインパクトと拡散の要素を持つ「発信力」だと言われています。そうした点から、呉市の動画はシティプロモーションの強化・推進に貢献していると言えそうです。

同市では第2段としてザ・ブルーハーツの名曲「TRAIN-TRAIN」の替え歌「呉IN-呉IN」を制作。こちらも好評を博しています。

事例③【徹底したインパクト重視】宇治市(京都府)

宇治市(京都府)の2D横スクロールの完全オリジナルゲームの実況プレイ風のPR動画は自治体動画のなかでも異色の作品で、大きな話題となりました。実写画像はなく、すべてCGで構成する徹底ぶり。同市の世界遺産を含む観光名所などが舞台になった架空のアクションゲームをプレイしている設定で、実写画像こそできてませんが、逆にだからこそ実物が見たくなる、強いインパクトがあります。自治体動画として新たな視点で取り組んだ拡散力のある動画と言えます。

同市ではプロポーザル方式で制作業者を選定しましたが、その際、「インパクトを意識した提案」を条件としていました。ただ、インパクトの強い企画を不安視する声もあったようです。こうした不安に対し、さまざまな意見が出やすい環境をつくり、皆が情報を共有して、意見を押し切らず建設的に議論することなどを意識し、ひとつひとつクリアしながら周囲の賛同を得て公開に至りました。

<参照元>
全国移住ナビ
東京市町村自治調査会 自治体における動画の活用     等

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