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“道の駅”による地方創生についての自治体の課題と取組【自治体事例の教科書】

2019/8/6

“道の駅”による地方創生についての自治体の課題と取組【自治体事例の教科書】

平成に入って間もなく誕生した“道の駅”。その機能や役割は地域ニーズに合わせて多様化し、多くの自治体が個性豊かな道の駅を整備しており、道の駅を基点に地方創生を促進しているケースも見受けられます。道の駅を“地方創生の起爆剤”とするにはどのような工夫や取り組みが大切か? 事例などを通じ、そのポイントを探りました。

 
【目次】
■“道の駅”の現状と今後とは
■事例①【滞在型インバウンドの地域拠点】七戸町(青森県)
■事例②【延べ1,000万人が利用】内子町(愛媛県)
■事例③【市と地域住民が連携】南丹市(京都府)

“道の駅”の現状と今後とは

平成3年に実験的にスタートし、同5年に登録制度が正式に開始された“道の駅”。令和元年6月19日現在の登録数は1,160駅で、いまや個性あふれる多様な道の駅が全国で展開されています。その売上高合計は大手コンビニチェーンに匹敵する規模なるなど、国民生活にすっかり定着しています。

道の駅を設置できるのは市町村または都道府県や第三セクターおよび市町村が推薦する公益法人に限定されており、道路を管理する国や都道府県と市町村が協力して道の駅を整備する「一体型」と、市町村がすべてを担う「単独型」にわけられます。

誰でも気軽に利用できる無料休憩所であり、地域の特産品などを情報発信する道の駅は、チェーン店とは異なる、それぞれがオンリーワンな施設。地域色にあふれる個性や魅力で人々をひきつけています。さらに今日では地域を支えるさまざまな機能も担っており、地域活性化や地域連携、地域防災の拠点などとして、地方創生につながる重要な役割も果たしています。

国土交通省は道の駅の今後について、地域の拠点機能の強化とネットワーク化を重視し、開かれたプラットフォームであるという特長を活かしたさまざまな施策を展開していくことにしています。

次に、未来の姿を先取りした、多様化する道の駅の事例を紹介します。

事例①【滞在型インバウンドの地域拠点】七戸町(青森県)

正式に制度運用が開始された平成5年に開駅した七戸町(青森県)の一体型道の駅「しちのへ」は滞在型インバウンドの促進に貢献しています。

「しちのへ」は、近年、外国人観光客に人気が高まっている地域の名所・奥入瀬(おいらせ)渓流まで車で1時間の距離にあり、十和田奥入瀬観光の“玄関口”に位置します。しかし、こうした立地のよさをこれまで活かしきれず、インバウンド需要の取り込みに苦慮していました。

そこで地域DMOと連携し、インバウンド向けのさまざまな観光メニューの策定を推進。外国人観光客向けの和服の着付体験や農業体験などの滞在型観光の新しい商品開発を実施しました。地元農家と協力しながら自然体験などを実施している七戸町かだれ田舎体験協議会(“かだれ”は、仲間になろう、一緒に話そうという意味の地元の方言)と連携し、農家への民泊窓口も設置しました。

観光機能強化にあたって、同町の商工観光課を「しちのへ」に移設したほか、政府観光局認定の外国人観光案内所の設置、第3種旅行業取得(観光協会)といった基盤整備も実施しました。これらの施策や取り組みにより、外国人利用者が大幅に増えたそうです。

また、「しちのへ」は太陽光発電による独立型電源を確保しており、非常時でも72時間は照明や通信機能を維持できるため、地域の防災拠点としての役割も担っています。

七戸町の道の駅「しちのへ」の防災拠点化計画を
詳しくレポートした記事はコチラから読めます
青森県七戸町の取り組み
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事例②【延べ1,000万人が利用】内子町(愛媛県)

平成8年に開駅した内子町(愛媛県)の単独型道の駅「内子フレッシュパークからり」(以下、からり)は内子町内の農産物販売額の約15%を売り上げる拠点に発展しています。

出荷する地場農産物にトレーサビリティやPOSシステムを導入。ICT導入により鮮度を追求するとともに、安全安心な農産物提供システムを構築している点が利用者から高く評価されています。

トレーサビリティでは、生産者・栽培情報はもとより、農薬・肥料まで栽培履歴情報を検索でき、開示された情報は直売所にある端末や、からりのホームページ上で閲覧できます。生産履歴をチェックしてOKにならないと値札が印刷できない仕組みにすることで、農産物の安全・安心を担保しています。また、POSで収集した販売情報は生産者と共有され、在庫に合わせて採れたての野菜などの直接納品し、徹底した鮮度追求を行っています。

からりの企画・運営は地元農家の女性たちが中心。生産者自らが商品開発や品質管理を行っているだけではなく、イベント企画運営も実施しています。商品は女性で構成される複数のチームで独自開発しています。

平成31年2月には合計利用者(POS通貨者と併設レストラン利用者の合計)が1,000万人を突破。からりは人口約1万6,000人の内子町の地域活性化を促進する基盤となっているようです。

事例③【市と地域住民が連携】南丹市(京都府)

南丹市(京都府)の「美山ふれあい広場」(以下、ふれあい広場)は住民自治組織が中心となっている全国でも珍しい道の駅です。

ふれあい広場の前身はJAの店舗で、食料品や日用品などを販売する、地区になくてはならない存在でした。しかし、JAの広域合併により平成12年に店舗の閉鎖が決定。そのため、暮らしに不可欠な店舗を守ろうと、地区の住民が共同出資で店舗運営会社を設立したうえで営業を引き継ぎ、住民自身が運営する商店「ふらっと美山」に生まれ変わりました。

その後、交通量の多い国道に面していて駐車場も広いことから、地区住民のための日用品などの品揃えのほかに、観光客向けに美山町産品の直売所も備えた店舗にリニューアル。その際、店舗運営を安定させうため、在庫リスクのない委託販売方式の採用、地元の商店や飲食店との競合を避けた店舗構成などの工夫を行いました。こうした努力が実り、「ふらっと美山」は行政からの補助や助成を受けずに単独黒字を達成しました。

一方、周辺には農業振興総合センター、美山観光協会案内所、高齢者コミュニティセンター、診療所、保健センター、行政窓口が隣接していることから、「ふらっと美山」を中核としたエリア一帯の道の駅化構想が浮上。南丹市と地区住民が連携し、平成17年に全国でも珍しい既存施設を活かした道の駅として登録されました。

こうした経緯から「ふらっと美山」は、住民票・各証明書の交付などの行政サービスや医療なども提供する、地区の総合拠点としての機能を担う道の駅としてオープンしました。

現在、利用者の8割は観光客で、地域活性化を促進する拠点に発展しました。同時に、現在も住民向けに生活必需品の販売などを継続しており、地区の暮らしに欠かせない生活インフラとなっています。


<参照元>
国土交通省「平成30年度 重点『道の駅』選定結果」「道の駅案内」「大きな安心と希望をつなぐ『小さな拠点』づくりガイドブック」
七戸町ホームページ
内子町ホームページ
美山ふれあい広場ホームページ    等

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