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窓口業務改革における自治体の課題と取組【自治体事例の教科書】

窓口業務改革における自治体の課題と取組【自治体事例の教科書】

住民と自治体の重要な“接点”でもある窓口業務。しかし、煩雑な窓口での手続きは住民の不満の的となっており、窓口での問い合わせ対応の多さは職員を本質的な業務に集中させない要因ともなっています。窓口業務を円滑にし、住民サービスの向上を図るにはどうすればよいか? 窓口業務改革の事例などを通じ、そのポイントを探りました。

 
【目次】
■総務省が検討する“窓口業務改革”とは
■事例①【住民のイライラ解消】鎌倉市(神奈川県)
■事例②【職員発の総合窓口】鴨川市(千葉県)
■事例③【書かない窓口】船橋市(千葉県)
■住民生活・安全関連ソリューションまとめ

総務省が検討する“窓口業務改革”とは

総務省は平成30年11月に自治体の主査や係長などの実務者を委員とし、総務省自治行政局行政経営支援室長を座長とする「窓口業務改革に関する実務検討会」を実施しました。同検討会の目的は、人口減少など社会構造の変化が進展するなか、引き続き効率的・効果的に窓口業務を行うため、窓口関連業務に関する実務上の課題やあり方を検討することです。

これまで、平成31年2月までの3回にわたり、窓口業務改革に向けた具体的なプロセスを検討したほか、平成30年度から地方自治法等の一部を改正する法律の一部が施行され、窓口関連業務である申請等関係事務の処理及びこれに附帯する業務を担う地方独立行政法人(以下、事務処理法人)の設立が可能となったことを踏まえ、窓口関連業務の民間委託や事務処理法人設立に当たっての課題や論点整理、マニュアル等の作成について検討しました。

第1回の検討会では「窓口業務を民間委託したことで市民サービスは向上しているものの、交付・不交付の決定などは民間委託できないため、非効率なフローとなっている」といった点や、「事務処理法人には派遣会社というイメージがあるが、法人で構成する『第2市役所』という活用方法もあるかもしれない」といった新アイデア、「自治体側のメリットと同時に、市民サービス向上にどのように寄与するのかといった点からも外部資源の活用を考えるのがよいのではないか」といった論点などが議論されています。

自治体を取り巻く「増える業務・増えない職員」という長期トレンドに対応しつつ、住民サービス向上を図るため、窓口業務の効率化を促進する取り組みが、すでにさまざまな自治体で進められています。次に、自治体の窓口業務改革の事例を紹介します。

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事例①【住民のイライラ解消】鎌倉市(神奈川県)

鎌倉市(神奈川県)は、市民が自分の状況にあった適切な行政手続きをパソコンやスマホで簡単に確認できる手続きガイドシステムを導入しています。

たとえば、転出・転入にともない、加入保険の種類、養育中の子どものある・なし、保育園への入園希望など、市民の個別状況によって必要となる行政手続きは複雑かつ多岐にわたります。そのため、多くの住民が自分に必要な手続きの種類や申請方法、申請先などを窓口で問い合わせることになり、すべての用件を終えるまでに時間がかかったり、必要な持ち物を用意できていなかったために“二度手間”を強いられるなどの事態が往々にしてありがちです。

こうした窓口の煩雑さは「役所での手続きは面倒」「時間がかかる」といった住民の代表的な不満になっているだけではなく、窓口での問い合わせ対応の多さは本来の手続き業務を遅滞させる要因のひとつとなり、職員の負荷を増やす原因となっていました。

鎌倉市が導入した手続きガイドシステムでは、画面上に表示される質問をチェックしていけば数分で必要な手続きや申請書類、持ち物などが表示されます。このシステムを利用すれば、住民は窓口でいちいち質問する手間が省け、効率的に用件を済ますことができます。

鎌倉市では、転入・転出などライフイベントに関する手続きが月間平均1,500件発生しており、手続きガイドシステムへのアクセス数は月間1,000ユーザー前後と、多くの市民が必要な手続き内容を事前に確認してから来庁するようになったことがうかがえます。そのため、職員が来庁者の問い合わせに忙殺される頻度が低下し、窓口業務が効率化するとともに、“イライラ解消”で住民サービスの向上につながっているようです。

事例②【職員発の総合窓口】鴨川市(千葉県)

鴨川市(千葉県)は、窓口集約で業務効率化と住民サービス向上を一体的に推進するため、児童・高齢者・障がい者・DV対策などの相談支援を行う複数の課が連携した“福祉総合窓口”を導入しています。

この福祉総合窓口の正式名称は「福祉総合相談センター」で、鴨川市総合保健福祉会館内に設置しています。センターの職員は保健師、看護師、社会福祉士などの有資格者で構成し、保健福祉サービス提供等に係る総合調整体制を整備しました。

また、特に利用が見込まれる地区にはサブセンターも設置。サブセンターはノウハウのある社会福祉法人に運営を委託し、直営の場合と比べて運営費を2年間で約3,000万円抑制しました。

平成21年から5年間、厚生労働省のモデル事業「安心生活創造事業」を実施したなかで、住民から対象者を問わない総合調整が必要な相談窓口の要望があったため、担当課から市長へ提案し、実現しました。

保健・医療・福祉・介護が連携したワンストップ相談支援が実現したことで、住民が相談しやすい環境が整備され、相談件数は総合窓口設置以前に比べて約1.4倍に増加し、住民サービスの向上につながっています。

事例③【書かない窓口】船橋市(千葉県)

船橋市(千葉県)は、申請手続きを熟知していない職員も申請書作成が可能になるナビゲーションシステムを導入し、窓口業務の効率化を図っています。

このナビゲーションシステムは、画面に表示された申請書の記入項目に申請者にヒアリングしながら代行入力していくもので、申請者は何度も同じ項目を記入する必要がなくなり、質問に答えるだけで申請書を作成できます。マイナンバーカードを使えば、氏名・住所・性別・生年月日といった基本情報も自動入力できます。ナビゲーションシステムに従って操作していくことで記入モレなどの不備も防止できます。

その手続きに習熟していない職員が窓口業務についても、ナビゲーションシステムを使用すれば間違いのない申請手続きができるので、手続きを熟知している特定の職員に業務負荷が集中するといった状況の改善も期待できます。

船橋市は「接遇日本一」を目標に掲げ、住民サービスの向上を目的としたさまざまな業務改革に取り組んでいます。この取り組みの一環としてナビゲーションシステムによって申請書に記入する市民の負担を取り除く“書かない窓口”が実現しました。

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<参照元>
総務省「窓口業務改革に関する実務検討会」、 内閣府「窓口業務の民間委託に係る先進・優良事例集」、 七戸町ホームページ、 内子町ホームページ、 美山ふれあい広場ホームページ    等

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