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MaaSについて・実施事例【自治体事例の教科書】

2020/06/08

MaaSについて・実施事例【自治体事例の教科書】

MaaSは、ICTを利用して交通をクラウド化し、マイカー以外の車両の動きをコントロールする新しい交通サービスの概念です。例えば、スマホのアプリで目的地までの交通手段やルートを検索し、運賃の決済も行えるようになります。MaaSは、これまでの交通の概念を覆すもので、まだはっきりした定義がありません。そのため、どこまでをMaaSととらえるかは、国によって見解が分かれます。しかし、世界各国がMaaSの開発に取り組んでおり、今後交通サービスを一新するものとして期待されています。日本各地で行われている、MaaS導入の取り組みの実例を見てみましょう。

【目次】
■群馬県前橋市
■滋賀県大津市
■北海道
■茨城県
■福島県南相馬市
■大都市・大都市近郊・地方都市

群馬県前橋市

前橋市のMaaS導入は、前橋市内の交通網を再構築するため、経済産業省、国土交通省の支援を受けて行われています。これは、経済産業省がスマートモビリティチャレンジとして、新しいモビリティサービスの社会実装に取り組む、「パイロット地域」の募集に前橋市が応募したものです。国土交通省は、MaaSの実装にかかる費用を支援します。

具体的には、前橋版MaaSを導入して、市内公共交通の一括ルート検索・予約・決済をスマホアプリで可能にするというものです。実証実験の内容は、前橋市内公共交通の一括ルート検索と、タクシー、デマンド交通の配車予約、運賃の決済、旅館や飲食店など商業施設等とのシステム連携が円滑に実施できることを検証します。

現在、前橋市では収益性の高い路線にバス会社が集中しており、低収益路線を廃止したりバスの本数を減らしたりする方向に傾いています。また、交通渋滞によりバスの大幅遅延が頻発しており、低収益路線ではこれに運行本数の減少が加わって、さらに悪化しているのが現状です。それに加え、マイタク利用によるバス離れやマイカー依存度も高くなってきたため、こういった現状を打開するために、前橋市ではMaaSの導入を進めようとしています。

滋賀県大津市

滋賀県大津市では地域の交通状況の改善を目的として、MaaSの導入を検討しています。そのためには実証実験を行う必要がありますが、実験を通して自動運転が地域に受け入れられるかを確認します。また、実証実験した場所にどの程度MaaSを導入する必要性があるかについても、確かめます。

MaaS導入について、運営面、安全面、技術面でどのような課題があるかを確認し、MaaSを活かした新たなビジネスモデルも検討課題に上がっています。令和元年11月2日~8日に、車両は先進モビリティ車両(日野ポンチョ改良小型バス)を使用し、実験時の走行速度は最大40km/hまでとし、自動運転化レベル3相当、レベル4(一部区間)で実験を行いました。

結果としては、自動運転バスの走り方(速度、ブレーキ、車線変更)について、乗車する前は不安に感じていた人も、約80%の方が試乗後、安全もしくは少し安全と回答しています。

今後の展開として、大津市では、地方都市型MaaSと観光地型MaaSを合体したいと考えています。現在大津市では、交通機関の乗り継ぎが複雑でわかりにくい、待ち時間が多く所要時間の予測が立てにくいといった、地方特有の問題を抱えています。そこで、MaaSアプリを導入し、交通機関の一括検索が可能になるため、待ち時間が大幅に短縮できるとともに、運賃の一括決済もできるようになります。しかもMaaSアプリは二か国語に対応しているので、インバウンド収益の拡大にも大きな期待が寄せられています。

北海道

北海道の公共交通は、人口減少に伴い利用者が減る一方で、高齢者の増加に加えインバウンドが急増したため、住民や観光客の移動手段としてますます重要になっています。平成30年3月に策定した「北海道交通政策総合指針」により、北海道では「シームレス交通戦略」の重要性が認識され、ストレスのない移動の実現を目指すためにMaaSの導入を検討しています。MaaSを導入すれば、鉄道やバス、タクシーなどの公共交通機関を総合的に連携した、まったく新しい交通ネットワークが北海道に誕生することになります。

MaaS導入の効果を確認する実証実験では、従来の公共交通の問題点を解消できるかどうかが焦点となります。これまでは、バス停や路線が分からないとか、目的地までのバスの運賃が分からない、タクシーの運賃が高そうで気になるといった不安がありました。

こういった、北海道住民と観光客の双方が抱える不安を、MaaSを導入することによって解消しようというわけです。北海道では、十勝をはじめとした道内各地で、この実証実験で得た情報を活用し、北海道におけるMaaS導入拡大の足掛かりにしたいとしています。

茨城県

茨城県では、顔認証やアプリを活用したキャンパスMaaSと、医療MaaSの実証実験を計画しています。実験の概要は、公共交通機関を利用する際に顔認証とアプリを組み合わせ、キャンパスMaaSや医療MaaS実装に向けた検証をしようというものです。「キャンパスMaaS」では顔認証のできるサイネージポストを利用して、バス乗降時のキャッシュレス決済の実証実験を行います。

また、AIを活用した乗降客の流れの予測や、「つくばモデル」アプリの開発も検討しています。さらに、待ち時間を解消するために、バス運行の効率をアップするための支援システムの開発も計画されています。「つくばモデル」アプリを活用すれば、高齢者や身障者などの交通弱者の乗降車支援、シェアサービスなどが可能です。

茨城県はマイカー利用率が高く、頻発する交通事故対策、高齢者の移動のための交通手段の確保が緊急課題となっており、これがMaaS導入の最大の動機となっています。「医療MaaS」は、バス乗降時の顔認証を利用して、病院受付、診療費会計処理を行うサービスです。MaaSの顔認証の副次的な利用法として導入が検討されています。顔認証とアプリを利用した予約受付、決済照合の実験は、延べ2,000人の協力者を得て行われます。

福島県南相馬市

南相馬市は再生可能エネルギー推進ビジョンを掲げ、再生可能エネルギーの地産地消により、地域循環型のシステム作りを進めています。「原子力に依存しないまち」「災害に強いまち」「地域環境への貢献」をコンセプトに、「省エネルギーの推進」「再生可能エネルギーの積極的利用」「南相馬市版スマートコミュニティの構築」の実現に取り組もうとしているのです。また、南相馬市では「南相馬ソーラー・アグリパーク事業」を展開しており、太陽光発電所・植物工場・体験学習を組み合わせた仕組みを作り上げ、地域循環モデル事業として官民協働で取り組んでいます。

太陽光発電所の余剰電力販売による利益を再エネ体験学習・人材育成に活用し、太陽光発電でエアドーム型植物工場の電気をまかなっています。南相馬市では、再生可能エネルギー発電所を整備し、エネルギーの地域循環を実現させることにより、エアドーム型植物工場を地元農業生産法人に無償貸与して、一次産業の再生も進めようとしています。

大都市・大都市近郊・地方都市

現在、新モビリティサービス推進事業の先行モデル事業として、全国各地でMaaSの実証実験が行われています。その中から、大都市・大都市近郊・地方都市型のMaaS実証実験についても触れておきましょう。以下の実証実験が行われています。

・神奈川県川崎市と箱根町「神奈川県における郊外・観光一体型MaaS実証実験」
・兵庫県神戸市「まちなか自動移動サービス事業実証実験」
・茨城県日立市「日立地域MaaS実証実験」
・静岡県静岡市「令和元年度静岡型MaaS基幹事業実験」

MaaSアプリを活用すれば、複数の交通サービスのルート検索だけでなく、日常生活に関するさまざまなサービスの検索・決済が可能となります。そのため、今後は交通機関のサービス統合だけでなく、いろんな場面でMaaSアプリの活用が期待されています。

〈参照元〉

群馬県前橋市_プロジェクト:スマートモビリティチャレンジ
(https://www.city.maebashi.gunma.jp/material/files/group/9/6siryou5.pdf)

滋賀県大津市_第四回大津市自動運転実用化プロジェクト会議
(https://www.city.otsu.lg.jp/material/files/group/26/toujitsusiryou.pdf)

北海道_MaaSを活用した実証実験の実施計画(案)
(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/010829shiryou6.pdf)

茨城県_顔認証やアプリを活用するキャンパスMaaS及び医療MaaS実証実験
(https://www.pref.ibaraki.jp/sangyo/kagaku/kenkyu/documents/maas.pdf)

内閣府_地方創生推進室_南相馬市環境未来都市計画
(http://doc.future-city.go.jp/pdf/torikumi_city/minamisouma_panel.pdf)

経済産業省_先行モデル事業概要
(https://www.meti.go.jp/press/2019/06/20190618004/20190618004_02.pdf)

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