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【事例解説】危機管理型水位計の設置について・実施事例【自治体事例の教科書】

【事例解説】危機管理型水位計の設置について・実施事例【自治体事例の教科書】

危機管理型水位計は、近年増えている大洪水などの水災被害を踏まえ、従来ではカバーしきれなかった河川エリアでよりきめ細やかな水位測定を行い、災害避難を迅速化させ住民の命を守るために、国土交通省によって新たに開発されました。災害時の観測機能に特化させることで導入の低コストを図り、各自治体で設置がしやすくなりました。危機管理型水位計の設置が行われた地方自治体について、実施事例をご紹介します。

【目次】
■神奈川県の実施事例
■宮崎県の実施事例
■高知県いの町の実施事例
■秋田県五城目町の実施事例
■秋田県潟上市の実施事例

神奈川県の実施事例

神奈川県では県内の河川のうち、以下の条件に当てはまる箇所への危機管理型水位計の設置を進めています。

・河川が未整備のため注意を要する箇所
・災害拠点病院がある箇所
・身体上の事情から逃げ遅れる可能性がある高齢者や障がい者が入所する福祉施設などが周辺にある箇所

危機管理型水位計は洪水時の水位観測に特化した水位計であり、洪水が発生した際に河川周辺の住民が避難する際に役立てるために設置されるものです。

神奈川県のホームページでは、設置が済んだ場所を一覧として示しています。県のトップページ>くらし・安全・環境>防災・消防>神奈川県の水防>危機管理型水位計、をクリックします。危機管理型水位計のページ上にある、危機管理型水位計設置河川一覧から、確認したい場所をクリックすると、川の水位情報に移動します。川の水位情報の提供と運営は、一般財団法人河川情報センターが行っています。

水位情報は、観測値の即時性を重視しているので、異常値が発生した場合はそのまま表示されます。なお、地盤沈下等の地形変化や河道の変化などによって、堤防と水面の位置関係が正しく表示されない場合があるため、他の水位情報や気象情報も併せて確認することが推奨されています。

観測間隔は、通常の水位の場合は1日1回程度です。これに対して、豪雨や台風により水位が上昇してきた場合は、2~10分間隔で観測値を表示し、データを地方自治体などに自動送信します。その場合は基準値に応じて、緑→黄→赤→黒と変化して注意喚起がされます。

宮崎県の実施事例

宮崎県では、全国各地で豪雨災害が頻発している状況を踏まえ、宮崎県管理河川について、洪水時に水位情報を把握できる危機管理型水位計の運用をスタートさせました。設置箇所は令和2年3月3日時点で、宮崎県管理河川の60河川73か所です。

宮崎県のホームページから、社会基盤>河川・砂防・港湾>河川・海岸>2020年3月26日県管理河川で危機管理型水位計の運用を開始しました、をクリックします。「2.閲覧方法」の表にある設置位置から自分が見たい箇所をクリックすると、川の水位情報のサイトへ移動できます。水位計周辺の地図が表示されるので、確認したい水位計のアイコンをクリックすると、その設置場所の情報が得られます。

水位情報は一般社団法人河川情報センターが運営するインターネットサイト「川の水位情報」で確認できます。川の水位情報はパソコンだけでなく、スマートフォンからも閲覧ができ、地域の身近な水位情報がわかります。危機管理型水位計の水位データをはじめ、通常水位計(24時間観測)のデータや河川監視カメラの画像が閲覧できます。

現在、県管理河川には130基の水位計が設置されています。これまで水位計がなかった中小河川でも洪水時の水位情報が確認できるようになり、地域住民のより的確な避難行動等へ活用されます。河川周辺に暮らしている住民や、施設や事業所の事業主や従業員が日ごろからチェックしておけば、通常はどのくらいの状態なのかがわかります。いざ、大雨が降ったときなどに水位のデータやリアルタイム画像を通じて危険を察知することができます。

高知県いの町の実施事例

近年の豪雨による中小河川の氾濫を踏まえ、高知県吾川郡いの町では、大雨で川の水位が上昇したときに水位情報などを確認し、適切な避難判断を行います。そのために危機管理型水位計の設置を行っています。これまで水位計のなかった河川や地先レベルできめ細やかな水位が把握できます。

川の水位情報の提供と運営は、一般財団法人河川情報センターが行っています。詳細を見たい場合は、いの町役場のホームページ>防災情報>川の水位情報(危機管理型水位計)>「2.川の水位情報ホームページ」とクリックします。確認したい箇所の水位計のアイコンをクリックすると、設置場所の情報が得られます。既存の水位データや河川カメラの画像が確認できるため、河川流域に暮らす地域住民や事業所や施設などの河川の状況がわかり、いざという時の危険察知能力を高めることにつながります。

危機管理型水位計は従来の水位計とは異なり、常時水位を観測するものではありません。大雨等により、河川の水位が上昇し、洪水のリスクが高まったときのみ観測・情報提供を行うようになっているため、初期コストが低く、運用コストも低くすみます。

秋田県五城目町の実施事例

秋田県五城目町では、馬場目川と富津内川にかかる町内4か所の橋へ危機管理型水位計を設置しています。これらの水位計は、既存の水位計(久保や黒土に設置)とは異なり、水位が上昇して洪水の危険が高まった場合に水位データを送信する仕組みになっています。

以下の避難判断の支援水位(暫定)が設定されていますが、あくまで閲覧する際の目安です。今後は、データの実績を取りながら変更することにしています。

・大川の竜馬橋(馬場目川)の河岸高は5.4m、避難判断支援水位は2.7m
・昭辰町の昭辰橋(馬場目川)は河岸高が6.7m、避難判断支援水位は3.7m
・平ノ下の中屋敷橋(馬場目川)の河岸高は3.6m、避難判断支援水位は1.7m
・富田の富田橋(富津内川)の河岸高は2.4m、避難判断支援水位は1.0m
※河岸高は水位計設置周辺で最も低い場所です。

各水位データは、既存の水位計と同様に秋田県のWebサイト「秋田県河川砂防情報システム」から閲覧できます。なお、秋田県は独自の秋田県河川砂防情報システムを運用しています。

秋田県潟上市の実施事例

秋田県潟上市では、国の中小河川緊急治水対策プロジェクトに基づき、県管理河川である馬踏川と豊川の2河川に危機管理型水位計を設置しました。こちらは、平成29年度に全国の中小河川の緊急点検の結果、選んだ箇所であり、概ね3ヶ年で河道掘削や危機管理型水位計の設置などの緊急的な治水対策を推進すべき場所です。

危機管理型水位計の運用は平成31年4月1日から開始されました。情報提供は国土交通省の情報提供サイトではなく、秋田県河川砂防情報システムより行われます。

危機管理型水位計は洪水時の水位観測に特化した低コストのものであり、市町村や地域住民への水位情報の提供を目的としています。常時観測は行わず、一定の水位から上昇したときに観測をスタートします。氾濫開始する水位は堤防高を0mとし、水位が上昇するとマイナスで表示されます。

〈参照元〉

神奈川県_神奈川県ホームページ
(https://www.pref.kanagawa.jp/docs/f4i/bosai/kikikanrigata_suiikei/settikasen.html)

宮崎県_宮崎県ホームページ
(https://www.pref.miyazaki.lg.jp/kasen/shakaikiban/kasen/20190621092447.html)

高知県いの町_いの町ホームページ
(http://www.town.ino.kochi.jp/kurashi_chosei112.html)

秋田県五城目町_五城目町ホームページ
(http://www.town.gojome.akita.jp/bosai/1105.html)

秋田県潟上市_潟上市ホームページ
(http://www.city.katagami.lg.jp/index.cfm/6,21923,30,125,html)

 

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