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企業誘致における自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

2019/6/17

企業誘致における自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

企業誘致のあり方が多様化しています。サテライトオフィスや支社、工場といった地方拠点誘致だけではなく、本社機能移転や外国企業の誘致にも取り組む自治体が出てきました。これからの企業誘致戦略とは? 事例などを通じて、そのポイントを探りました。

【目次】
■追い風が吹く企業誘致の現状とは
■事例①【国際戦略プラン】宮城県
■事例②【補助金を創設】茨城県
■事例③【地域の特色を活かす】小諸市(長野県)
■事例④【伝統産業を“武器”に】伊賀市(三重県)
■事例⑤【ビジネスマッチング支援】唐津市(佐賀県)

追い風が吹く企業誘致の現状とは

地方創生により、平成30年度税制改正において小規模オフィスの移転及び拡充等を支援対象に要件緩和や移転型事業の対象地域の追加等が実施されるなど、民間企業の本社機能移転を促進する政策メニューの充実・強化が図られています。

そのため、地方拠点強化税制や地域再生法の改正内容を踏まえ、制度の利用促進に向け、地方公共団体主催の企業誘致セミナー等と連携した企業への周知活動も展開されています。

移転を検討している事業者に対しては、個別に事業計画策定に向けた情報提供や相談対応も行っています。加えて、本社機能の地方への移転及び拡充を促進しやすくなる環境を国及び地方公共団体の施設との連携により整備しています。

機能配置の最適化やBCPなどの観点から、本社機能の一部を移転している企業が近年増加するなど、民間企業側の移転意欲も高まっているようです。

例えば、大手生命保険会社のある会社は東日本大震災を契機にBCP機能などを北海道札幌市に移転しています。また、グローバル展開しているある化学メーカーでは社外研究機関との連携や研究開発力強化のため、研究開発施設を地方に新設・拡充しています。大手旅行会社では生産性向上を目的に分社化と地方拠点の強化を実施しています。

自治体側でも、撤退可能性が低く、地元への定着が高い傾向にある付加価値の高い事業所や本社の誘致に取り組むところが増加しています。

誘致実現を目指し、各自治体では独自の優遇措置を設けています。たとえば東京23区から本社機能を移転した企業の法人事業税について、長野県は3年間で95%、富山・石川両県は90%減額しています。他にも、石川県は不動産取得税、長野・富山両県は不動産取得税と固定資産税の減額措置を設けるなどしています。

外国企業の誘致を目的とした取り組みや施策も活発化しています。そこで、経済産業省及び独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)は、外国企業の誘致に積極的な地方公共団体を支援する「地域への対日直接投資サポートプログラム」(以下、同プログラム)を実施しています。

同プログラムの申請自治体第1号である宮崎県は、重点8分野の製造業と研究開発機関等を中心に誘致を推進しています。そのほかに申請した自治体等も同プログラムの計画策定サポートやコンサルタント支援などを積極的に活用しながら、外国企業の誘致に取り組んでいます。

これに対して、外国企業の反応はどうでしょうか。海外からの日本に対する直接投資残高は、2017年度末で28.6兆円と10年前との比較でおよそ倍増しており、対日投資意欲は高いものがあります。JETROが実施した調査結果でも「対日投資について拡大計画の可能性がある」と回答した外国企業の6割以上が東京以外への進出を検討しているとしています。

次に、企業誘致について意欲的かつ活発に取り組んでいる自治体事例などを紹介します。

事例①【国際戦略プラン】宮城県

宮城県は、県内の複数の自動車関連企業や半導体企業、東北大学をはじめとした研究開発資源と連携し、新規経営手法の導入および県内企業の国際化や活性化を目指した「みやぎ国際戦略プラン」を策定しています。

この戦略プランを踏まえて民間投資促進特区等における優遇・特例措置の設置や国内外への魅力発信等を通じて、企業誘致に取り組んでいます。サポートプログラムを通じて、ビジネス環境に適応する企業の絞り込みや、アプローチ法や誘致インセンティブ等、効率的な誘致に向けた戦略の策定を進めています。

事例②【補助金を創設】茨城県

国の研究機関の約1/3が集まる茨城県は県内の充実した研究環境を活用した海外企業誘致に取り組んでいます。そのため、新規に外国企業向けに特化した補助金の創設等を行いました。

同県の強みに合致するターゲット企業を絞り込み、効率的な誘致活動に取り組んでおり、「地域への対日直接投資 カンファレンス(RBC)」では、知事によるトップセールスや研究機関等の視察等も実施しています。

事例③【地域の特色を活かす】小諸市(長野県)

小諸市(長野県)は首都圏や軽井沢へのアクセスの良さを活かしたサテライトオフィスや地域に集積する電子部品製造業の誘致を推進しています。国際的に高まりつつある「小諸ワイン」の知名度を活かし、ワイナリーの集積にも取り組んでいます。

地域の特色を活かして、海外のIT企業や醸造業等の誘致を目的にインセンティブ等の効率的な施策の検討し、各企業への営業活動を展開しています。

事例④【伝統産業を“武器”に】伊賀市(三重県)

ヘルスケアや機械産業に加えて、伊賀焼や着物の帯紐等の歴史に裏打ちされた伝統産業が集積する伊賀市(三重県)は、外国企業が所有する技術やノウハウなどを伝統産業に取りこむため、外国企業の誘致に注力しています。

そのため、ターゲットの絞り込みや三重県と連携した地元で開催される国際的なイベントの活用をはじめとした戦略づくりや活動に取り組んでいます。

事例⑤【ビジネスマッチング支援】唐津市(佐賀県)

唐津市(佐賀県)は化粧品関連産業のサプライチェーンの川上から川下までの全体を包括する国際的なコスメティッククラスターの実現に向け、国内外企業のビジネスマッチング支援の実施等の企業誘致活動を展開しています。

そのため、アジアやヨーロッパにおける有望企業の洗い出し、効率的なアプローチ法を検討しています。関連産業や国内企業も巻き込んだクラスターの完成を目指しています。

<参照元>
閣議決定「まち・ひと・しごと創生基本方針 2018」
経済産業省「地域への対日直接投資サポートプログラム」
福岡市ホームページ 等

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