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関係人口の拡大についての自治体の課題と取組【自治体事例の教科書】

2019/8/6

関係人口の拡大についての自治体の課題と取組【自治体事例の教科書】

住民基本台帳には載らない新たな地域人材リソースである“関係人口”は、地方創生を促進する存在だと期待されています。そうした関係人口を拡大に効果がある取り組みとは? 事例などを通じて、そのポイントを探りました。

 
【目次】
■関係人口の拡大が求められる理由とは
■事例①【ICTで実効性を高める】南砺市(富山県)
■事例②【廃線を逆手に】邑南町(島根県)
■事例③【実践活動の場を豊富に用意】西条市(愛媛県)

関係人口の拡大が求められる理由とは

関係人口について、総務省は「移住した『定住人口』でもなく、観光に来た『交流人口』でもない、地域や地域の人々と多様に関わる者」と定義しています。具体的には、移住や定住こそしていないものの、ボランティアなどの活動を行い、もうひとつのライフステージとして地域と継続的に交流する都市住民を指します。

関係人口は、人口減少や高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面している地方圏を活性化する存在として期待されています。地域によっては若者を中心に変化を生み出す地域外の人材も現れています。

関係人口の拡大は令和2年度からスタートする「第2期 地方創生」でも重点目標に位置付けられることが見込まれており、都市から地方への新しい人の流れをつくり、関係人口が地域づくりの担い手となることが地方創生を促進すると期待されています。

総務省は、関係人口の拡大につながる取り組みとして、
①地域出身者や勤務経験者など、その地域にルーツや思い入れがある人を対象とした取り組み
②その地域に“ふるさと納税”をした人を対象とした取り組み
③「どこかの地域で支援活動をしたい」という意欲を持ち、これから関わりを持とうとする人を対象とした取り組み
④都市住民等の地域への関心を醸成する取り組み
⑤訪日外国人の地域への関心を醸成する取り組み
これら5つのパターンを提示しています。対象の“なり手”の属性は異なっているものの、自治体主導で関係人口の「受け皿」と、関係人口がスキルやノウハウなどを活かしながら活動できる「事業や施策」をあらかじめ整備しておく点が共通項です。

次に、関係人口拡大の取り組みを推進している事例を紹介します。

事例①【ICTで実効性を高める】南砺市(富山県)

南砺市(富山県)は地域課題の自律的な解決を目指し、市民とともに南砺市に関わり、盛り上げてくれる「南砺市応援市民」という関係人口拡大施策に取り組んでいます。

南砺市外に住みながらも、南砺市に愛着を持ち、応援してくれる、といった要件を満たす人を「応援市民」として市が登録します。平成28年の制度開始以降、同30年3月末までに約500名超が登録しました。同市では「応援市民」のマンパワーやスキルをもって、祭などの文化活動の維持や耕作放棄地の低減など、過疎化や高齢化を原因とする地域課題の自律的な解決を目指しています。

地域ニーズと応援市民のマッチングを円滑に進めるため、地域課題の集約・実践活動のコーディネートおよび現地サポートを実施する「現地メンター業務」を地域おこし協力隊と連携する民間コンサルティング会社に委託する点が特長のひとつです。現地メンターは地域課題の解決につながる応援市民の実践活動の企画・実行を担います。

あわせて、現地メンター実践活動参加者の活動をサポートするICTプラットフォームを構築する計画です。SNS等と連携し、このプラットフォームを通じて地域課題と応援要望の集約する構想で、関係人口の登録者情報を活用し、ターゲットを絞った効果的な情報発信を行うことを目的に登録者情報データベースの高度化も検証します。実践活動に参加する応援市民等の移動費や滞在費を一部補助する支援制度も創設します。

事例②【廃線を逆手に】邑南町(島根県)

島根県の邑南(おおなん)町は人口減少によって廃線となった同町羽須美地域のJR三江(さんこう)線の鉄道遺産を生かし、過疎地から新しいチャレンジを始めてくれる町外住民を関係人口に位置付け、地域の持続可能性を高める試みを地域住民とともに展開しています。

羽須美地域は人口減少と高齢化が進む典型的な過疎地で、人口は昭和32年当時と比較して4分の1以下の約1,470人に減少し、高齢化率は60%にせまっています。

一方、邑南町にあったJR三江線の旧宇都井駅は高さ約20メートルの高架橋構造で「天空の駅」と呼ばれ、廃線後も同駅を“巡礼”する鉄道ファンを集める人気スポットでした。そこで、同町ではJR三江線の跡地を新たな地域資源ととらえ、鉄道ファンや中山間地域の地域づくりに関心を持つ人々にアプローチして、トロッコ車両を走らせるなどの「レールパーク構想」を打ち出し、ライトアップイベントなどを実施しました。

JR西日本もこの取り組みをバックアップしており、同町に旧宇都井駅や旧口羽(くちば)駅、周辺のトンネルなどの鉄道資産を同町に無償譲渡しました。同町は関連条例を制定し、令和2年3月までに一帯を「鉄道公園」として開業する構想です。

同町は、講座・現地ツアー・Webを通じた“学び”と交流機会を提供し、事業参加者の地域課題への理解を高め、主体的に関わろうとするモチベーションの形成を働きかけるとともに、地域が持続的に交流人口を受け入れる体制づくりを行い、地域住民だけでは実現できないイベントを推進することで関係人口の拡大に取り組んでいくことにしています。

事例③【実践活動の場を豊富に用意】西条市(愛媛県)

西条市(愛媛県)はSNS活用を中心にした市民と関係人口のネットワーク「Love Saijoファンクラブ」を構築し、棚田や里山の再興、特産品開発などの協働実践活動と関係人口をマッチングする仕組みの確立に取り組んでいます。

西条市は同市出身者やゆかりのある人などの市外対象者を対象としたふるさと応援のコミュニティ「西条うちぬき倶楽部」(編集部注:「うちぬき」とは同市の象徴ともなっている名水の名称)を平成26年に開設し、東京・大阪で交流会を開催するなどしてネットワークを構築するとともに、各種施策に対する協力依頼などの情報発信を行ってきました。

「Love Saijoファンクラブ」は、この「西条うちぬき倶楽部」の加入対象者を市民や企業に拡大し、平成30年度からフェイスブック上で展開しているSNSサイトです。全体的に層が薄かった若年層を対象に積極的に勧誘を図り、市外会員と市民がまちづくりなどに関する情報交流などを行っています。令和元年6月現在で、同フンクラブの会員は2,000人以上となっています。

特産品開発及び商業地域活性化について、SIB(ソーシャルインパクトボンド)を活用し、市内外からの出資を募集するほか、市外からの協力者を招いて中山間地域に存在する棚田を継続して再興できる仕組みづくりの創出や持続可能な森林経営の検証などを実施し、地域課題を解決する協働実践活動と関係人口をマッチングする仕組みのモデル化に取り組むことにしています。

地域と応援してくれる“ファン”が繋がり、活躍できる場を創出することが関係人口拡大を促進する有効な打ち手であることを示唆していると言えるでしょう。


<参照元>
総務省「『関係人口創出・拡大事業』モデル事業の採択団体の決定」(平成30年度・同31年度)「『関係人口』ポータルサイト」
南砺市ホームページ
邑南町ホームページ
西条市ホームページ    等

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