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女性職員の活躍における自治体の課題と取組【自治体事例の教科書】

2019/8/6

女性職員の活躍における自治体の課題と取組【自治体事例の教科書】

“政官民”それぞれの分野で国際的にも立ち遅れが目立つ日本の「女性活躍」を推進するため、さまざまな取り組みを行う自治体が増えています。自治体における女性職員の活躍を推進・促進するにあたり、どのような取り組みや施策が有効なのか? 事例などを通じて、そのポイントを探りました。
 
【目次】
■女性職員の活躍が課題になっている背景とは
■事例①【アクションプラン】北九州市(福岡県)
■事例②【女性管理職の“生の声”を届ける】八王子市(東京都)
■事例③【昇任試験制度を見直す】調布市(東京都)

女性職員の活躍を促進する鍵とは

自治体職員を取り巻く働く環境はめまぐるしく変化しています。女性職員の活躍の促進や環境整備は、まさに“自治体版働き方改革”の重要課題のひとつでしょう。

平成30年6月に「働き方改革関連法」が成立し、地方公務員においても平成31年4月から必要な対応が求められていることをはじめ、同年4月にパワーハラスメント防止義務等を新設した「女性活躍推進法」の改正案が衆議院で可決されました。

総務省がまとめた「地方公務員における女性活躍・働き方改革推進のためのガイドブック改訂版」(平成31年3月)では、自治体における女性活躍の現状について「地方公務員においては、女性の就業継続については、先行して進んでいた」面もあると評価しつつ、「しかし、子育て中の女性職員の役割・仕事が限定され、キャリアの道筋が見えにくくなっている」と分析。「団体によっては、女性職員の就労継続の在り方として、いわゆるマミートラック(子育てをしながら働く女性が、さまざまな制約のある働き方を理由として、仕事における役割や業務内容まで限定されてしまい、従来のキャリアコースから外れてしまうこと:編集部註)が定着し、そのことに疑問を抱かないこともある」と指摘します。

そして「女性が限られた仕事にしか就けない、管理職にはなれない、といった問題を抱えていたままでは、限られた定員の中で組織としての機能を維持していくことは困難」と警鐘を鳴らします。

次に、さまざまな工夫で女性職員の活躍を促進している事例を紹介します。

事例①【アクションプラン】北九州市(福岡県)

北九州市(福岡県)は女性活躍推進課と男女共同参画推進課および(公財)アジア女性交流・研究フォーラムで構成する「女性の輝く社会推進室」を総務局に設置し、さまざまな環境整備を行っています。

同市では平成20年に市長の強いリーダーシップで、市長・副市長・局長等で構成する“女性活躍推進本部”を設置するとともに、人事部内に“人材育成・女性活躍推進課”を新設し、「女性活躍推進アクションプラン」を策定。以来、女性職員が活躍できる環境整備などを継続して進めてきました。同アクションプランは平成20年に第1期計画が策定され、同26年からの第2期計画へと引き継がれています。

第1期アクションプランでは、女性職員の能力開発・キャリア形成支援、各部局における独自の女性活躍に関する取組施策の立案・推進、 管理職の意識改革などに取り組みました。アクションプランを推進するにあたり、女性職員のヒアリングや女性活躍推進アンケートを実施し、現場の声を大切にしながら取り組み内容の検討・策定を進めたそうです。

第2期アクションプランでは、男性職員の育児休暇取得・育児参加促進も推進するなど、性別にかかわらず職員の成長を促す視点も追加。職員アンケートにより、女性の意識は変わってきているが実際の昇任にまでつなぎきれていないことや、ワーク・ライフ・バランスが取れているとする割合が男性職員より女性職員のほうが少ないことが判明したことなどから、これらも踏まえた第2期プランを策定しました。

第1期アクションプランの策定以降、地道にさまざまな取り組みを進めたことにより、女性活躍推進が現場に浸透。女性管理職比率は、第1期アクションプラン策定時(平成20年)の 6.2%から、平成29年には14.8%(平成29年)にまで上昇し、同市では女性局長も当たり前になるまでになりました。

事例②【女性管理職の“生の声”を届ける】八王子市(東京都)

八王子市(東京都)は以前より実施していた女性職員のためのキャリアデザイン研修を平成26年度に一新しました。

ロールモデルとなる女性管理職(部長職・課長職)から経験・生活・考え方の話を聞き、キャリアを考えることをテーマにすえた研修にリニューアルしたものです。対象者も、年齢で指定するのではなく、設定した期間中に昇任した主査職・主任職を事務局で指定する形に変更しました。

研修は年1回、2時間実施。女性管理職の講話やパネルディスカッション、グループディスカッションで構成しています。研修後に小規模で話したいという意見を受けて、昼休みに業務外の扱いでランチミーティングも実施。対象者が産休・育休中などで受講できない場合は、翌年度の研修に参加してもらいます。

研修参加者には事前にアンケートを実施し「女性の昇任に差があると思うか」等を聞いているほか、女性管理職への質問も事前に集めて、当日のテーマに反映しています。

講師となる女性の部課長には、昇任試験を目指すに当たって背中を押すようなメッセージ発信してもらうほかは基本的にフリーテーマで自身の言葉で話してもらっています。

参加者からは「女性の部課長のキャリアを身近に感じられ、色々なことを考えるきっかけになった」「将来こういう風になれるかもしれないと感じた」などの感想があり、昇任することへの心理的なハードルを下げる効果があるようです。

総務省の「女性地方公務員活躍・働き方改革推進に関する実態調査」職員向けアンケートでは、「管理職になりたくない」と答えた女性職員にその理由をたずねたところ、「家庭(プライベート)との両立が難しい」「自分には管理職が向いていない」「能力や経験が不足しているため」といった理由を挙げる女性職員が男性職員に比べて多い傾向がみられました。そのため、こうした不安を解消し、女性職員が管理職への昇任を自身の現実的なキャリアとして意識できる環境整備が女性活躍を促進しそうです。

事例③【昇任試験を見直す】調布市(東京都)

調布市(東京都)は、昇任試験の受験率の男女差がみられることから、平成28年に受験年齢の引き下げを主とした昇任試験制度の見直しを実施しました。職員の育児休業の平均取得年齢(33.5歳)を考えると、育児等のライフイベントと昇任試験制度の受験年齢がほぼ同じ時期となっていたことから見直したものです。

具体的には、主任職を「27歳以上」(従前は28歳以上)、係長職を「29歳以上」(同34歳以上)、管理職を「34歳以上」(同37歳以上)にそれぞれ引き下げ、受験対象の拡大を図りました。

また、係長昇任試験の一次試験についても見直し、育児中の職員でも受験しやすくするため、従来の択一試験や会場での論文試験を廃止し、提出型論文試験と面接試験に変更。人物重視に方針を転換しました。また、複線型昇任制度として、特定の対象職場の在職年数を条件としたうえで、当該職場において昇任できる「専任区分」も新設しました。

さらに、昇任意欲の喚起、昇任に対する不安解消につなげることをねらいとして、平成29年度から昇任試験制度説明会を実施。試験内容や昇任のやりがいなどを説明するほか、先輩職員からのメッセージや意見交換の場を設定しました。

この説明会の模様は、時間の制約上、当日参加できなかった職員向けに動画撮影を行い、庁内ファイルサーバーを通じ、職員のPC端末からも見られるようにしています。


<参照元>
総務省「地方公務員における女性活躍・働き方改革推進のためのガイドブック改訂版」(平成31年3月)
北九州市ホームページ
八王子市ホームページ
調布市ホームページ    等

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