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安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインについて【自治体事例の教科書】

2020/06/01

安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインについて【自治体事例の教科書】

平成24年11月、自転車を安心して利用できる環境を全国で整えるため、国土交通省と警察庁交通局が「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」を策定しました。その概略や、平成28年に一部改訂された内容について解説していきます。

【目次】
■「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」の概要
■ガイドライン作成の背景
■平成28年の一部改定
■「自転車活用推進法」の施行と「自転車活用推進計画」の閣議決定
■自転車に関連する各自治体の取り組み
■安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインまとめ

「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」の概要

自転車は身近な移動手段として重要な役割を担うものであることはもちろん、健康増進や環境保護の観点からのメリットも多いことから、国はさらなる利用拡大を目指しています。一方、自動車事故が年々減少しているのに対し、自転車の事故件数はほぼ横ばいです。そこで国土交通省と警察庁交通局は、平成24年11月に「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」をまとめました。ガイドラインは、以下の4セクションで構成されています。

1 自転車ネットワーク形成の進め方
2 自転車通行空間の設計
3 利用ルールの徹底
4 自転車利用の総合的な取組

「自転車は『車両』であり、車道通行が大原則」との認識のもと、重要な路線を対象とした自転車ネットワーク計画の作成方法や、歩行者・自転車・自動車が安全に通行できる空間設計の考え方などについて提示しています。しかし、その後実際に自転車ネットワーク計画を策定した市区町村は一部にとどまったことから見直しが行われ、平成28年に一部改定されました。

ガイドライン作成の背景

日本における自転車の保有台数は、平成25年の時点で自動車とほぼ同じ7,200万台に上るなど、世界から見ても高い水準にあります。特に5km未満の移動の約2割には自転車が利用されており、都市部において重要な移動手段となっていることがうかがえます。今後も高齢化社会が進むにつれ、車の運転に不安を覚える高齢者が増加することから、自転車の需要はより高まる見通しです。

自転車は健康増進の効果が期待できる上、自動車のように燃料を消費したり二酸化炭素を排出したりしないことから、環境保全の面でも重要な移動手段と言えます。一方、自動車と比べて自転車の事故件数はなかなか減少せず、欧米諸国と比べても乗用中の死者数の割合は高い状況です。乗用中の死傷者数を年齢別にみると、特に7~18歳の若年層の割合が高い点が特徴となっています。そこで、平成24年に国土交通省道路局と警察庁交通局が共同で「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」を作成し、全国の自治体に環境整備の指標を与えることとなりました。

平成28年の一部改定

平成24年のガイドラインでは、「自転車は『車両』であり、車道通行が大原則」という観点に基づき、「自転車通行空間として重要な路線を対象とした自転車ネットワーク計画の作成方法」や、「交通状況に応じて歩行者・自転車・自動車が適切に分離された自転車通行空間設計の考え方」などについて提示されています。しかし、ガイドライン作成後も実際に自動車ネットワーク計画を策定した市区町村は一部にとどまっており(平成24年4月1日時点34市区町村→平成28年4月1日時点で92市区町村)、自転車通行空間の整備が緩慢な状況にあることが分かりました。

そこで平成26年12月、国土交通省道路局と警察庁交通局は自転車ネットワーク計画の策定を早く進展させるため、有識者による検討委員会を開催。特に安全で快適な自転車利用環境の創出が早期に必要と考えられる市区町村に対して働きかける方策を検討するとともに、車道での自転車通行空間の整備が遅れている状況を踏まえ、ガイドラインを一部改定することが決定されました。平成24年に策定されたガイドラインのうち「Ⅰ.自転車通行空間の計画」と「Ⅱ.自転車通行空間の設計」について、以下のような点を改定しています。

・段階的な計画策定方法の導入
・暫定形態の積極的な活用
・路面表示の仕様の標準化
・自転車道は一方通行を基本とする考え方の導入 など

具体的には、市区町村全域で同時に自転車ネットワーク計画の策定を進めていくのではなく、優先度の高いエリアから段階的に策定していくことが提案されています。また、本来目標とする自転車道の整備が当面難しい場合は、「車道通行を基本とした暫定形態を積極的に活用」するなど、「自転車道・自転車専用通行帯・車道混在」の3つを柔軟に組み合わせてネットワーク形成を行っていくことが盛り込まれました。

「自転車活用推進法」の施行と「自転車活用推進計画」の閣議決定

自転車に関する国の施策としては、平成29年5月に施行された「自転車活用推進法」もあります。自転車活用推進法(平成28年法律第113号)は、自転車の活用を総合的かつ計画的に推進することを目的として制定された法律です。「自転車専用道路および自転車専用通行帯などの整備」「駐輪場の整備」「シェアサイクル施設の整備」「自転車活用による国民の健康の保持増進」などの基本方針をはじめ、都道府県・市区町村が「自転車活用推進計画」を定めるよう努めることなどが記されています。

政府の「自転車活用推進計画」も、平成30年6月に閣議決定されました。「自転車交通の役割拡大による良好な都市環境の形成」「サイクルスポーツの振興等による活力ある健康長寿社会の実現」「サイクルツーリズムの推進による観光立国の実現」「自転車事故のない安全で安心な社会の実現」の4つの目標を掲げ、それぞれの実施に取り組んでいます。また全国の自治体においても、各地域の実情に応じた「地方版自転車活用推進計画」が策定されています。自転車活用推進本部では、策定手順や方法をまとめた「策定の手引き(案)」を国土交通省のホームページ上で公開中です。

自転車に関連する各自治体の取り組み

「自転車活用推進法」の施行や「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」の策定を受け、全国の自治体では自転車に関連する取り組みが進められています。たとえば、神奈川県県西地域サイクリングエリア等整備推進委員会では、県西地域に点在する「未病いやしの里の駅」などの地域資源を生かす取り組みを進めており、サイクリストのために「自転車の駅」を県西地域のすべての市町に配置しました。

また和歌山県では、自転車をそのまま電車に乗せて運べる「サイクルトレイン」について、JR和歌山線での運転期間の拡大や、紀勢本線での新たな運行について関係機関と調整を進めているほか、県外からの長距離バスをサイクリストが利用できるような仕組みも検討しています。

ナショナルサイクルルートに選定されている「しまなみ海道サイクリングロード」では,広島・愛媛両県が連携した国際的なサイクリング大会「サイクリングしまなみ」をはじめとする、多くの自転車イベントが開催されています。

安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインまとめ

「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」は、自転車をより安全・快適に利用するべく、自転車通行空間の計画・設計やルールの徹底、自転車利用の総合的な取り組みについてまとめたものです。道路の整備というハード面はもちろん、利用者にルールを周知させたり、サイクルステーションやレンタサイクルを導入したりといったソフト面も向上させながら、各地の実情に合わせた幅広い取り組みが行われることが期待されています。

地域によっては自転車のための通行空間の確保や整備が難しく、計画が進まないこともあると思われますが、若年層の死亡事故を減らすためにも優先度の高い所から段階的に対策を進めていくことが望まれます。

〈参照元〉

神奈川県_神奈川県ホームページ
(https://www.pref.kanagawa.jp/docs/bd2/cnt/f531977/bytop.html)

和歌山県_和歌山県自転車活用推進計画
(https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/081300/jitensya/suisinkeikaku_d/fil/
suishinkeikaku.pdf
)

広島県_広島県ホームページ
(https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/97/jitenshakatsuyou.html)

国土交通省_安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン
(https://www.mlit.go.jp/road/road/bicycle/pdf/guideline.pdf)

国土交通省_自転車活用推進計画
(https://www.mlit.go.jp/road/bicycleuse/good-cycle-japan/jitensha_katsuyo/)

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