自治体通信ONLINE
  1. HOME
  2. 自治体向けサービス最新情報
  3. ICT地域活性化サポートデスクについて【自治体事例の教科書】

ICT地域活性化サポートデスクについて【自治体事例の教科書】

ICT地域活性化サポートデスクについて【自治体事例の教科書】

平成30年4月25日、総務省はICTを活用した地域活性化を支援するため、地方公共団体などからの問い合わせに一元的に対応する「ICT地域活性化サポートデスク」を開設しました。そこでどのようなサポートを得られるのか、またICTを利用した地域の取り組みにはどんなものがあるのか、などについて解説します。

【目次】
■ICT地域活性化サポートデスクの概要・問い合わせ方法
■ウェブサイト「ICT 地域活性化ポータル」も開設
■「ICT(情報通信技術)」とは
■政府が推進する「ICTによる地域活性化」
■自治体によるICT利活用の事例
■ICT地域活性化サポートデスクまとめ

ICT地域活性化サポートデスクの概要・問い合わせ方法

ICT地域活性化サポートデスクは、総務省が地方公共団体の「ICTを利活用した取り組み」を支援するために開設した専用の窓口です。

●相談内容
具体的には「ICTやデータを活用した地方公共団体の先進事例」や「国の支援制度」「法令等各種制度」などについての質問に対応しています。

●相談・問い合わせ方法
メールまたは電話で問い合わせます。

1 メール
基本的にはメールで問い合わせます。担当者の名前、所属団体・部署、連絡先のメールアドレスを明記の上、専用アドレス(ict-support/at-mark/soumu.go.jp)に送信します。
※スパムメール防止のため、ここでは「@」を「/at-mark/」と記載しています。

2 電話
メールでの問い合わせが難しい場合は、電話(03-5253-6080)でも可能です。受付時間は平日10時~12時、13時~17時となっています(土日・祝祭日・年末年始を除く)。

●相談員・相談後の具体的な対応について
ICT地域活性化サポートデスクで相談に対応するのは、総務省「情報流通行政局 地域通信振興課」の職員です。相談内容に応じて、以下のような関係機関に取次を行います。

1 地域情報化アドバイザー
2 総務省関係課・地方局
3 関係府省・関係団体

「地域情報化アドバイザー」は、ICTやデータ活用による地域問題の解決に精通したスペシャリストです。総務省では平成19年度から、ICTによる地域再生を支援するため「地域情報化アドバイザー」を委嘱し、各自治体からの要請に基づいて派遣を行っています。派遣団体数は年々増加しており、平成30年度には237の団体が派遣を受けました。

その他、必要に応じて総務省の各種支援事業の紹介や、地方局によるフォロー、関係府省や関係団体とのマッチングなども行っています。

ウェブサイト「ICT 地域活性化ポータル」も開設

ICT地域活性化サポートデスクと同時に開設されたのが、ウェブサイト「ICT 地域活性化ポータル」です。このサイトには、ICTを利用した地域活性化の先進事例100選や、総務省が実施している「ICT地域活性化大賞」の受賞事例、ICT地域活性化の支援に関するさまざまな情報が掲載されています。過去に各地で行われた取り組みや実証などの成果を共有する意味でも、非常に有用なサイトです。

「ICT地域活性化大賞」は、地域課題の解決策としてのICT利活用の普及促進を目的として、平成26年度から始まったプロジェクトです。防災・教育・少子高齢化など、地域での暮らし全般に役立つ全国各地のICTを利用した取り組みに対して、毎年「大賞」を授与しています。

「ICT(情報通信技術)」とは

そもそもICTとは、「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略です。以前まで「IT(Information Technology)」という言葉がよく使われていましたが、そこにコミュニケーションの要素を持たせた言葉がICTであり、より広義的な意味を持ちます。国際的にはITよりもICTのほうが普及しているため、最近では日本でも広く使われるようになりました。特に総務省は情報通信産業を扱う関係上、ITではなくICTのほうを使っています。

IoT(モノのインターネット)・AI・ビッグデータなどを含むICTを利活用することは、特に少子高齢化が進む日本にとっては重要であり、地域の課題の解決や地域経済の活性化に大きく役立つと期待されています。

政府が推進する「ICTによる地域活性化」

政府は、自らが掲げる「Society5.0」の実現に向け、ICTを利活用するためのさまざまな計画を打ち出しています。

Society5.0 とは、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会のことです。政府によれば、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義されています。

その実現のために不可欠なのが、5G・光ファイバーなどの次世代情報通信インフラの整備や、さまざまな分野での ICT 利活用の推進です。IoTやAIなどの最新技術によって、少子高齢化や地方の過疎化などの課題が克服され、すべての人にとって快適な社会となります。

地方活性化という面では、テレワークによる地方人口の増加や、情報の共有による都市部と同レベルの教育・医療の提供など、ICTの利活用によって都市部と地方の格差が埋まる効果が期待されています。

自治体によるICT利活用の事例

参考として、実際に自治体が行ったICTの活用事例をいくつかご紹介します。

●教育
教育分野でのICT利活用としては、クラウド利用による教育環境の整備が挙げられます。たとえば茨城県つくば市では、平成16年度からインターネット学習システム「つくばオンラインスタディ」を運用していましたが、平成28年にバージョンアップさせ、マルチデバイス化した「つくばチャレンジングスタディ(つくば教育クラウド)」としてリリース。小中学校教材7万問を収録し、家庭学習や特別支援学習に役立てられています。この事業は「21世紀型スキルを育むICT教育でみんなが住みたくなるまち」として、平成28年度の「ICT地域活性化大賞」に輝きました。

他にも、超小規模校においてクラウドTV/Web会議システムを利用した遠隔授業を実施する「小規模校のハンディキャップをIoT技術により乗り越えるグローカル人材の育成(岐阜県郡上市)」や、被災地や離島でのプログラミング教育に貢献する「THE NARAJOPLAN(奈良県奈良市ほか)」など、クラウドを活用した取り組みが各地で始まっています。

●防災
災害大国である日本においては、ICTを利用した防災システムも構築が進められています。たとえば、南海トラフ地震による被害が想定される高知県高知市と、東日本大震災の被災地である宮城県石巻市では、「リアルタイム津波浸水被害予測システム」の実証を実施。最先端の津波シミュレーション・センシング・ICTの統合によって、津波の浸水範囲と深さをリアルタイムで予測し、地震発生から早い段階で住民に確実に情報を配信するシステムが構築されました。

同じく東日本大震災の被災地である宮城県石巻市では、震災前・震災直後の写真や、復興計画のイメージをもとに、被災地の「過去~現在~未来」の街の姿が見られる「石巻津波伝承AR」アプリを開発。このアプリを活用して、公益社団法人みらいサポート石巻が被災地をガイドする「防災まちあるき」を実施し、人々に震災の追体験や復興の未来予想の機会を提供しています。

●医療・介護
少子高齢化が加速化する日本において、医療・介護分野でのICT利活用は急務です。自治体の取り組みとしては、たとえば新潟県佐渡市が電子カルテに頼らずに医療情報を自動収集し、佐渡島内の医療機関・薬局・介護施設などと双方向で情報共有する「さどひまわりネット」を構築しました。地域の患者さんの情報を全施設が共有することで、受けている治療内容や服薬中の薬などが把握でき、より安全な医療・介護サービスの提供につながっています。

他にも、タブレット端末を通して住民の健康に関する情報を取得し、データ化して要介護リスクの判定や指標の作成に役立てるシステムなど、各地で取り組みが始まっています。

ICT地域活性化サポートデスクまとめ

これまでにご紹介した教育・防災・医療・介護のほかにも、たとえば観光産業・農林水産業・地域ビジネス・子育てなど、ICTの利活用が進められている分野は多岐にわたります。こうした取り組みは地方と都市部の格差を縮小させ、人々のより安全で豊かな生活につながっていくでしょう。

しかし、こうしたICT活用の取り組みはまだ開始されて間もないだけに、まずは情報収集が必要です。地方公共団体からの相談に対してアドバイスを与えたり、希望に応じて「地域情報化アドバイザー」の派遣を行ったりするICT地域活性化サポートデスクは、各自治体のICT導入の足がかりとしての役割が期待されます。

〈参照元〉

総務省_「ICT地域活性化サポートデスク」等の開設
(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu06_02000162.html)

総務省_ICT地域活性化サポートデスク
(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/local_support/ict-support.html)

内閣府_まち・ひと・しごと創生基本方針2019について
(https://www.pref.kyoto.jp/chiikisousei/documents/190808machihito.pdf)

総務省_ICT地域活性化ポータル
(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/local_support/ict/index.html)

電子印鑑ならGMOサイン 導入自治体数No.1 電子契約で自治体DXを支援します
自治体通信 事例ライブラリー