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「i-都市再生」の推進について・実施事例【自治体事例の教科書】

「i-都市再生」の推進について・実施事例【自治体事例の教科書】

「i-都市再生」は、都市再生のシナリオに応じた将来像や効果、過去から現在までの状況や課題について、データに基づく分析、シミュレーション等を実施し、これらを可視化して都市再生に寄与する民間投資を呼び込む支援をするための基盤のことです。都市構造可視化ウェブサイトは誰でも見ることができ、使うこともできます。では、具体的な可視化の形はどのようなものでしょうか。ここでは「i-都市再生」の実施事例について見ていきましょう。

【目次】
■埼玉県さいたま市_データを地図上で見える化 新たな時代のまちづくり
■滋賀県草津市_「i-都市再生」を活用した都市構造の可視化
■大阪府大阪市_第2回 新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域検討協議会会議 議事要旨

埼玉県さいたま市_データを地図上で見える化新たな時代のまちづくり

「i-都市再生」の可視化ウェブサイトでは、都市計画やまちづくりへの活用が期待されます。具体的に見られるのは、人口の経年変化、将来予測、人口×公共交通利用圏、人口×小売販売額の経年変化、人口×災害リスクなどです。

埼玉県さいたま市では、夜間人口の経年変化について実際に可視化し、分析を行っています。
・さいたま市の夜間人口の経年変化(1975~2010年)
地域ごとに夜間人口の経年変化を数値化した立体グラフのモデルが可視化されました。そこでは、南北の鉄道沿線を中心に人口が増加していること、また、新たに開通したさいたま高速鉄道の終点である浦和美園駅周辺などでも人口の増加が見られます。この結果を分析すると、鉄道が開通・延伸したことにより都心との利便性が向上したことや、沿線で住宅地の整備が進んだことなどが考えられます。一方、見沼たんぼ周辺は大きな変化は見られず、緑地空間が保全されていることもわかりました。
・さいたま市、千葉市、横浜市の夜間人口の比較(2010年)
次に、さいたま市だけでなく、都心からのアクセスの良い千葉市、横浜市の夜間人口について同じく立体グラフで可視化が行われました。その結果、千葉市は東京都に近いエリアに人口が集積していることがわかりました。また、南側で人口が集積しているところは大規模な住宅地整備が行われたエリアでした。横浜市はさいたま市や千葉市と比べて人口が多く、鉄道や道路網が充実しているため、市内全域に人口が集積していることがわかります。地域の夜間人口を立体的に可視化したことによって、地域ごとに人口の集積の仕方に違いがあることがわかったのです。

このような可視化により、まちづくりに対する市の取り組みがスピーディーになることが考えられます。データは様々な組み合わせが可能なので、地域の強みと弱みが手に取るようにわかるという利点があるため、今まで以上に地域の特性に応じたまちづくりが可能になるのです。

滋賀県草津市_「i-都市再生」を活用した都市構造の可視化

滋賀県草津市では、都市のビジュアライゼーションを行うという形で「i-都市再生」による可視化を新たな時代を切り開く合意形成ツールと位置付けています。

地域のリモデリングという観点から、センシング、予測、実証実験、可視化、プランニングなどの分野ではICT関連技術を活用することの可能性は大きい一方、いわゆる「まちづくり」においては、合意形成プロセスで「人(の気持ち)を動かす」ことがカギであることとの整合性をとることが必要だと考えられていました。そして、「i-都市再生」による可視化については、試行錯誤を重ねながら「共感」を得るという「まちづくり」のプロセスと、ICT関連技術をどう融合させるのか、技術革新と有効性を実感できる社会実装の取組に期待しているとしています。

都市構造の可視化によって見えてきた課題としては、生産年齢人口の減少・高齢者の増加、経済活力の低下、地域コミュニティの弱体化、技術の継承が困難、社会資本の維持が困難、オールドタウン化、ゴーストタウン化といったものがあります。

今後の滋賀県草津市の取り組みとしては、人口減少下でのまちづくりのあり方を議論し、まちづくりの基本方針を検討することが予定されています。また「コンパクト・プラス・ネットワーク」の形成を軸として誰もが暮らしやすいまちづくりを目指すための考え方を県内市町に提示する方向性を検討しているとのことです。ICT技術の活用については予算の制約があるものの、活用を期待しながら検討を進めたいとしています。

大阪府大阪市_第2回 新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域検討協議会会議 議事要旨

大阪府大阪市では、令和元年9月に第2回新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域検討協議会会議を開催しました。大阪は、東京オリンピック・パラリンピック後、2025年に大阪万博が控えているので、大阪は日本経済を動かす原動力となる位置づけです。

会議の中で「i-都市再生」による可視化につながる点として、様々な意見が出されています。代表的なものを以下で紹介していきましょう。

・大阪・関西万博の構想立案に携わる中で、「サイバー空間」や「フィジカル空間」を融合するという表現を使っている。Society5.0をめぐる議論で使われている概念や内容を入れていく必要があるのではないかという意見がありました。また、大阪・関西万博では世界と共創していく(co-creation)というコンセプトが盛り込まれており、次の時代のリアルな人の交流に加えて、サイバー・フィジカルを融合する場というような概念を展開することが提案されました。

・今後のまちづくりの検討を具体化するにあたり、交通結節機能を前提として、人・もの・金・情報の対流を促す国際的モデルとなるような機能導入が検討されるべきであるとともに、エリアの活性化を成功するためには、交通インフラのさらなる充実が不可欠であるとされています。北陸新幹線やリニア中央新幹線を想定した新大阪駅そのものの機能強化に加えて、バスターミナルの充実や新御堂筋との接続といった具体的な交通インフラ整備のあり方や課題が検討される必要があるとの分析がなされました。

・今後自動運転が確実に実装されてくる中で、駅前広場の使われ方が変わってくることが想定されるところ、最も地価の高い駅前に駐車場やタクシープールがあるという現状があることが指摘されました。乗降空間や人が集える空間は必要ですが、空間が変わると想定されること、今後未来技術が進展して都市づくりにも影響を及ぼすと想定されるので、柔軟性の高い計画をビルトインする視点も重要だという意見がありました。

・特に交通結節機能の強化、それに向けた新技術の導入、それに伴う広場や空間の在り方などは、今後の将来像をとりまとめていくうえでも重要な視点なので、今後の位置づけを新しい技術とともに考えていく必要性があるという指摘がありました。

新大阪駅周辺については大阪の交通の要衝であることから、人・もの・カネを集めるためにも新たな取り組みが必要であることが明らかとなっています。

〈参照元〉

埼玉県さいたま市_データを地図上で見える化新たな時代のまちづくり
(https://www.city.saitama.jp/001/010/011/002/002/p062756_d/fil/p9-10.pdf)

滋賀県草津市_「i-都市再生」を活用した都市構造の可視化
(https://www.city.kusatsu.shiga.jp/shisei/sisetsuannai/community/UDCBK/school/5th
school.files/7-7.pdf
)

大阪府大阪市_第2回 新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域検討協議会会議議事要旨
(https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/cmsfiles/contents/0000483/483285/00gijiyoshi.pdf)

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