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水力発電事業について・実施事例【自治体事例の教科書】

2020/07/17

水力発電事業について・実施事例【自治体事例の教科書】

水のエネルギーを利用して発電する水力発電は古くから行われている発電方法です。日本にある水力発電所は大規模なものから、中小水力発電まで、さまざまな規模の発電所があります。ここでは日本の水力発電事業の傾向などについて、実施事例を交えながら紹介します。

【目次】
■日本の水力発電の規模について
■水力発電事業の実施事例

日本の水力発電の規模について

日本で初めて水力発電の運転が始まったのは、明治20年代といわれています。当時建設されたのは蹴上発電所(京都府京都市)や三居沢発電所(宮城県仙台市)で、これらの発電所は現在も稼働しています。長期にわたり電気をつくり続けることが可能な水力発電は、自然の資源を利用したクリーンなエネルギーであり、将来も重要な電気供給源として活躍が期待される、再生可能エネルギーです。

・大規模水力発電の現状

日本の水力発電は、大規模な施設に支えられてきました。従来の方法は、ダムを建設して大量の水を確保、それを利用して発電します。大規模な水力発電所の中には、100万kW以上の出力が可能なものもあります。大規模な水力発電は、大量の電気を確保できるというメリットがありますが、大型ダムを建造するには場所が限られるほか、建設費用がネックとなり、新たな設置が難しくなっています。

経済産業省と資源エネルギー庁が2014年に策定した「エネルギー基本計画」では、既存のダムや発電施設の出力を上げたり、発電効率を高めたりすることを掲げました。経済産業省では、基本計画を進めることで、2030年までに水力発電所の出力が904億kWhに達すると見込んでいます。

・中小水力へのシフト

日本の水力発電事業の現状を見ると、大規模な発電から3万kW未満の中小規模の水力発電所の開発が増えています。

国内には、中小水力発電所が建設可能な立地が数多くあります。また、中小河川の流水や農業用水などの水資源を利用できることから、中小規模の水力発電事業は伸びしろがあるといえるでしょう。

経済産業省・資源エネルギー庁は、中小水力を固定価格買取制度(FIT制度)の対象とし、売電を許可しています。こうした制度も後押しとなり、順調に電気量を伸ばしている中小水力発電は、将来の重要な供給源として期待されています。

水力発電事業の実施事例

全国の水力発電事業は、地理的特性や、これまでの水力発電事業の展開などによってバラツキがあります。ほとんどの自治体では、大規模な水力発電事業から中小規模に移行していますが、その取り組み方は千差万別です。

・事例1:多様な規模のダムが点在する黒部市の新たな取り組み(富山県)

富山県黒部市には、日本一の高さを誇るアーチ式の黒部ダムがあります。黒部ダムは、1963年に完成した水力発電専用ダムで、ダムに貯められた水は、トンネルを通って下流に位置する黒部川第四発電所に送られます。ダムと発電所の落差を利用して発電されますが、黒部川第四発電所を所有する関西電力株式会社によりますと、発電所の最大出力は、33万kW以上になります。

黒部川第四発電所を含め、複数の発電所が点在している黒部市では小規模の水力発電所の建設にも取り組んでいます。宮野用水発電所は、2012年4月より運転を開始した、小水力発電所です。農業用水を活用し、最大出力は780kWになります。年間の可能発電電力量は約530万kWhで、これは約1,260世帯分の年間消費電力量に相当します。

2017年に稼働した黒瀬川発電所は、黒瀬川から取水し、最大出力は180kWで、宮野用水発電所より小規模の発電所です。珍しい横掻式除塵装置を設置しており、宇奈月温泉駅の隣という立地条件から、併設された展示室は、観光施設としての特徴も持っています。

大中小さまざまな規模の水力発電所が点在する黒部市は、小水力発電所の売電で得た収益は、農業振興に充てるなど地域活性化につなげています。

・事例2:地域の特性を活かした中小水力発電への取り組み(長野県伊那市)

「伊那市二酸化炭素排出抑制計画」を2016年に策定した伊那市では、同計画の一環として小水力発電事業に取り組んでいます。

市は伊那市小水力発電研究会とワーキンググループを発足させ、小水力発電所を建設するのに適した場所の調査などを実施。研究会とワーキンググループが共同で作成した報告書では、小水力発電に適した候補地を複数挙げ、売電による利益の試算などを参考に、多角的な視点から事業化可能かどうか検討しています。

新規事業に加え、既存の設備を見直し、発電量を増やす取り組みも活発です。高遠さくら発電所(出力199kW)は、発電に高遠ダムの維持放流水を利用しているほか、美和土地改良区発電所(出力12.2kW)では、農業用水を利用した小水力発電を展開しています。

1つの発電所が発電する電力は少ないものの、総合すると供給するのに十分な電気量になります。クリーンなエネルギーを、環境負荷が少ない方法で生産するシステムが、伊那市には整いつつあります。

・事例3:小水力発電を積極的に展開(静岡県富士宮市)

富士宮市は、以前から小水力発電事業を推進してきた自治体の1つです。富士宮の小水力発電を支えるのは芝川・潤井川を水源とする用水路などで、市内には数多くの小水力発電所が点在しています。富士宮市は自らを「日本一小水力発電のまち」と称しており、市内には16ヵ所の小水力発電所があります。

2019年に稼働した4ヵ所の小水力発電所は、水量が安定している北山用水から取水しています。富士宮市の小水力発電事業は、自然環境を活かした取り組みだと言えます。

【参考文献】

経済産業省・資源エネルギー庁「水力発電は安定供給性にすぐれた再生可能エネルギー」
(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/suiryokuhatuden.html)

関西電力株式会社「関西電力の水力発電所」
(https://www.kepco.co.jp/energy_supply/energy/newenergy/water/plant/index.html)

黒部市「黒部市の小水力発電事業について」
(https://www.city.kurobe.toyama.jp/category/page.aspx?servno=8264)

伊那市「小水力発電報書」
(https://www.inacity.jp/kurashi/kankyo_keikan/energy/workinggroup.files/
workinggroup01.pdf
)

伊那市「小水力発電の取り組みについて」
(https://www.inacity.jp/smph/kurashi/kankyo_keikan/energy/174seid20190212.html)

富士宮市「小水力発電富士宮日本一のひみつ」
(http://www.fujinomiyalib.jp/images/upload/bookchan.28-2.pdf;jsessionid=B7EFBDD1FDB4B4780F954EA54D67C125)

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