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【語句解説】放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)とは?

【語句解説】放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)とは?

現在、子どもが外で遊ぶことが減り、子ども同士の関わりが減ってきています。
遊び場も減り、スマホやゲームに夢中になり外で遊ぶ子どもが減っているのです。
また、子どもが一人で外で遊んだ際に事件に巻き込まれることも少なくありません。
そのようなときに重要なのが放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)です。
今回は放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の内容を詳しく説明していきます。


【目次】
■事業概要
■事業内容

事業概要

放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)は児童福祉法第6条の3第2項の規定に基づき、市区町村の主導のもと公営または民営の団体に委託して実施される事業です。
利用対象は小学校に就学している児童で、保護者が就労などの事情で学校の授業が終わった後や夏休みなどの長期休業中に家庭にいない児童に、小学校の余裕教室や児童館などを利用して、大人の見守りのもとで安心して遊びや学び、活動の場を与えることを目的としています。
厚生労働省の調査に基づく平成30年5月1日時点での設置状況は、全国25,328ヶ所に及び、登録児童数は1,234,366人もいます。
放課後児童クラブの運営主体を見ると公営が8,740ヶ所、民営が16,588ヶ所です。
設置・運営主体は市町村、社会福祉法人、保護者会、運営委員会、その他の者です。
実施場所は学校の余裕教室、学校敷地内の専用施設、児童館などが活用されます。
この基本原則をもとに、地域によって実情に合わせて運用がなされる事業です。
学校の空き教室を利用し、NPO法人が運営を行うケースもあれば、地域の子ども会が子どもたちの見守りを行っている例もあります。
地域によって民間団体の活動が活発なところもあれば、地域の無償・有償ボランティアの担い手の支援で成り立っている地域も少なくありません。
1つの自治体の中でも、市街地や郊外で実情が異なる他、地域住民の特性によっても支援体制が異なってきます。
市の中心部などは民間の自治体などが活動拠点としやすい反面、共働き世帯が多く保護者や地域の支援が得られにくいこともあります。
一方、郊外では民間団体による提供がない場合に、地域の高齢者や子育てを終えた人たちの支援が受けられる場合も多いものです。
また、放課後児童クラブが設置できない地域について、自治体が呼び掛けを行い、地域の保護者が声をあげることで、地域の有志がNPOを立ち上げるなどして放課後児童クラブを運営してくれるケースもあります。
自治体が子ども・子育て支援事業計画における量の見込みの調査や算出、市民や保護者に対するアンケート調査などの結果を通じて、利用ニーズを把握するとともに、各地域や校区ごとの運営状態の把握や実態の調査に努め、不足している地域や校区については、各種団体や地域の支援者に働きかけを行っていくことが必要になります。

事業内容

放課後児童クラブは小学校に通う児童たちが、家庭の保護者が仕事などの事情で留守をしている間も安心して過ごせる場所を提供することを目的としています。
運営スタッフである地域に住んでいる大人の見守りのもとで、自由に遊んだり、宿題をしたり、他の子どもたちとの遊びやゲーム、スポーツ活動や文化活動などをしながら過ごす場です。
児童福祉法等に定める事業内容は以下の通りです。

・放課後における児童の安全管理と健康管理を行いながら、健全な成長をサポートするための情緒の安定を図ります。
親や家族がおらずに1人で過ごすことになれば、犯罪や災害などのトラブルに巻き込まれるリスクや1人で遊んでいて交通事故などに遭うリスクも高まります。
孤独を感じることや愛情不足は精神的に不安定な状況を招き、万引きなどの補導事案につながることも少なくありません。
こうした状況を防止し、児童が地域に住んでいる大人の見守りのもとで健やかな成長を図ることを目指します。

・遊びの活動への意欲と積極的な活動の情勢を図ります。
自宅に帰って親も兄弟姉妹もおらず、1人で過ごすことになれば、スマホをいじる、ゲームをする、テレビを見るなど自分の世界に閉じこもりがちになります。
子どもの本分でもある遊びへの意欲を促し、他の児童との交流をはじめ、自分で自由な遊びを考案しながら、意欲的に遊べる環境を整えることも事業の狙いです。

・遊びを通しての自主性や社会性、創造性を培うことも事業の大切な目的の一つです。
勉強だけでなく、遊びを通じて子どもは友達との接し方や地域の大人との関わり合いを学ぶことが可能です。
放課後児童クラブは学齢も異なる子どもたちが揃うため、学校の授業での活動や遊び以外の幅広い仲間との接し方やコミュニケーション力も身に付きます。
鬼ごっこや縄跳び、その他のスポーツやゲームにおいても、一定のルールがあり、それを守りながら楽しく遊ぶことを通じて社会性も身に付けることができます。
人数が足りないからと新しいルールを編み出すことやその場でできる遊びを考え出すなど創造性も養うことにつながるのです。
自主性、社会性、創造性はこれからの人生を営んでいくうえで、子どもたちにとって重要な財産となり、欠かせない能力です。

・大人の見守りを通じて児童の遊びの状況把握や家庭への連絡の役割も担うことができます。
放課後に自宅にて1人で過ごしている場合や、知らない場所で友達と遊んでいるのでは、保護者や家族は自分たちが留守の間、どのような過ごし方をしているのかを把握できません。
自宅で宿題をしていると思っていたらスマホに没頭していたり、友達と仲良く遊んでいると思っていたら、道徳に反した行動をしていたり、友達にいじめられていた、またはいじめに参画していたといった実例もあります。
放課後児童クラブで過ごすことで、常に大人の目が届き、見守られているため、適切な遊びや学びが可能となります。
さらにその状況を保護者等に伝えることができるので、保護者は子どもたちの様子を一緒に過ごせなくても知ることができるのもメリットです。

・家庭や地域での遊びの環境づくりをサポートすることにつながります。
近年は核家族化により一人っ子の家庭や少子化で地域に子どもが少なく、塾や習い事が多い子どもも多いため、遊びたくても遊べないというケースも少なくありません。
放課後児童クラブを利用することで、遊べる場の提供ができます。
放課後児童クラブは毎日利用する方もいれば、塾や習い事がない時だけというケースもあります。
放課後にすることがない、一緒に過ごす家族や友達がいない時に、放課後児童クラブに行けば、遊ぶ仲間や一緒に遊んでくれる大人がいるのがメリットです。

・放課後児童の健全育成上必要な活動を実施することも事業内容の一つです。
放課後児童クラブで行う活動内容は法律上の一定の取り決めはなく、各自治体や各運営団体が主導となって行います。
子どもたちを自由に遊ばせて見守ることをメインにしているところもあれば、地域の高齢者などが昔の遊びを教え、各種団体の支援を通じて、日頃はできない珍しいスポーツ活動や伝統芸能などに取り組む事例もあります。
地域の高齢者が囲碁や将棋、折り紙を教え、各種団体やボランティアなどがラグビーやチアダンス、一輪車などを教えるケース、和太鼓や琴、三味線や茶道など伝統的なたしなみに触れる機会も設ける放課後児童クラブも少なくありません。
近隣の農園などのサポートを得て、野菜づくりにチャレンジしたり、田植えや収穫体験を行ったり、学校の調理室で料理教室を開催するなど、多様な取り組みが可能です。
運営の担い手や地域の実情によって、でき得ることは異なりますが、地域で次世代を担う子どもを心身ともに健全に成長させることを合言葉に、支援の輪が広がるよう、自治体が中心となって広報活動や積極的な取り組みを促すことが期待されている事業です。

<参照元>
厚生労働省_放課後児童健全育成事業について_(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000027098.html)
厚生労働省_子ども・子育て支援_(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/kosodate/index.html)

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