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開かれた議会について・実施事例【自治体事例の教科書】

開かれた議会について・実施事例【自治体事例の教科書】

我が国では人口が減少している昨今においても東京への一極集中化が進んでおり、それを防ぐ目的で政府では地方創生を掲げましたが、その効果には限界が出始めているのが現状です。そこで、政府では地方における「開かれた議会」を基盤として、各自治体が能動的な発展を遂げられるよう、新たな改革に着手しています。ここでは、地方における「開かれた議会」の実施事例について具体的に見ていきましょう。

【目次】
■滋賀県大津市_大津市議会だより
■新潟県上越市_議会改革度ランキング市区議会で全国9位
■栃木県那須塩原市_平成31(2019)年度那須塩原市議会取組実行計画(概要版)
■京都府福知山市_福知山市ホームページ
■内閣府_鳥羽市市民に開かれた議会

滋賀県大津市_大津市議会だより

早稲田大学マニフェスト研究所では議会改革度調査を行っており、議会が果たすべき役割として「情報共有(政務活動費の公開、HPやSNSの活用など)」「住民参加(傍聴のしやすさ、住民意見の聴取など)」「議会機能強化(議会本来の権限・能力を発揮するための機能強化状況など)」それぞれの改革度合を数値化し、ランキングを出しています。

滋賀県大津市は、2015年度の議会改革度調査で総合で全国2位に選ばれました。全自治体の81.7%にあたる1,460議会が回答しており、大津市議会は「情報共有」で第3位、「住民参加」で第30位、「議会機能強化」は第1位となり、総合で全国の地方議会中第2位となったのです。過去3年間の推移は116位→59位→18位だったので、着実にランクアップしていることがわかります。

特に高く評価されたのは、以下の3点です。
・地方議会初の議会版実行計画(議会ミッションロードマップ)
・ICTを活用した戦略的な広報
・地方議会初の大学図書館との連携(龍谷大学図書館)

また、中核市議会議長会が主催する第11回議会報コンクールにおいて、47の中核市の議会広報紙の中から「おおつ市議会だより」が最優秀賞を受賞しており、今後も市民に分かりやすく読みやすい紙面づくりと積極的な情報発信を目指すとしています。

新潟県上越市_議会改革度ランキング市区議会で全国9位

新潟県上越市は、2018年度の早稲田大学マニフェスト研究所による議会改革度調査で全国の市区議会の中で9位にランクインしました。前年の7位に引き続き、高い評価を得ています。分野別に見ると機能強化の分野で第16位、住民参加の分野で第6位、情報共有の分野で第16位という結果です。

また、1998年から実施している議会報告会・意見交換会など、市民参加の仕組みが高く評価されています。市議を目指しやすい環境整備に向けて、改革案を作成する際に行った市民との意見交換の際にホワイトボードミーティングの手法を取り入れ、議論の活性化と効率化を図ったことなども評価されました。

近年の取り組みとしては、議会報告会・意見交換会は年8会場で実施していることや、各層との意見交換会を開始したこと、小中学生の議会学習の実施などが挙げられます。

今後の取り組みとして、上越市では議会モニター制度の導入を検討中です。市民との情報共有を推進するために、まずは市民の関心事、ニーズを把握することが必要だと考えています。そこで、市民意見を聴取し、情報共有に活用する新たな仕組みとして「議会モニター制度」の導入に向けた研究を進めているのです。アンケート調査を実施し、幅広い市意見の聴取と議会活動に対する関心心を高めてもらうための取り組みを行うこととしています。その後アンケート結果を検証し、特定の市民をコアモニターとして委嘱して議会の会議等を継続的にモニタリングしてもらい、その意見を議会活動に反映するための制度を想定しているということです。

栃木県那須塩原市_平成31(2019)年度那須塩原市議会取組実行計画(概要版)

栃木県那須塩原市議会は、議会の最高規範として制定した議会基本条例に基づき「市民の負託にこたえる議会」の実現に向けて「議会の見える化」「開かれた議会」「議会改革」の活動を通じて、市民意見の市政反映に取り組んできました。

一方、議会を含め市政全般に対する市民意見の把握や政策の提言・立案へと繋げていく仕組みや取り組みが十分でないことなど「議会活動全体のアウトカム」に関する課題が明らかになり、対応が取りまとめられました。

対応としては、具体的な活動内容と目標、取組によってもたらされる市民への効果(アウトカム)を明らかにして「市民の負託にこたえる議会」の実現を確かなものとするため、活動の羅針盤として「取組実行計画」を策定しています。

取組実行計画としては、市民に開かれた議会に向けて「市民への情報公開と情報共有」「多様な市民意見の把握」「自由かっ達な討議とプロセスの明確化」を取組項目に挙げています。併せて、議員の公平性・透明性、議会の体制の強化も重点項目とされました。

京都府福知山市_福知山市ホームページ

京都府福知山市は、2015年度の早稲田大学マニフェスト研究所による議会改革度調査で全国の市区議会中10位にランクインしました。前年の27位から躍進しています。京都府市町村の中では1位です。分野別に見ると、機能強化の分野で第25位、住民参加の分野で第9位、情報共有の分野で第33位、いう結果です。

京都府福知山市ではホームページで「議会の活性化と議会改革の取り組み紹介~開かれた議会を目指して~」として、議会改革について報告しています。

具体的な項目としては以下のような内容です。
・議会基本条例制定について
3つの柱として「情報公開の推進」「市民参加の推進」「議会の機能強化(議会の活性化)を挙げています。

・議会改革検討会議の取り組み
議会基本条例に基づく議会活動の点検、検証を行い、議員からの提案、提言を検討しました。そこで具体的に取り組まれたのが議会基本条例(解説)の作成、災害等発生時の議会対応要領の策定、常任委員会のあり方、自由討議実施要領の策定、議会のICT化の検討、高校生議会の開催などです。

・議会基本条例制定の市民への周知
開かれた議会を実現するために、条例を作って終わるのではなく、議会だよりに告知掲載、市議会ホームページに告知掲載、報道への広報、開催案内を自治会確保に配布するなどの方策を採っています。

その他、議会改革講演会によって議員と市民がパネルディスカッションを行う、議長の議会広報活動、出張委員会の実施、議員研修の充実、委員会審査等ライブ中継・録画配信の導入などについても公表しています。

内閣府_鳥羽市市民に開かれた議会

三重県鳥羽市議会では、2007年の議員改選以降、市民に開かれた議会とするため、議会報告会の開催、議会基本条例などの制定などの議会改革や、全国初となるツイッター導入、議会のインターネット中継など、ICTによる情報発信を推進しています。

議会報告会は、毎年度約30回開催し、約600人が参加しています。市民からは議会報告会や意見交換会はいいことなので、回数を多くして各地でやってほしいという要望が出ています。

注目されるICTを活用した情報発信については、議会状況をインターネット中継を行うほか、ツイッターで議会開催情報を発信しています。特にツイッターについては一度フォローすると情報を受け取り続けることができ、リツイートによる情報拡散機能もあるので、利用者・議会関係者双方にとって便利なツールとなっています。議会の運営についても多くの議員が議会にパソコンやタブレット端末を持ち込み、スライドや写真を使って質問を行い、それをインターネット中継することで市民に分かりやすい情報発信を目指しているとのことです。

市民からも「議会は市だけでなく、国や世界にも中継されているということを考えて発信すべき」といった意見が寄せられているほか、ツイッターのフォロワーが着実に増加するなど、議会の活性化につながっています。

〈参照元〉

滋賀県大津市_大津市議会だより
(https://www.city.otsu.lg.jp/material/files/group/129/48480377.pdf)

新潟県上越市_議会改革度ランキング市区議会で全国9位
(https://www.city.joetsu.niigata.jp/uploaded/attachment/150168.pdf)

栃木県那須塩原市_平成31(2019)年度那須塩原市議会取組実行計画(概要版)
(http://www.city.nasushiobara.lg.jp/34/documents/torikumi.pdf)

京都府福知山市_福知山市ホームページ
(https://www.city.fukuchiyama.lg.jp/site/shigikai/3072.html)

内閣府_鳥羽市市民に開かれた議会
(https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/doc/honbu06shiryou03_32.pdf)

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