全国の自治体トップ・職員・議員に贈る
自治体の"経営力"を上げる情報サイト
自治体通信Online
開かれた議会について【自治体事例の教科書】

2020/06/24

開かれた議会について【自治体事例の教科書】

我が国では東京への一極集中化がかねてから進んでおり、人口が減少している昨今においても東京の人口は増加の一途を辿っています。それを防ぐ目的で政府では地方創生を図りましたが、その効果には限界が出始めているといっても過言ではありません。このことを顧み、政府では地方における「開かれた議会」を基盤として、各々の自治体が能動的な発展を遂げられるよう新たな改革に着手しています。ここでは、地方における「開かれた議会」のために内閣府や総務省が行っている取り組みについて見ていきましょう。

【目次】
■内閣府_個性を活かし自立した地方をつくる~地方分権改革の総括と展望~
■総務省_地方議会について
■総務省_町村議会の現状と抱える課題
■総務省_地方議会活性化シンポジウム2019
■総務省_町村議会のあり方に関する研究会報告書

内閣府_個性を活かし自立した地方をつくる~地方分権改革の総括と展望~

内閣府では平成26年に地方分権改革有識者会議を実施し、「個性を活かし自立した地方をつくる」ための意見交換を行いました。この会議では、地方自治体が国へ主従する関係ではなく、国と地方自治体が対等な関係を結びながら国全体としての発展や国際社会における競争力の強化などを実現することを目的として、これまでの改革を総括しました。

そもそもここで総括された改革とは、平成7年から実施された第1次~第4次までの地方分権改革のことを指します。これらの改革では、地方における分権意識の向上や地域における自主性の確立を主な目的とし、これらは「地方分権一括法」の成立などの具体的な成果を生み出しました。

一方で、これらの地方分権改革の開始から20年が経過した平成26年には、地方自治体だけでなく国を取り巻く環境も大きく変化しています。そして、それらに対応するという意味でも新たな改革が必要であるとの意見が挙がりました。そのような意見に呼応する形で開催された地方分権改革有識者会議では、将来を見据えた地方における改革のあり方に関する議論も活発に行われています。

この議論では、地方が自立することだけでなく各々の地方が個性を活かした発展を遂げることが重要であるとの結論が導き出されたのです。これらは今日の地方自治体のあり方について考える際の基盤にもなっています。

総務省_地方議会について

「個性を活かし自立した地方をつくる」ためには、その議論が交わされる場となる地方議会の活性化が不可欠です。また、それと同時に各々の地方自治体が個性を活かしながら自立するためには、そこに住む人たちがこの理念をよく理解し、市民レベルでも議論が交わされることが望ましいといえるでしょう。

しかしながら、地方自治体のなかには急激な人口の減少や急速な高齢化による「議員のなり手不足」が顕著化しているところも珍しくありません。この問題はさらなる地方改革を進める上でも早急に解決しなければならない問題となりました。

この問題に対しては総務省が調査を行い、地方自治体では以下の要因から正常に地方議会が開催できなくなっている事例が多くなっていることが判明しました。その結果、それぞれを是正するための法改正などが実施されました。

・時間的な要因
かつての地方議会では年間をとおして定例会や臨時会だけでなく、予算特別委員会や決算特別委員会なども行わなければならず、時間的な余裕がほとんどありませんでした。このことを顧み、平成24年には地方自治法が改正され、時間的余裕を持った地方議会の運営が可能となったのです。

・経済的な要因
個々の議員の経済的な理由から地方議会で議論をすることに限界が生じているケースもあったことから、「政務調査費」を「政務活動費」に改称し、より多くの用途で使用できるよう地方自治法が改正されました。

総務省_町村議会の現状と抱える課題

地方議会については地方自治体全体を一括りにして考えるのが一般的でした。近年では市と町村の格差が顕著になりつつあり、それぞれの議会は別物としてとらえる必要があるとの考え方も提唱されています。

この原因としては、俗にいわれる「平成の大合併」により大規模になった市が多い反面、合併をしなかった町村は自治体としての規模が小さいまま孤立したような状態になってしまっていることが挙げられるのです。

このことから、町村で行われている地方議会では町村ならではの問題も表面化しており、総務省ではその具体例として以下のことを挙げています。

・議員の年齢・男女比の問題
令和元年に実施された調査では町村議員の平均年齢は64.2歳で、全議員の8割以上を60歳以上の人が占めています。また、女性議員の割合は全体の1割程度となっており、多様な意見を取り入れる必要がある地方議会において、これらのことは早急に解決しなければならない問題です。

・政務活動費の問題
政務活動費を交付していない町村は全町村の79.6%におよび、金銭的な問題が個々の議員活動に影響をおよぼしている例も少なくありません。また、1議員あたりの平均交付額は月額9,465円となっており、交付が行われている自治体でも同様の問題が表出していることがあります。

・事務局職員の不足
町村議会の事務局職員の平均人数は、1議会あたり2.5人となっています。このうち、別の職務を兼任している職員は1.6人におよぶため、議員以外の人材が不足していることが正常な議会運営に影響を及ぼしているケースも珍しくありません。

・選挙に関する問題
町村議員選挙では候補者の競争率が1.13倍と極めて低いだけでなく、投票率の低下にも歯止めがかからない状況にあるという問題が生じています。このことは、地方議会を基盤に置いた地方改革においても大きな足かせとなっているのです。

総務省_地方議会活性化シンポジウム2019

以上のような地方議会の活性化の足枷となっている諸問題を解決する目的として、総務省では令和元年11月に「地方議会活性化シンポジウム」を開催しました。地方自治体の議員などを招いて行われたこのシンポジウムでは、「多様ななり手の確保」や「住民に身近で頼られる議会の実現」の2点を論点として議論が交わされ、以下のような問題が指摘されています。

・なり手不足の根本的な原因とその解決策
地方議会においては個人資産に頼った選挙への出馬が常態化しているため、そもそも経済力のある人しか議員になることができないという問題もあります。また、地方では農業や林業などの特定の業種に従事する人だけが多くの収入を得ていたり、議員は男性がなるものといった固定観念が根強く残っていたりすることから、「議員のステレオタイプ化」も顕著になっています。

地方議員のなり手不足にはこのような根本的な問題が大きく関与しており、同シンポジウムではこれらの問題を地方議会の活性化を推進する上で早急に解決しなければならない問題と位置づけました。

・選挙制度の問題
同シンポジウムでは、地方自治体には議員になることで現職を辞めたり休職したりしなければならないという問題があり、これらの制度上のリスクが選挙への立候補を阻んでいることも指摘されました。

また、地方選挙では1名だけを選出する「1人区」が多いこともあり、特定の属性の議員ばかりが多くなってしまうことも地方議会の活性化を停滞させている原因として指摘されています。

総務省_町村議会のあり方に関する研究会報告書

平成30年3月に「町村議会のあり方に関する研究会」が発表した報告書でも、町村議会ならではの問題として、なり手不足の問題や制度上の問題が指摘されました。その上で同報告書では、持続可能な町村議会を実現するための取り組みとして以下のことを提案しています。

・住民参画の仕組みの整備
同報告書では、より多くの住民による議会への参画が課題となる町村において「議会参画員」を選出するという対策を提唱しています。この議会参画員は議会からの要請があった際に議員と共に議論へ参加でき、議決権などを与えないことなどによって議員との差別化も図っているのです。

・公務員の立候補における支障の緩和
公務員は民間企業へ勤める人以上に選挙への立候補が難しく、より多くの人に町村議会へ参加してもらうためには公務員の立候補における支障を緩和する必要があるということも、同報告書では指摘されています。

また、この問題への対策としては、公務員が議員に選出されたことで退職した場合に将来的な復職を可能にする制度の制定などが提案されているのです。

・議決事件の限定と請負禁止の緩和の仕組み
町村議会では限られた議員数で多くの議決事件に対応しなければならないという現状があり、同報告書では議決事件を限定することの有効性についても指摘がされています。

また、現状では禁止されている議員への請負の緩和と、それに伴う請負情報公表の義務化に関しても同報告書では提案されており、今後も幅広く議論が行われていくことが期待されています。

〈参照元〉

内閣府_個性を活かし自立した地方をつくる~地方分権改革の総括と展望~
(https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/doc/260624_soukatsutotenbou-honbun.pdf)

総務省_地方議会について(関係資料集2)
(https://www.soumu.go.jp/main_content/000667306.pdf)

総務省_町村議会の現状と抱える課題
(https://www.soumu.go.jp/main_content/000642041.pdf)

総務省_地方議会活性化シンポジウム2019
(https://www.soumu.go.jp/main_content/000657771.pdf)

総務省_町村議会のあり方に関する研究会報告書
(https://www.soumu.go.jp/main_content/000540724.pdf)

自治体向けサービスカタログ一覧まとめました。
自治体通信メール版

「自治体通信オンライン」の最新記事や、イベント情報などをいち早くお届けします。

※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。

【特別号】~いま注目のRPAを読み解く~
新形コロナウイルス感染症対策
[PR]

自治体の取り組みを探す

課題から探す
地域から探す

自治体通信

自治体通信

自治体通信は経営感覚をもって課題解決に取り組む自治体とそれをサポートする民間企業を紹介する情報誌です。
自治体関係者の方に無料配布しております。

自治体通信への取材希望の方

自治体通信編集部では、「自治体の"経営力"を上げる」というテーマのもと紙面に登場いただける自治体関係者・自治体支援企業の方を募集しております。

取材のご依頼はこちら
地域別ケーススタディ
課題別ケーススタディ
【特別号】~いま注目のRPAを読み解く~
新形コロナウイルス感染症対策
pagetop