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ヒートアイランド対策における自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

2019/6/17

ヒートアイランド対策における自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

地球温暖化の影響や人工排熱の増加などにより、都市部の気温が上昇するヒートアイランド現象が全国で深刻化しています。生活上の不快や熱中症等の健康被害の拡大を食い止めようと、多くの自治体がヒートアイランド対策に取り組んでいます。独自の工夫などを行っている事例などを通じて、効果のあるヒートアイランド対策のポイントを探りました。

【目次】
■ヒートアイランド対策とは
■事例①【リーディングプロジェクト】東京都
■事例②【民間から公募】大阪府
■事例③【モデル住宅街に補助】埼玉県

ヒートアイランド対策とは

地球全体の平均気温が過去100年で約0.7℃上昇しているのに対し(統計期間:1906~2005年)、東京、名古屋など日本の大都市においては、年平均気温が100年あたり2~3℃の割合で上昇しており(統計期間:1931~2010年)、大都市では、地球の温暖化の傾向に都市化の影響が加わり、気温の上昇が顕著になっています。

ヒートアイランド現象の原因としては、
①空調システム、電気機器、燃焼機器、自動車などの人間活動より排出される人工排熱の増加
②郊外における水田や都市において暑熱環境を改善してきた緑地、水面の減少と建築物・舗装面の増大による地表面の人工化、
③密集した建築物により、風通しが阻害され、天空率が低下する都市形態の高密度化
などが挙げられています。

ヒートアイランド現象に伴う昼間の高温化や熱帯夜の出現日数の増加により、毎年、多く人命が熱中症で亡くなり、高齢者や子どもを中心に多くの人が救急搬送されています。住民の暮らしの安全・安心を脅かすほど、深刻な問題になっていることは周知のとおりです。そのため、地域性などを考慮したヒートアイランド対策に乗り出す自治体が増えています。

ヒートアイランド現象は、長期間にわたって累積してきた都市化全体と深く結びついており、これまでに多岐にわたる施策が実施されたものの、施策の効果として都市部の気温が明らかに低下するまでには至っていません。このため、ヒートアイランド現象を緩和する対策も長期的なものとならざるを得ません。

そのため、環境省の「ヒートアイランド対策大綱」では、「対策の成果が現れにくい点を考慮しつつ、実行可能なものを継続的に対策を進めていくとともに、短期的に効果の現れやすい暑熱環境による人への影響を軽減する適応策も併せて実施していくことが重要」としています。

次に、独自の工夫を行っているヒートアイランド対策を紹介します。

事例①【リーディングプロジェクト】東京都

東京都はヒートアイランド対策を都の施策として位置付け、平成15年に「ヒートアイランド対策取組方針」を策定しました。

それまでも都は公共施設を中心とした率先事業や各種制度の実施により、保水性舗装・屋上緑化・校庭芝生化等の各種対策を推進してきましたが、ヒートアイランド対策は幅広い主体により取り組む課題であることから、同方針で民間建築物における対策の推進を促すことにしました。

都区部における人工排熱や地表面被覆等が大気へ与える影響を分析し、ヒートアイランド現象の要因から10種類の地域に分類し、その分布を500mメッシュで地図上に示した「熱環境マップ」、熱環境マップ上の業務集積地域及び住宅密集地域から、相対的に熱負荷の高い課題地域を抽出し、その地域特性を踏まえた対策メニューを設定した「東京モデル(地域特性別対策メニュー)」、建物用途別に実施可能な対策メニューをビジュアルにわかりやすく示した「建物用途別の対策メニュー」を“ヒートアイランド対策ガイドライン”として取りまとめ、建築主・設計者等に同ガイドラインを活用を呼びかけています。

また、都ではヒートアイランド対策技術の普及啓発、技術開発の促進を図るため、屋上緑化、壁面緑化、高反射率塗料、保水性建材等の試験やヒートアイランド現象緩和効果について検証を進めており、これらの技術情報を民間企業等と共有しています。

都の積極的な取り組みは、民間を誘導するためのリーディングプロジェクトとしての位置付けをなしています。

事例②【民間から公募】大阪府

大阪府では、ヒートアイランド現象が顕著な地域において、民間事業者から複合的な対策を盛り込んだモデルプランを公募し、モデル事業を採択しました。

採択されたのは、
①箕面自由学園「講堂兼体育館建築計画」
②京阪電気鉄道「KUZUHA MALL」
③大阪経済大学「大隈キャンパス東校地整備計画」
④関西不動産・関西電力「関電ビル」
この4つのプロジェクトです。

箕面自由学園の講堂兼体育館建築計画は、体育館建物を地中に埋め込むことにより断熱効果を高め、ヒートアイランド対策に配慮しています。また、車道及び歩道は可能な限り透水性舗装とし、敷地内は極力緑化し、それ以外の部分は土のままとしています。

京阪電気鉄道のKUZUHA MALLでは、環境への配慮として緑化を行ったほか、屋上緑化、透水性舗装、太陽光発電に取り組み、ヒートアイランド現象の緩和に寄与するとともに、地域と共生する快適で魅力的な商業空間を実現しています。

大阪経済大学の大隈キャンパス東校地整備計画は、キャンパスストリートの透水性舗装化とともに、街路樹緑化や屋上緑化などキャンパス全体の緑化を強化するとともに、市民に屋上緑化を公開し、緑の効果を提供できる整備を行いました。

関西不動産・関西電力の関電ビルでは、「環境共生のモデルビル」をコンセプトとしてエネルギーの効率利用や自然エネルギーの利用等につながる技術を積極的に採用しています。建物の屋上や敷地の緑化にも取り組んでいます。

たとえば、同ビル39階四隅の屋上面には、拡散反射率が70~80%とコンクリート面に比べて高く、屋上面の温度上昇を抑制する効果が期待されるガラスパネルを設置したほか、緑化した屋上の潅水には雨水や雑排水などを再処理した中水(上水として生活用水に使った水を下水道に流す前に再生処理した水)を利用するなど、環境に配慮しています。

事例③【モデル住宅街に補助】埼玉県

41.1℃という“日本最高気温”を記録し、「日本一あつい街」を広言する熊谷市が所在する埼玉県では、総合的なヒートアイランド対策を施した先導的な住宅街モデル事業を補助事業として推進しています。

対象となるのは、統一感のある緑化整備を行い、整備する道路には、環境性能舗装を施した道路を整備した埼玉県内の住宅街区。住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく日本住宅性能表示基準で定める1次エネルギー消費量等級4以上の性能を有し、ヒートアイランド対策に資する設備である「クーリングアイテム」を2種類以上設置することを条件としています。

補助対象となるのは、次の5つの事業です

①街区内の緑化整備
街区内の開発面積の3%を上回る緑化整備を行なった際の整備費用(3%は都市計画法施行令に規定する公園等の基準割合を準用)

②住宅の断熱化
街区内に1次エネルギー消費量等級4以上の性能を有する住宅を建築した際の、各戸の開口部及び屋根又は天井、外壁の断熱性能に係る掛かり増し費用
※「掛かり増し費用」とは、先導的な取り組みをした場合の工事費と、それを行わなかった場合の工事費の差額のこと。

③クーリングアイテムの設置
クーリングアイテムを2種類以上、街区内の各戸に整備した際の費用

④環境性能舗装
環境性能舗装を実施した際の掛かり増し費用

⑤提案型ヒートアイランド対策
1から4以外で、住宅街のヒートアイランド対策として先進的と認められる取り組みに対する費用

また、整備する住宅街は、ヒートアイランド対策を施した先導的なモデルとして広く周知しています。平成28年度は「風と緑のまち白岡」、平成29年度は「オナーズヒル戸田 緑テラス」、平成30年度は「コモンライフ西大宮Ⅱ」がそれぞれモデル事業に選定されました。

<参照元>
環境省「ヒートアイランド対策大綱」
東京都ホームページ
大阪府ホームページ
埼玉県ホームページ   等

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