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ハザードマップ(水害)の活用と対策における自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

2019/4/26

ハザードマップ(水害)の活用と対策における自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

近年、集中豪雨等による水害が頻発しており、甚大な被害が発生する事例も増えています。洪水時の被害を最小限にするためには、平時から水害ハザードマップを利用した防災意識の啓発活動や避難訓練等の施策が重要です。では、どのような取り組みが効果があるのか? 各自治体の特徴的な事例などを通じて、そのポイントを探りました。。
 
【目次】
■改定された水害ハザードマップとは
■事例①事例①【実践的な防災講演】松山市(愛媛県)
■事例②【“振り返り会”の実施】燕市(新潟県)
■事例③【水害の記憶を記録に残す】可児市(岐阜県)

改定された水害ハザードマップとは

洪水・浸水といった水害発生時の住民の避難等のありかたは平成27年9月の関東・東北豪雨の発生を受けて、それ以前とは大きく変わった点がいくつかあります。

前述の関東・東北豪雨では、氾濫域に多数の住民が取り残され救助されるなど、ハザードマップが作成・配布されていても「見ていなかった」という状況や一般的なハザードマップに記載されている浸水深・避難場所等の情報だけでは住民等の避難行動に結びつかなかった状況も見られました。そのため水防法が改正され、国や自治体は想定し得る最大規模の降雨・高潮に対応した浸水想定を実施し、市町村はこれに応じた避難方法等を住民等に適切に周知することが求められるようになり、水害ハザードマップについてもより効果的な避難行動に直結する利用者目線に立ったものとすることが必要となりました。ここが大きく変わった点です。

さらに、国は各市町村が地域の実情に応じて検討した内容や工夫した取り組みを踏まえて、さらに水害ハザードマップの改善を重ねていくことにしており、よりわかりやすく、より適切で迅速な避難行動を促すものにしていくため、水害ハザードマップの継続的な改善を行うことにしています。

次に、水害ハザードマップの実効性を高めるために各自治体が実施している工夫や特徴的な取り組みを紹介します。

事例①【実戦的な防災講演】松山市(愛媛県)

松山市(愛媛県)は全国の過去の災害の教訓から、水害ハザードマップなどの活用方法や想定外に備えた、より“実践的”な避難行動の普及をはかる防災講演会を積極的に行っています。

この防災講演会では、防災マップの活用方法のほか、地区ごとの水害履歴や浸水ハザードマップの浸水深に応じた避難方法等を周知し、避難の際に住民が個々の判断で行動するための知識を広く提供しています。避難中の被災を避けるため、すでに浸水している避難路を利用して避難場所へ避難するよりも、建物の2階以上へ避難する「垂直避難」で良い場合もあるという考え方も周知しています。

松山市では防災講演会の実施にあたって、市に災害対策指導監を設置し、災害救助の経験・知見が豊富な元自衛官を採用しました。実情を深く知る人材を起用することで、水害等の災害が発生した際に、どのような行動をとるべきかについて、より実践的な啓発活動が実施できたようです。

事例②【“振り返り会”の実施】燕市(新潟県)

燕市(新潟県)では、避難訓練成果の定着を図る取り組みを行っています。

同市は洪水ハザードマップを市内全戸に配布し、住民を対象とした洪水ハザードマップについての説明会も実施しました。その後、平成23年に新潟・福島豪雨等の豪雨災害や東日本大震災における津波の河川遡上が発生。その教訓から、水害に対する市民の防災意識が高い地域である、という特徴があります。

燕市が実施した取り組みは、避難訓練後に「振り返り会」を複数回、実施するというものです。まず、新潟大学災害・復興科学研究所の指導、助言を得ながら避難訓練を実施し、訓練当日に洪水ハザードマップを活用した「振り返り会」を実施しました。

さらに、避難訓練から1ヵ月後にも「振り返り会」を開催し、避難情報の内容、発信方法、とるべき避難行動等について復習することで、避難訓練の成果を定着を図りました。

事例③【水害の記憶を記録に残す】可児市(岐阜県)

過去に木曽川決壊で戦後最大規模の洪水被害に襲われた自治体のひとつで、平成22年の豪雨災害による可児川洪水では延べ約4万世帯、10万人以上に避難指示または避難勧告を発令した経験がある可児市(岐阜県)では、自治会と連携し、過去の豪雨災害の記憶を記録として残す「わが家のハザードマップ」を住民に作製してもらう取り組みを行っています。

前述の平成22年の豪雨災害後に岐阜県が実施したアンケート調査(調査対象は可児市および御嵩町の住民)で、「避難指示または避難勧告発令されたが避難しなかった」という回答が回答者の約83%に上る、という憂慮すべき状況が起きていました。

そこで、市では改めて住民の防災意識を喚起し、適切な避難行動についての普及活動を行うとともに、市民から「豪雨災害の記憶を記録として残したい」という要望があったことを受け、市内の各自治会と連携して作成したのが「わが家のハザードマップ」です。

これは、各自治会がまち歩きやワークショップを行い、過去の災害や豪雨時の地域の状況について収集した情報に基づいて自治会ごとに危険な箇所を記入した地図を基礎データとして市が作成したもので、市内全戸に配布しています。

市はまた、岐阜県統合型GIS(地理情報システム)を利用して、水防法や土砂災害防止法などに基づいて国や県が定めた浸水想定区域、危険箇所などの情報を「わが家のハザードマップ」と同時に閲覧できるように設定し、「インターネット版わが家のハザードマップ」を作成し、公開しています。
 

<参照元>
国土交通省「水害ハザードマップ作成の手引き」
国土交通省「水害ハザードマップの利活用事例集」    等

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